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Fedの利下げ、“hipsturbia”の住宅購入を後押しか

by • November 11, 2019 • Latest News, NY TipsComments Off2639

Fed’s Rate Cuts Helping “Hipsturbia” To Buy Their First Home.

ミレニアル世代(1981~96年生まれ)と言えば、「人生一度きりYOLO(You Live Only Once)」の精神で知られます。特に流行に敏感な若者は「所有より共有」を選びがちで、ソーシャルネットワークの普及もあって「モノ消費よりコト消費」を好み、あらゆる娯楽へのアクセスが便利な都市での生活を重視する傾向が強いとされてきました。しかしミレニアル世代が年を重ね、所帯を持つにあたって、こうした既成概念は崩れつつあるのですよ。

彼らの変化を端的に表す言葉こそ、「hipsturbia」でしょう。これはhipster=概してサブカル系のおしゃれな若者を意味する単語と、suburbia=郊外・郊外居住者を混ぜた造語なんです。懐具合や子供の教育環境などを踏まえ、マイホームを購入するにあたり、郊外を選択する若者が増加中であり、そうした現象を表しています。

ただし、クールな生活を完全に断念したわけではありません。郊外といっても、自動車通勤が必須な閑静な住宅地ではなく、都市への交通網が発達したベッドタウンに人気が集中しているのだとか。理由は簡単で、平均の学生ローン残高3.4万ドル(370万円)を抱えるミレニアル世代は、マイホーム購入を必要と捉えても、一人一台といった自動車の所有に慎重なためです。

こうした背景から、NY市では例えばマンハッタンからイーストリバーを越えたブルックリン、クイーンズの内陸寄り、あるいは地下鉄ではなくメトロノース鉄道で約30~40分のウエストチェスター郡のスカースデールなどに移り住んでいるといいます。筆者の友人も、奥方の妊娠にあたり、メトロノース鉄道沿いの町ホワイト・プレインズでの住宅購入に踏み切っていました。

ミレニアル世代の住宅購入を後押ししているのは、力強い労働市場と米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げと言えるでしょう。米国人の住宅保有率は2019年7~9月期に64.8%と、2014年10~12月期以来の水準へ戻した。特に35歳以下で37.5%と2011年10~12月期以来の水準へ上昇するなど、若い年齢層で低水準ながら改善が著しい。

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(作成:My Big Apple NY)

米国不動産市場の9割近くを占める中古住宅でも9月の販売件数は減少したとはいえ、新規購入者の割合が33%と税制改革施行後まもなくである2018年1月の29%から上昇しております。

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(作成:My Big Apple NY)

こうした若者は、郊外でマイホームを見つけたと考えられます。例えば、不動産情報会社ジローによれば、マンハッタンの住宅価格・中央値は119万ドルだが、ホワイト・プレインズでは、64万ドルでした。

若い世代の郊外回帰は、住宅関連株に恩恵を与えています。例えば、年初来でKBホームズは80.4%高、D.R.ホートンも47.6%高、リフォーム関連小売のホーム・デポも36.7%高を遂げ、S&P500種株価指数の22.8%高を上回るパフォーマンスを達成中です。

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(作成:My Big Apple NY)

米金利が低水準を続け、米経済がゆるやかに成長し、労働市場が力強さを維持する限り、hipsturbiaによる住宅購入が市場を支える公算が大きいのではないでしょうか。

(カバー写真:Matthew Hurst/Flickr)

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