Job Cuts And So Hire Plans Surge In March.
米3月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比292%増の22万2,288人と急増した。金融危機後まもない2009年1月以来の高水準となる。前月比では267%増となり、こちらも大幅増となった。
1~3月期では前年同期比82%増の34万6,863人だった。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は、結果を受け「新型コロナウイルス感染拡大を理由とした人員削減は、14万1,844人に及ぶ」と説明した。その上で「2月まで企業は人員確保に奔走していたが、現在は外出規制などで必要不可欠でない業種の操業が止まり、失業者が溢れ返っている」と指摘。ただし「採用予定数も急増した」という。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。2月は1位がテクノロジー、2位が小売、3位が輸送、4位が産業財、5位が自動車だった。
1位 娯楽・宿泊 93,193人(全体の41.9%)
2位 サービス 37,854人(全体の17.0%)
3位 自動車 13,076人(全体の5.9%)
4位 産業財 10,799人(全体の4.9%)
5位 エネルギー 6,018人(全体の2.7%)
州別動向は、年初来で以下の通り。2月は1位がカリフォルニア州、2位と3位は製造業比率の高いオハイオ州とイリノイ州、4位はエネルギー産業が盛んなテキサス州、5位に金融の中心地を抱えるニューヨーク州が入った。2019年は人口が多いカリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、テキサス州、イリノイ州が入っていた。
1位 カリフォルニア州 39,730人(全体の11.4%)
2位 ニューヨーク州 38,482人(全体の11.1%)
3位 オハイオ州 30,615人(全体の8.8%)
4位 ニュージャージー州 28,926人(全体の8.3%)
5位 テキサス州 25,867人(全体の7.5%)
リストラ実施の理由別ランキングは、単月で以下の通り。2月は1位が閉鎖、2位が再編、3位が契約切れ、4位が理由なし、5位がコスト削減。2019年は主に再編、閉鎖、コスト削減、契約切れが上位に入った。
1位 新型コロナウイルス 141,844人(全体の63.8%)
2位 理由なし 54,300人(全体の24.4%)
3位 閉鎖 5,512人(全体の2.5%)
4位 再編 3,964人(全体の1.8%)
5位 契約切れ 2,149人(全体の1.8%)
新型コロナウイルスを理由とした人員削減の業種別動向は、以下の通り。時間給労働者が多く、州政府が外出禁止関連措置を講じる上で必要不可欠と判断しなかった業種が入った。
採用予定数は、前年同月比で約9倍増の82万4,610人だった。前月からも約9倍増となり、3月は少なくとも2014年以降で最高を記録した。前述したように外出禁止関連措置で恩恵を受けるアマゾンやインスタカート(生命の危機を訴えたデリバリー担当従業員によるストライキも一因)の他、ウォルマートなどが大規模な求人を行なっていたためで、主な各社採用予定数は以下の通り(注:ピザチェーン店はなぜか娯楽・宿泊のカテゴリー)。
セクター別では、以下の通り。
1位 小売 462,010人(全体の56.0%)
2位 輸送 302,000人(全体の36.6%)
3位 娯楽・宿泊 53,000人(全体の6.4%)
4位 食品 6,000人(全体の0.7%)
5位 自動車 600人(全体の0.07%)
――英政府は航空会社勤務の客室乗務員を医療の現場に投入する方針を決定するなど、異業種のシフトを推進しています。米国でもレイオフされたホテルの従業員などが食品関連のサービス業へ転職するなど、異業種間での移動が進んでいるとか。景気刺激策という痛み止めだけでなく雇用のシフトがスムーズに進めばよいのですが、アマゾンやインスタカートは生命の危機を訴え従業員がストを決行するなど問題も多い状況。失業者を完全に吸収できるはずもなく、感染者の減少が明確化するまで労働市場は厳しい環境が続きそうです。
(カバー写真:Pamela Drew/Flickr)
Comments
米新規失業保険申請、過去2週間で約1,000万件に―人員削減も急増 Next Post:
【追加】米3月雇用統計:NFPは70.1万人減、一時解雇者数が金融危機以来の急増