Consumer Price Index Edges Up, But Core Slows Down.
米10月消費者物価指数(CPI)は前月比0.4%上昇し、市場予想の0.3%を上回った。前月の横ばいから上昇に転じている。原油先物が50ドル台で推移するなか、エネルギー(全体の7.8%)が2.7%上昇し、全体を押し上げた。ガソリンも3.7%低下し、エネルギーと合わせて3ヵ月ぶりにプラスに転じた。エネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格は10月に一時2.638ドルへ上昇、9月につけた約5ヵ月ぶりの安値(2.550ドル)から切り返した。その他のエネルギーでは電力など公益が1.8%上昇し、少なくとも6ヵ月ぶりにプラスに転じた。エネルギー以外では食品・飲料が0.2%上昇し、2ヵ月連続でプラスだった。
CPIコアは0.2%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.1%を下回った。項目別では、帰属家賃が前月の0.3%から0.2%へ鈍化した。家賃も前月の0.4%を下回り0.1%に。ホテルなど宿泊も3.8%上昇し、前月の上昇分を打ち消した。結果、住宅全般では前月の0.3%から0.1%へ鈍化した。
その他をみると、医療費が1.0%上昇し2016年8月以来の高い伸びを示した。輸送も1.0%と力強く伸び、民間輸送が0.5%上昇し前月の低下分を打ち消し。さらに自動車も0.8%上昇し、前月の0.5%を上回った。中古車が1.3%と支えたためで、新車は逆に0.2%低下し2ヵ月連続でマイナスとなる。娯楽は0.7%上昇し、特に入場料が支えた。一方で、衣料品が1.8%低下し2ヵ月連続でマイナス。航空運賃も0.4%低下した教育は3ヵ月連続で横ばいだった。
CPIの前年比は1.8%上昇、市場予想並びに前月の1.7%を上回った。もっとも、2012年2月以来の高い伸びを遂げた2018年7月に2.9%以下が続く。コアCPIは逆に市場予想と前月の2.4%に届かず、2.3%の上昇だった。リーマン・ショックが発生時である2008年9月の水準へ加速した2018年7月のレベルから、一歩後退した。
CPI、コアはリーマン・ショック時点の水準からわずかに後退。
――今回、エネルギー関連が支えCPI全体は上向きましたが、コアCPIはインフレの芽吹きを示しませんでした。特に足を引っ張ったのは家賃で、こちらは前月の0.4%から0.1%へ鈍化し2010年11月以降からの上昇トレンドで最低の伸びにとどまります。家賃と言えば、CPIに占める比率は8.0%とエネルギーの7.5%を上回るだけに、仮に家賃が今後も鈍化するようでは物価全体への影響が懸念されます。それから、服飾も弱く、こちらは1947年以降で2番目に低い伸びでした。そのうち女性の衣服が3.3%も落ち込み、1947年2月につけた統計以来の最低に並びます。また、教育・通信のモノがこちらは2010年以降で最低で、コンピュータ・周辺機器・スマートホームが2.4%低下し2005年2月以来の低下だったことが影響しました。足元、年末商戦の幕開けが感謝祭明けの金曜日であるブラック・フライデーから一部小売業者が前倒しを進めるなかで、教育・通信に含まれるコンピュータ関連、そして服飾が値下げにより下押しした可能性が考えられます。
その一方で、中古車が上昇を続けており、自動車購入にあたって下取りに出すことを考えれば好材料です。また、高齢化や肥満率の上昇に伴い、医療費も値上がり中。特に前年比では、目覚ましい伸びとなっています。
物価は強弱まちまちで、7月、9月、10月の利下げを経てどちらのトレンドへ振れるのか。足元でFedの金利据え置きを正当化していますが、政策姿勢が正しいかどうかは数ヵ月先に判明するのでしょう。
(カバー写真:Glen Scott/Flickr)
Comments
米10月NFIB中小企業楽観度、6ヵ月ぶり低水準から改善 Next Post:
NY州経済を左右する産業とは?