Housing Starts Disappoint Market In May, But Builders Sentiment Surges.
米5月住宅着工件数は年率97.4万件と、市場予想の110万件に届かなかった。前月の93.4万件(89.1万件から上方修正)を4.3%上回ったが、2015年以降で2番目の低水準となる。ただ、米6月NAHB住宅市場指数は急回復しており、第2波の懸念がくすぶる半面、明るい兆候も見て取れる。前年比では23.2%減と、2ヵ月連続で2桁減となった。
内訳は以下の通り。
・一戸建て→前月比0.1%増の67.5万件と3ヵ月ぶりに増加、前年比は17.8%減と2ヵ月連続で2桁減
・複合住宅→前月比16.9%増の29.1万件と4ヵ月ぶりに増加、前年比は33.1%減と2ヵ月連続で2桁減
・4大地域別→2地域で増加、4月の全滅から改善。特に西部が69.8%増と大幅増だったほか、北東部も12.8%増と2桁増に転じた。一方で、北東部や西部より比較的高所得層が少ない南部と中西部はそれぞれ16.0%減、1.5%減だった。
チャート:住宅着工件数、2015年以降で2番目の低水準
米5月建設許可件数は122万件となり、2014年11月以来の低水準だった前月の106.6万件(修正値)を14.4%上回った。経済活動の段階的な再開を支えに4ヵ月ぶりに増加している。一戸建てが11.9%増の74.5万件と3ヵ月ぶりに増加したほか、複合住宅も18.8%増の47.5万件と増加に転じた。前年比では8.8%減と、2ヵ月連続でマイナスとなった。
米5月建設中件数は117.2万件と、前月の118.9 万件(修正値)を1.4%下回った。3ヵ月連続でマイナスとなり、6ヵ月ぶりの水準へ減少している。一戸建てが2.1%減の50.3万件と3ヵ月連続で減少したほか、複合住宅も0.9%減の66.9万件と2ヵ月連続で減少した。
チャート:建設許可件数は4ヵ月ぶりに増加、建設中件数は6ヵ月ぶりの低水準
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、50.6万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を約10万件下回るだけに、旺盛な住宅需要を踏まえれば、在庫不足と言えるでしょう。ただ、足元で新型コロナ第2波懸念がくすぶるだけに、今後需要が減速する余地を残します。
▽米6月NAHB住宅市場指数、経済活動再開を手掛かりに急回復
米6月NAHB住宅市場指数は58となり、市場予想の45並びに前月の37をはるかに上回る結果となった。3ヵ月ぶりの水準を回復。新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止措置が解除されるなか、コロナ後の急落からV字型回復を示しつつある。内訳は以下の通り。
・一戸建て現況指数 63、3ヵ月ぶりの高水準>前月は42
・見通し指数 68、3ヵ月ぶりの高水準>前月は46
・客足の動向を表す見込み客指数 43、3ヵ月ぶりの高水準>前月は21
チャート:NAHB住宅市場指数は急上昇
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のディーン・モン会長は「米国の経済活動が再開するに合わせ、住宅市場は経済の前進を牽引する上で良い位置にある」と振り返った。また「在庫は低水準にあり、住宅ローン申請件数も増加し、金利は低く信頼感は上昇中」と指摘。見込み客も「前月から倍以上に伸び、ネットや電話での問い合わせも増加している」と、極めて楽観的だった
NAHBのロバート・ディエス首席エコノミストは、一戸建て住宅市場につき「機会と困難が併存するなかでも、明確な回復のサインが見て取れる」とコメント、建設業者によれば「人口密度の低い郊外の住宅への需要が高まっている」という。しかし、同氏は「失業率の高止まりと第2波の影響が気掛かり」との見解を寄せ、今後について慎重な姿勢を覗かせた。
(カバー写真:seanbirm/Flickr)
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