Tame Consumer Prices Leaves Fed Some Rooms For Rate Cuts.
米9月消費者物価指数(CPI)は前月比横ばいとなり、市場予想の0.1%を下回った。前月の0.3%以下にとどまっている。原油先物が50ドル台で推移するなか、エネルギー(全体の7.8%)は1.4%低下し、全体を押し下げた。ガソリンも2.4%低下し、エネルギーと合わせて過去5ヵ月間で4回目のマイナスとなる。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は9月に一時2.550ドルと約5ヵ月ぶりの水準へ下落した。その他のエネルギーでは電力など公益が前月まで3ヵ月連続でマイナスから前月に横ばいへ転じた後、0.2%の低下へ戻した。エネルギー以外では食品・飲料は前月の横ばいから0.1%の上昇に転じた。
CPIコアは0.1%上昇し、市場予想の0.2%を下回った。3ヵ月連続で2018年1月以来の高い伸びとなる0.3%だったが、今回は鈍化した。項目別では、帰属家賃が7~8月の0.2%を経て、0.3%へ戻した。家賃は前月の0.2%から0.4%へ加速。ホテルなど宿泊は2.1%上昇、前月分の下落を打ち消した。結果、住宅全般では前月の0.2%から0.3%へ上昇、6~7月の水準へ戻した。
逆に、住宅関連以外は下振れが優勢。教育は2ヵ月連続で横ばいとなり、そのうちパソコンは前月の1.2%から0.9%へ低下した。服飾は0.4%低下し、4ヵ月ぶりにマイナスに反転。トランプ政権が第4弾追加関税措置の検討を開始した当初から12月15日に先送りされてもしばらく上昇していたが、漸く鈍化した。その他、燃料を除く輸送は0.7%低下。輸送のうち、自動車が0.1%低下し輸送を下押しし、特に中古車が1.6%のマイナスと弱く4ヵ月連続で低下し、新車は0.1%低下し3ヵ月連続でマイナスとなった。娯楽は前月に0.5%上昇したものの、横ばいに転じた。一方で、医療費が前月の0.7%から0.2%へ鈍化しつつ、7ヵ月連続でプラスとなった。航空運賃はボーイング737MAXの運航停止問題を抱えるものの、前月の1.7%に続き0.8%上昇し3ヵ月連続で上向いた。
CPIは8月に続き前年比で1.7%上昇、市場予想の1.8%を下回った。2012年2月以来の高い伸びを遂げた2018年7月に2.9%以下が続く。コアCPIは市場予想と2.4%上昇。前月と同じく、リーマン・ショックが発生時である2008年9月の水準へ加速した2018年7月のレベルに並んだ。
CPI、コアはリーマン・ショック時点の水準を回復。
――今回、エネルギー関連や食品・飲料が低下し帰属家賃が上向いたものの、服飾や中古車が押し下げ前月比横ばいにとどまりました。コアCPIも、4ヵ月ぶりに鈍化しています。とはいえ、コアCPIは前年比で2008年9月の水準へ加速したままです。医療費が3.5%上昇したほか、全体の約4分の1%を占める帰属家賃が3.4%上昇していました。
平均時給に視点を落とすと、管理職を含めた全体では3%台の推移を13ヵ月で止めたものの、労働者の約8割を占める生産労働者・非管理職が3.5%上昇し14ヵ月連続で3%台の伸びを維持していました。その半面、ガソリンを始めエネルギーの価格が下落したためか、インフレ期待は鈍化し、ダラス地区連銀が発表するトリム平均PCEは2%付近で安定したままで、インフレ加速の芽が伸びているようにはみえません。追加関税の影響が懸念されつつ、生産者物価指数も落ち着いています。
インフレは引き続き伸び悩み、パウエルFRB議長率いるFedに利下げ余地を与えそうです。
(カバー写真:Federalreserve/Flickr)
Comments
米8月貿易赤字は予想超えも、中国の大豆輸入を増加中 Next Post:
米8月求人数は3ヵ月連続で減少、採用数や自発離職者数も鈍化