Private Sector Lost 20 Million Jobs In April.
米4月ADP全国雇用者数は前月比2,023.6万人減となり、市場予想の2,055万人減ほど悪化しなかった。ただし、前月の14.9万人減(2.7万人減から下方修正)を遥かに超え、文句なしで過去最悪を記録した。新型コロナウイルス感染拡大を受け全米50州が非常事態宣言を発動し、4月以内に約5分の4の州で外出禁止令や在宅勤務などの措置を実施あるいは勧告するなか工場も閉鎖され、サービス業と財部門それぞれ過去例を見ない落ち込みを迎えた。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、今回はサービスと財とも減少。
セクター別では、サービス部門が1,600.7万人減と前月の11.1万人減(修正値)から大幅に悪化した。内訳は以下の通りで、娯楽・宿泊が減少の約半分を占めたほか、貿易・輸送や教育・健康、専門サービスなど軒並み減少した。
娯楽・宿泊→860.7万人減、2ヵ月連続で減少<前月は8.0万人減
貿易・輸送→344.0万人減、2ヵ月連続で減少<前月は3.7万人減
その他→129.8万人減、2ヵ月連続で減少<前月は0.9万人減
専門サービス→116.7万人減、2ヵ月連続で減少<前月は1.3万人減
教育・健康→97.1万人減、増加トレンドに終止符<前月は3.2万人増
情報→30.9万人減、3ヵ月連続で減少<前月は0.6万人減
金融→21.6万人減<前月は0.1万人増
財部門(製造業、建設、鉱業)は422.9万人減と、前月の3.8万人減(修正値)から一段と悪化した。内訳をみると、最も下押ししたのは建設で、次いで製造業、鉱業となった。
建設 247.7万人減、2ヵ月連続で減少<前月は3.5万人減
製造業 167.4万人減<前月は横ばい
鉱業 7.8万人減、減少トレンドを維持<前月は0.2万人減
企業規模別では以下の通りで、今回大企業が全体を押し下げた。
ADPリサーチ・インスティチュートのアフ・イルディルマス共同ヘッドは、結果を受け「4月の雇用減少幅は単月だけで金融危機後の失業数を上回る」と指摘した。さらに雇用統計と同じく「12日を含む週に給与を支払われた従業員がベース」とし、4月全体の数字ではない点に注意を促した。
――ADPが指摘する通り、4月12日時点での給与を元にしたデータだったとしても全米人口の約95%相当ですから、新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出禁止措置の影響が明確に現れる見通しです。今回の数字は、米4月雇用統計・非農業部門就労者数は2,000万人減とほぼ整合的ですから、織り込み済みだったといっても過言ではありません。問題は各州で経済活動が再開しつつあるなか米新規失業保険申請件数のうち継続受給者数がスピード感をもって鈍化するか否かです。しかしながら航空会社やレストラン、美容院は再開しても席を一つ開けるなどコロナ禍以前の営業は当分可能ではなく、雇用のV字回復の道は極めて険しいと言わざるを得ません。
(カバー写真:Thomas Cizauskas/Flickr)
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