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米7月ISM製造業景況指数、V字回復も雇用は分岐点割れ継続

by • August 5, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2141

ISM Manufacturing Index Achieves V-Shape Recovery But Employment Remains Weak.

米7 月ISM製造業景況指数、米7月マークイット製造業PMI確報値、各連銀の製造業景況感指数、米12月建設支出をおさらいしていきます。

米7月ISM製造業景況指数はと54.2と、市場予想の53.6を上回った。テキサス州を始め経済活動再開の一時停止や規制が再導入されるなかでも前月の52.6を超え、コロナ禍からV字回復しただけでなく、2019年3月以来の高水準となる。

内訳をみると、生産や新規受注は2ヵ月連続で分岐点を上回っただけでなく、60台へ上振れした。仕入れ価格も、2ヵ月連続で分岐点に乗せている。雇用も回復を続けたが、分岐点割れを保った。詳細は、以下の通り。

・生産 62.1、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は57.3、6ヵ月平均は46.4
・新規受注 61.5、2ヵ月連続で分岐点乗せ>前月は56.4、6ヵ月平均は44.8
・雇用 44.3、12ヵ月連続で分岐点割れ>前月は42.1、6ヵ月平均は39.5

・在庫 47.0<前月は50.5、6ヵ月平均は48.5
・新規輸出受注 50.4、5ヵ月ぶりに分岐点を回復>前月は47.6、6ヵ月平均は45.1
・仕入れ価格 53.2>前月は51.3、6ヵ月平均は44.0

・入荷遅延 55.8>前月は56.9、6ヵ月平均は63.2
・受注残 51.8>前月は45.3、6ヵ月平均は44.9

ISMのティモシー・フィオーレ会長は、結果を受け「製造業活動はコロナ禍の混乱から回復を続け、回答者からのコメントは前月に続き全般的にポジティブだった」と振り返った。また「需要と消費が製造業の拡大を牽引し、仕入れ化価格は需要と供給の均衡点にある」と指摘。セクター別では「引き続き食品飲料・タバコが好調だったほか化学、コンピュータ・電子機器、石油・石炭が特に拡大した」半面、「輸送機器、組み立て金属がゆるやかながら縮小した」という。

今回、18業種別でビジネス拡大を報告したのは13業種(木材、家具、繊維製品、印刷関連、食品・飲料・タバコ、プラスチック・ゴム製品、コンピュータ・電子機器、一次金属、石油・石炭、雑貨、電気機器・電気部品)となった。逆に、縮小を報告した業種は3業種(輸送機器、機械、組立金属)は縮小、他2業種は横ばいだった。

ISM製造業景況指数、マークイットPMIともに分岐点は確保。

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(作成:My Big Apple NY)

▽米7月IHSマークイット製造業PMI・確報値、5ヵ月ぶりに分岐点を回復

米7月IHSマークイット製造業PMI確報値は50.9と、市場予想並びに速報値の51.3を上回った。前月の51.3を超え、5ヵ月ぶりに分岐点を回復した。

クリス・ウィリアムソン首席ビジネス・エコノミストは、結果を受け「1月以来の力強い伸びとなったが、引き続き懸念するほど弱く、足元の改善は工場再開に伴う生産回復がメインとなっている」と説明した。そのほか「新規受注の伸びは惨憺たるもので、受注残は低下トレンドにある」と指摘。多くの企業は「感染者数増加を背景に一部の州で規制を再導入するなか、未だ支出に慎重」とし、「多くの回答者は本格的な回復は早くとも年末以降と見込んでいる」とまとめた。

――今回、ISM製造業景況指数とマークイットPMIはそろって分岐点に乗せ、前者は新規受注や生産が60台に乗せ大幅上昇しました。ところが、ISMとマークイットそろって雇用は分岐点を回復できず。IHSマークイットからは「新規受注が抑制され、雇用が過剰な状況」との報告があったように、コロナ禍の生産停止状況から正常化した程度で、需要は追いついていない様子です。米7月雇用統計での製造業の雇用の伸びは、鈍化しそうな雲行きです。

▽米6月建設支出、住宅と非住宅共に弱く予想外に減少

米6月建設支出は前月比0.7%減の年率1兆3,552億ドルとなり、市場予想の1.0%増に反する結果となった。前月の1.7%減(2.1%減から上方修正)を含め、3ヵ月連続で減少している。米4~6月期実質GDP成長率・速報値では構築物投資が3期連続で落ち込んだだけでなく、少なくとも2000年以降で最悪だったように、建設支出は軟調な水準を保つ。前年比では0.1%増と4ヵ月連続でプラスとなった。

内訳は以下の通り。

・民間 0.7%減と4ヵ月連続で減少
・公共は0.7%減と減少反転

・住宅 1.4%減と4ヵ月連続で減少、前年比は0.4%減と2019年7月以来の減少
・非住宅 3ヵ月連続で減少、前年比は3ヵ月ぶりに増加

チャート:直近では前年比プラス圏を維持。

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――米6月住宅着工件数は2ヵ月連続で増加したものの、非住宅の弱さも手伝って建設支出は力強さに欠けます。コロナ禍を受けた不確実性の高まりで設備投資の先送りも懸念され、建設支出はISM製造業景況指数のようなV字型回復は困難となりそうです。

(カバー写真:Jeanne Menjoulet/Flickr)

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