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米11月ISM製造業景況指数は回復せず、米中貿易協議は泥沼化?

by • December 3, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2309

ISM Manufacturing Index Contracts For 4-Month In A Row.

11月のISM製造業景況指数、マークイット製造業PMI確報値、米10月建設支出をおさらいしていきます。

米11月ISM製造業景況指数はと48.1と、市場予想の49.2を下回った。前月の48.3にも届かず。2009年6月以来の低水準だった9月の47.8を含め、4ヵ月連続で分岐点の50を割り込んでいる。10月10~11日開催の米中閣僚貿易協議会議開催で第1段階の合意に達し、GMのストライキが収束し、ボーイング737の年明け運航再開の目途が立つなかでも、センチメントは改善しなかった。

ISM製造業景況指数、2009年6月以来の水準へ下振れした9月から明確に改善できず。

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、まちまち。新規受注をはじめ新規輸出受注、雇用、在庫などが前月以下となった一方、生産や仕入れ価格は上昇した。詳細は、以下の通り。

・生産 49.1>前月は46.2と2009年7月以来の低水準、6ヵ月平均は49.5
・新規受注 47.2、8月に続き2012年6月以来の低水準に並ぶ<前月は49.1、6ヵ月平均は48.6
・雇用 46.6、2016年1月以降で2番目の低水準<前月は47.7、6ヵ月平均は49.0

・在庫 45.5、2016年5月以来の低水準<前月は48.9、6ヵ月平均は48.3
・新規輸出受注 47.9<前月は50.4、6ヵ月平均は46.9
・仕入れ価格 46.7>前月は45.5、6ヵ月平均は46.8

・入荷遅延 52.0>前月は49.5、6ヵ月平均は51.3
・受注残 43.0、2016年1月以来の低水準<前月は44.1、6ヵ月平均は44.8

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「回答者のコメントは前月と同じく改善を示したが、4ヵ月連続で分岐点を割り込んだ」と振り返った。全体的なセンチメントは、短期的成長に対し「中立」だという。仕入れ価格が前月を上回ったものの、6ヵ月連続で分岐点割れを続ける状況について「サプライチェーンが需要とマッチしているほか、企業が入手した素材を適切な期間に消費できない可能性をにらんでいる」と分析。引き続き、貿易動向は「各産業にわたって大きな問題であり、食品・飲料・タバコが最も堅調な業種である一方、組立金属が最も弱いセクターとなっている」と説明した。

今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは前月と同じく5業種となった。縮小を報告した業種は前月と変わらず13業種に。6月からの流れを受け継ぎ組立金属に加え、7~10月と同じく輸送機器と電気機器、8~10月に続きプラスチック・ゴム製品、9~10月に続き石油・石炭製品、機械、繊維、さらに10月に続き化学製品、機器・部品、その他製造業が並んだ。11月は、木材、印刷関連、家具、一次金属、非金属鉱物製品が入った。

▽米11月IHSマークイット製造業PMI・確報値、10年ぶり低水準から改善

米11月IHSマークイット製造業PMI確報値は52.6と、市場予想と速報値の52.2を上回った。前月の51.3も超え、7ヵ月ぶりの水準を回復している。内訳をみると、生産としインキ受注が10ヵ月ぶりの伸びに。雇用も、8ヵ月ぶりの高水準となった。

結果を受け、クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは「3ヵ月連続で前月を上回り、製造業のソフトパッチからの脱却を示し続けた」とコメント。また「生産と新規受注は10ヵ月ぶりの強い伸びだったほか、輸出も上昇トレンドに回帰し、企業は在庫を積み上げつつある」とし、改善の兆しが見えているとの見解を寄せた。ただし「製造業は追加関税と貿易戦争への悪影響を懸念するほか、大統領選前に顧客が投資決定を先送りし、経済が鈍化する不安も抱いてい」とし、慎重寄りな姿勢も残した。

世界全体も製造業活動は底打ちの兆し、米中貿易協議で第1弾の合意が署名されなければ再び下振れ?

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(作成:My Big Apple NY)

--トランプ大統領は3日、中国との貿易協議妥結が2020年の米大統領選以降となる可能性を示唆しました。月内の妥結期待を削ぎ、一時ダウは400ドル安に。このままでは、12月15日から555品目の中国輸入品に追加関税が発動すること必至。米中貿易摩擦が泥沼化すれば設備投資の低迷により米景気を下押しするリスクが高まる見通しのところ、トランプ氏に次の一手はあるのでしょうか。

▽米10月建設支出、住宅と非住宅共に弱く予想外に減少

米10月建設支出は前月比0.8%減の年率1兆2,911億ドルとなり、市場予想の0.4%増を下回った。前月の0.3%減(0.5%増から下方修正)を含め、2ヵ月連続で減少している。建設支出の前年比は1.1%増と、12ヵ月ぶりに増加。米7~9月期実質GDP成長率・改定値の構築物投資は大きく落ち込んだが、前年比では底打ちの兆しをみせた。

内訳をみると、住宅が0.9%減と2ヵ月連続で減少した。非住宅も0.7%減と4ヵ月ぶりに減少に転じている。ただし、前年比では住宅が0.5%増と14ヵ月ぶりに増加。非住宅も14%増と、2018年1月以来の減少に転じた前月からプラスに転じた。

民間は前月比1.0%減となり、前月の1.1%減に続き2ヵ月連続で減少した。住宅が0.9%減と2ヵ月ぶりに減少したほか、非住宅も1.2%減と4ヵ月連続で落ち込んだ。公共は0.2%減と、4ヵ月ぶりに減少した。住宅が6.9%減と3ヵ月ぶりに落ち込んだほか、非住宅も0.1%減と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。

建設支出、2018年以降は足踏み状態。

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(カバー写真:Tim Engle/Flickr)

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