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米10月NFIB中小企業楽観度、6ヵ月ぶり低水準から改善

by • November 13, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2218

NFIB Small Business Optimism Rebounds From 6-Month Low.

米10月NFIB中小企業楽観度指数は102.4となり、市場予想の102.0をわずかに下回った。6ヵ月ぶりの低水準となった前月の101.8から改善している。こちらに明記した通り、米中貿易協議をめぐる不確実性は、首脳間での第1段階の合意が署名されれば低下する公算が大きく、中小企業オーナーのセンチメントを小幅ながら押し上げたようだ。なお、過去最高は2018年8月の108.8だった。

発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は結果を受け「政治家や番組司会者、メディアなどによる景気後退入り懸念が一時は影響したものの、話題が変わるなかで企業主も予想されたような減速局面に陥っていないことを確認した」と振り返った。その上で「中小企業主は、雇用を創出し、賃金を引き上げ、ビジネスを拡大させている」と指摘。適切な人材を見つける以外、「企業活動を止めるものはない」と結んだ。

楽観度指数を始め米経済見通し、雇用増加など全て改善。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目は4ヵ月連続で10項目だった。そのうち前月を上回ったのは9項目で、「求人件数」のみ前月以下となった。マイナス項目も「黒字トレンド」が悪化したほかは、全て下げ幅を縮小した。以下は、項目ごとの変化。

「求人件数」34%<前月は35%、6ヵ月平均は36%
「賃金引き上げ」30%>前月は29%、6ヵ月平均は30%
「設備投資を拡大した」29%>前月は27%、6ヵ月平均は28%

「事業拡大に良いタイミング」23%>前月は22%、6ヵ月平均は25%
「賃上げ見通し」22%>前月は18%、6ヵ月平均は20%
「採用見通し」18%>前月は17%、6ヵ月平均は19%

「売上拡大見通し」17%>前月は16%、6ヵ月平均は19%
「販売価格の引き上げ」10%>前月は9%、6ヵ月平均は14%
「経済がより良くなる」10%>前月は8%、6ヵ月平均は12%
「在庫を増加させる」2%=前月は2%、6ヵ月平均は3%

「黒字トレンド」−3%>前月は−4%、6ヵ月平均は−4%
「在庫満足度」−4%>前月は−6%、6ヵ月平均は−4%
「信用状況が緩和」−8%<前月は−3%、6ヵ月平均は−4%

――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、ISMに遅れて過去の上昇分を打ち消す展開に。

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(作成:My Big Apple NY)

中小企業のセンチメントは、米中貿易摩擦をめぐる不確実性の後退を受けて6ヵ月ぶりの低水準だった前月から改善しました。経済見通しもかすかながら明るさを取り戻しています。問題は設備投資の回復で、世界景気減速にGMのストライキやボーイング737MAX運航停止に伴う生産減速などの逆風も重なり、耐久財受注鉱工業生産は弱いままです。

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(作成:My Big Apple NY)

ただし、主な3地区連銀製造業景況指数のなかの設備投資見通しと設備稼働率は、小幅に改善しました。GMストライキ終了ボーイングの運航開始予定発表などもあって、年末に改善するか試されます。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米7~9月期労働生産性・速報値、労働時間が延び約4年ぶりの低下

米7~9月期労働生産性・速報値は前期比年率0.3%低下し、市場予想の0.9%を下回った。前期の2.5%(2.3%から上方修正)に遠く及ばず、2015年10~12月期以来、約4年ぶりのマイナスに転じた。単位労働コストは3.6%上昇し、市場予想の2.2%を大きく上回った。前期の2.4%(2.6%から下方修正)も超え、5期連続で上昇。2014年末以降で2番目の高い伸びとなる。労働時間が延びたため、単位労働コストが上昇するとともに、一方で賃金がプラスを維持し生産性と単位労働コストともに上昇した。詳細は、以下の通り。

・労働生産性 0.3%の低下、約4年ぶりのマイナス<前期は2.5%の上昇
・生産 2.1%の上昇、12期連続で上昇>前期は1.9%の上昇
・労働時間 2.4%の上昇>前期は0.5%の低下、11期ぶりのマイナス
・時間当たり賃金 3.3%の上昇、13期連続で上昇<前期は5.0%の上昇
・実質賃金 1.4%の上昇、3期連続で上昇<前期は2.0%の上昇
・単位労働コスト(一定量を生産するために必要な労働経費を示す) 3.6%の上昇、5期連続で上昇>前期2.4%の上昇

前年比での労働生産性は1.4%上昇、2016年末以降の上昇トレンドで最も力強い伸びとなった前期の1.8%を下回った。とはいえ、12期連続のプラスを示す。単位労働コストは3.1%上昇、前期の2.6%を超え2014年1~3月期以来の高い伸びとなった。

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(作成:My Big Apple NY)

――アトランタ地区連銀は11月8日までの経済指標を受け、米10~12月期実質GDP成長率見通しを前期比年率1.0%増で据え置きました。予測開始当初の1.5%を下回り、米7~9月期実質GDP成長率・速報値からの鈍化を見込みます。

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(作成:My Big Apple NY)

チャートの通り、個人消費を始め政府支出、小幅ながら住宅投資が下支えする見通しながら、4~6月期の流れが続き設備投資と純輸出が弱い上、過去2四半期より下押し幅が大きくなる予測となっています。GMやボーイングなどの好材料が反映されるならば11月の経済指標に表れるとみられ、目下の数字は過小評価されている公算が大きく、速報値のGDP成長率が振るわなくとも上方修正される公算大。トランプ政権は米中貿易協議の第1段階の合意は近いと発言していますが、米大統領選前に成長が減速すれば再選が危うくなるだけに、何としても合意を成立させたいのではないでしょうか。

(カバー写真:Independent We Stand/Flickr)

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