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米6月住宅着工件数は予想以下も2ヵ月連続で増加、第2波が懸念材料

by • July 29, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1980

Housing Starts Less Than Expected, But Builders Sentiment Achieve V-Shape Recovery.

米6月住宅着工件数と、米7月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米6月住宅着工件数は年率118.6万件と、市場予想の119.0万件に届かなかった。前月の101.1万件(97.4万件から上方修正)を17.3%上回り、経済活動の再開に合わせ2ヵ月連続で増加している。前年比では3.9%減と、2ヵ月連続で2桁減となった。米7月NAHB住宅市場指数がV字型回復の様相を遂げ住宅市場の改善に期待が掛かる半面、全米のうち少なくとも27州で経済活動再開が一時停止するだけに、今後は着工件数が伸び悩みかねない。

内訳は以下の通り。

・一戸建て→前月比17.2%増の83.1万件と2ヵ月連続で増加、前年比は3.9減と3ヵ月連続で減少
・複合住宅→前月比18.6%増の35.0万件と2ヵ月連続で増加、前年比は2.5%減と3ヵ月連続で2桁減

・4大地域別→3地域で増加、5月の2地域を上回った。特に北東部も111.8%増と前月の2桁増に続き急増したほか、中西部は29.3%増に。南部は20.2%増と4ヵ月ぶりに増加した。一方で、北東部や西部より比較的高所得層が少ない南部と中西部はそれぞれ16.0%減、1.5%減だった。5月に大幅増だった西部は7.5%減と過去5ヵ月間で3回目の減少となった。

チャート:住宅着工件数、2015年以来の低水準から回復

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(作成:My Big Apple NY)

米6月建設許可件数は124.1万件となり、前月の121.6万件(修正値)を2.1%上回った。経済活動の再開を手掛かりに、2ヵ月連続で増加している。一戸建てが11.8%増の83.4万件と3ヵ月ぶりに増加した半面、複合住宅は13.4%減の40.7万件と減少に転じた。建設許可件数は前年比では2.5%減と、3ヵ月連続でマイナスとなった。

米6月建設中件数は116.2万件と、前月の116.9 万件(修正値)を0.6%下回った。4ヵ月連で減少している。一戸建てが1.4%減の49.7万件と4ヵ月連続で減少したほか、複合住宅は横ばいの91.0万件と減少を2ヵ月連続で止めた。

――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、62.3万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を約15万件上回るだけに、在庫不足が一段と悪化するリスクは回避されそうです。ただ、新型コロナ第2波の動向次第では需要を冷やしかねません。

▽米7月NAHB住宅市場指数、V字型回復を達成

米7月NAHB住宅市場指数は72となり、前月の58を超え3月の水準に並んだ。経済活動再開の一時停止や規制再導入が進む裏側で、コロナ後の急落からV字型回復を遂げた。内訳は以下の通り。

・一戸建て現況指数 79、4ヵ月ぶりの水準を回復
・見通し指数 75、4ヵ月ぶりの水準を回復
・客足の動向を表す見込み客指数 58、6ヵ月ぶりの水準を回復

チャート:NAHB住宅市場指数は急上昇

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(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のチャック・フォーク会長は「中古住宅の在庫が低水準にあるなか、建築業者は新築住宅に対する力強い客足動向と関心を確認している」と振り返った。

NAHBのロバート・ディエス首席エコノミストは、一戸建て住宅市場につきじ「住宅市場は明らかに改善しているが問題はこれからで、木材価格が約2年ぶりの高水準にあるほかその他の材料費も上昇し、人手不足も重なる」と指摘。ただし在宅勤務の普及を通じ「住宅需要は地理的に変化しており、人口密度が低く都心部より小型の都市圏や地方へ移り変わっている」とし、こうした需要が住宅市場を支える見通しを示した。

(カバー写真:Summer Bradshaw/Flickr)

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