Coronavirus Hasn’t Affected ADP Private Payrolls And Job Cuts Just Yet.
2月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定をおさらいしていきます。
米2月ADP全国雇用者数は前月比18.3万人増となり、市場予想の17.0万人増を上回った。前月の20.9万人増(29.1万人増から下方修正)に届かなかったものの、20万人近いペースを維持した。世界で新型コロナウイルス感染拡大を受け、かつ平年を上回る気候を受け20万人を上回った反動減にも見舞われず、民間雇用は堅調だったようだ。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、今回はサービスと財とも増加。
セクター別では、サービス部門が18.3万人増と前月の20.9万人増(修正値)を下回った。内訳をみると、雇用をけん引してきたセクターである教育・健康(前月5.3万人増→4.6万人増)のほか、娯楽・宿泊(同4.8万人増→4.4万人増)、貿易・輸送(同3.6万人増3.18万人減)などが鈍化した。一方で、専門サービス(同3.3万人増→3.8万人増)が支えた。
財部門(製造業、建設、鉱業)は1.1万人増と、前月の2.2万人増(修正値)を下回りつつ、3ヵ月連続で増加した。内訳をみると、暖冬を支えに前月大幅増だった建設(前月3.0万人増→1.8万人増)と増加基調を維持しつつ鈍化した。一方で、製造業(同0.3万人減→0.4万人減)と3ヵ月連続で減少。原油先物が50ドル割れを迎えるなか、鉱業(0.3万人減→0.4万人減)が13ヵ月連続で減少した。
▽米2月チャレンジャー人員削減数は減少、採用予定数も増加
米2月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比26.3%減の56,660人と再び減少基調へ戻した。11ヵ月ぶりの高水準となる。前月比16.4%減なり、こちらも減少に転じている。
年初来2ヵ月間では前年同期比4.2%減の12万4,395人だった。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は、結果を受け「人員削減発表の約4割がテクノロジー企業で、変革の波や規制強化の流れが影響している」と説明した。ネット通販に押される小売も引き続き人員削減の常連だった。その他、今回特筆すべきは輸送で「4,768件が契約切れによるもので、そのうちアマゾンが2,694件に及んだ」という。恐らく、1月にアマゾンが出品者のフェデックス使用禁止を解除したことが影響したとみられる。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。1月は1位がテクノロジー、2位が小売、3位が産業財、4位がヘルスケア、5位が自動車だった。
1位 テクノロジー 24,087人(全体の42.5%)
2位 小売 18,540人(全体の32.7%)
3位 輸送 10,056人(全体の17.7%)
4位 産業財 9,229人(全体の16.3%)
5位 自動車 8,687人(全体の15.3%)
州別動向は、年初来で以下の通り。1月は1位がオハイオ州、2位がイリノイ州と製造業州が並び、3位はカリフォルニア州、4位はニューヨーク州、5位に農業が盛んなカンザス州が入った。2019年は人口が多いカリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、テキサス州、イリノイ州が入っていた。
1位 カリフォルニア州 16,224人(全体の13.0%)
2位 オハイオ州 15,134人(全体の12.2%)
3位 イリノイ州 11,587人(全体の9.3%)
4位 テキサス州 8,983人(全体の7.2%)
5位 ニューヨーク州 7,609人(全体の6.1%)
リストラ実施の理由別ランキングは、単月で以下の通り。2019年は主に再編、閉鎖、コスト削減、契約切れが上位に入った。
1位 閉鎖 19,232人(全体の33.9%)
2位 再編 18,157人(全体の32.0%)
3位 契約切れ 5,512人(全体の9.7%)
4位 理由なし 3,964人(全体の7.0%)
5位 コスト削減 2,149人(全体の3.8%)
採用予定数は、前年同月比で約4倍増の88,202人だった。1月は2016年以来の低水準だったが、持ち直した格好だ。ホームデポが住宅書入れ時を控え、8万人の雇用拡大を発表したことが大きい。セクター別では、以下の通り。
1位 小売 8,000人(全体の90.7%)
2位 エネルギー 3,000人(全体の3.4%)
3位 自動車 1,750人(全体の2.0%)
4位 食品 690人(全体の0.8%)
5位 消費財 536人(全体の0.6%)
――今回、人員削減数が減少し、採用予定数が増加しました。ADPと整合的です。そうなると、ADP通り堅調な数字が飛び出してもおかしくありません。ただ、新型コロナウイルスの影響が製造業を中心に色濃く浮かび上がるリスクにも留意したいところです。採用予定の増加も、ほとんどがホームデポでしたし・・。
(カバー写真:Jason Lawrence/Flickr)
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