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米10月鉱工業生産、引き続きGMストライキが響き2ヵ月連続で低下

by • November 18, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off1830

Industrial Production Declines Again, GM Strike Keeps Manufacturing Activity Down.

米10月鉱工業生産指数は前月比0.8%低下し、市場予想の0.4%の低下より悪化した。前月の0.3%の低下(0.4%の低下から上方修正)を含め、過去4ヵ月間で3回目の低下となる。製造業は0.6%低下し、市場予想の0.7%ほど悪化しなかった。ただし4~6月以降、設備投資の鈍化を確認しFOMCでも懸念要因として取り上げられるなか、過去4ヵ月間で3回目のマイナスに。9月15日から自動車最大手GMの労働組合がストライキに入り、10月25日に終了したとはいえ、ミシガン州やオハイオ州の工場閉鎖で生産停止の影響が続いた。鉱工業生産指数の前年比では1.1%低下、2ヵ月連続でのマイナスは原油安で鉱業を中心に落ち込んだ2016年以来となる。

稼働率は76.7%と、市場予想の77.0%を下回り2017年9月以来の77%割れを迎えた。法人税減税やレパトリなどの効果が税制改革実施後2年目を迎え剥落する上、米中間の貿易摩擦が激化するなか、過去平均の80%台を回復できないままだ。

鉱工業生産の前年比は2ヵ月連続でマイナス、製造業は4ヵ月連続で低下。稼働率は2017年9月以来の低水準。

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(出所:My Big Apple NY)

なおトランプ政権は、9月1日から追加関税措置の第4弾を発動。9月13日には携帯電話やPC関連、衣類などを12月15日からへ先送りを決定し、9月11日には第1~3弾の10月1日からの税率引き上げ措置(25%→30%)も同15日に延期した。10月10~11日開催の米中閣僚協議では、30%への税率引き上げ見送りを含めた第1段階の合意に到達。米中当局者の発言などを受け、年内にも米中首脳会談で署名する期待が高まっている。

内訳をみると、9月に続きGMのストライキが直撃した製造業(全体の75.1%)の低下が大きく、自動車が最も弱かった。電気製品や組立金属なども落ち込んだ。その他、12月15日に第4弾の追加関税措置が発動予定の品目に含まれるコンピュータ・電子部品は低下に転じた。非耐久財は、第4弾の措置に含まれる服飾のほか繊維が低下に転じ、石油製品は2ヵ月連続でマイナスだった。公益(全体の10.4%)は低下に反転、鉱業(全体の14.2%)は2ヵ月連続でマイナスだった。

■製造業 0.5%の低下<前月は0.6%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の低下

▽耐久財 1.2%の低下、2ヵ月連続で低下<前月は0.9%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下

・木材 0.7%の上昇、2ヵ月連続で上昇<前月は0.9%の上昇、6ヵ月平均は0.6%の上昇
・一次金属 0.3%の上昇、過去4ヵ月間で3回目の上昇>前月は0.3%の低下、6ヵ月平均は0.3%の低下
・機械 0.2%の上昇、過去5ヵ月間で2回目の上昇>前月は2.2%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇

・航空機/輸送機 0.1%の低下>前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・家具関連 0.2%の低下<前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・組立金属 0.2%の低下<前月は0.6%の低下、6ヵ月平均は0.1%の低下
・コンピュータ/電子部品 0.5%の低下、6ヵ月ぶりにマイナス<前月は1.8%の上昇、6ヵ月平均 0.5%の上昇
・電気製品 1.2%の低下、3ヵ月連続でマイナス=前月は1.2%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・自動車関連 7.1%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は5.5%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下

▽非耐久財 横ばい%>前月は0.2%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇

・食品/飲料/タバコ 0.9%の上昇、②ヵ月ぶりに上昇>前月は0.7%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇

・プラスチック/ゴム 0.2%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス>前月は1.4%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・化学品 0.3%の低下、2ヵ月連続でマイナス>前月は0.6%の低下、6ヵ月平均は0.1%の上昇
・石油製品 1.0%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の上昇
・服飾 1.0%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス<前月は1.4%の上昇、6ヵ月平均は0.3%の低下
・繊維 1.9%の低下、3ヵ月ぶりに低下<前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は0.7%の低下

■公益 2.6%の低下、過去5ヵ月間で3回目のマイナス<前月は1.9%の上昇、6ヵ月平均は0.1%の上昇

・電力 0.4%の低下<前月は4.0%の低下、6ヵ月平均は横ばい
・天然ガス 5.0%の上昇、2ヵ月連続で上昇>前月は0.3%の上昇、6ヵ月平均は0.9%の上昇

■鉱業 0.7%の低下、過去4ヵ月間で3回目のマイナス>前月は0.8%の低下、6ヵ月平均は0.2%の低下

――やはり、GMストライキの影響が燻り、米10月鉱工業生産指数も予想以下にとどまりました。ただ、ストライキは10月25日に終了し、ボーイングも運航停止していた737MAXをめぐり2020年1月に再開する方針を表明、生産遅延などが改善する見通しで、自動車と合わせ関連産業の上向きが期待されます。

さらに長期金利上昇が示唆するように、世界景気にも底打ちの兆しが見えます。少なくとも製造業PMIは、それぞれの国・地域で一段の悪化を免れました。

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(作成:My Big Apple NY)

問題は、いつ米国の製造業活動が改善するか。米11月NY連銀製造業景況指数は前月を下回り幸先の良くないスタート切ったものの、その他の指標が好転を示唆するか試されます。

なおアトランタ地区連銀は、11月15日までの経済指標を受けて米10~12月期実質GDP成長率・予測値を従来の1.0%増から0.3%増へ大幅に下方修正しました。

(カバー写真:Graham Burton/Flickr)

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