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米6月中古住宅は4ヵ月ぶりに増加、新築住宅販売は約12年ぶり高水準

by • July 29, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off1945

Two Tales Of Housing Market : Inventories Hold The Key.

全米リアルター協会(NAR)が発表した米6月中古住宅販売件数は年率472万件と、市場予想の475万件を下回った。前月の391万件を20.7%上回り、4ヵ月ぶりに増加に転じている。前月比での増加率は1968年に統計を開始して以来、過去最大を記録した。中古住宅販売件数の前年比は11.3%減と、3ヵ月連続で2桁減となり、過去5ヵ月間で3回目の減少となった。

内訳は以下の通り。

・一戸建て 前月比19.9%増の428万件と2010年10月以来の低水準だった5月から増加に反転、前年比9.9%減
・複合住宅 前月比29.4%増の44万件と年初来で初の増加となり、前年比は22.8%減と4ヵ月連続でマイナスだった。

チャート:中古住宅販売件数、金融危機後まもない2010年の水準から改善

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(作成:MyBigAppleNY)

〇4大地域別では、全ての地域で増加し、5月まで3ヵ月連続で全ての地域で減少した状態から反転
・北東部 4.3%増(5ヵ月ぶりに増加)の49万件
・中西部 11.1%減(4ヵ月ぶりに増加)の110万件
・南部 26.0%増(4ヵ月ぶりに増加)の218万件
・西部 31.9%増(4ヵ月ぶりに増加)の95万件

〇在庫件数は、経済活動の再開とコロナ禍で増加
・在庫件数 前月比1.3%増の157万件と過去6ヵ月間で5回目の増加前年比では18.2%減と13ヵ月連続でマイナス(なお2019年12月に139万件と1999年以来での最低を更新)
・在庫相当 4.0ヵ月、前月は4.8ヵ月と2015年7月以来の水準
・販売日数 24日、前月の26日を下回りコロナ前の40日台から大幅短縮(NARは、販売件数の62%が1ヵ月以内に買い手がついたと説明、5月の39%を大きく上回った)

〇住宅価格は高止まり
・中央価格 前月比4.1%上昇の29.53万ドルと上昇に反転し過去最高値を更新、前年比では3.5%上昇し2012年3月以降続くプラス基調を維持

〇買い手の内訳、投資家の需要が下支え
・新規購入者 35%>前月は34%、前年同月は32%
・現金購入者 16%<前月は17%、前年同月は21%
・住居用ではなく投資向け 9%<前月は14%、前年同期は17%

チャート:新規購入者の比率は直近で最高水準

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(作成:My Big Apple NY)

発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、コロナ禍以前から逼迫する住宅在庫を受け「価格はロックダウン中もロックダウン後も変わらず、激しい競争により上昇中だ」と指摘した。

▽米6月新築住宅販売件数、約13年ぶりの高水準

米6月新築住宅販売件数は年率77.6万件と、市場予想の70.0万件を上回った。前月の68.2万件(67.6万件から上方修正)を13.8%上回り、2ヵ月連続で増加2007年7月以来の高水準となった。新築住宅販売件数の前年比では6.9%増と、2ヵ月連続で増加した。

チャート:新築住宅販売件数、4ヵ月ぶりに増加

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(作成:My Big Apple NY)

〇4大地域別では全ての地域で増加、前月の3地域を上回る
・北東部 前月比89.7%増(2ヵ月連続で増加)の5.5万件
・中西部 前月比10.5%増(過去5ヵ月間で2回目の増加)の8.4万件
・南部 前月比7.2%増(2ヵ月連続で増加)の43.4万件
・西部 前月比18.0%増(2ヵ月連続で増加)の20.3万件

〇在庫総数は減少
・在庫総数 前月比1.3%減の30.7万件、2018年5月以来の低水準
・在庫相当 7.1ヵ月、前月の6.9ヵ月から延び2018年12月以来の水準

チャート:在庫件数、6月に中古は改善も新築は2ヵ月連続で減少

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(作成:My Big Apple NY)

〇住宅価格は高止まり
・中央価格 前月比6.1%上昇の32.92万ドル、前年比も5.6%上昇、前月は2ヵ月連続で上昇、前年比は3ヵ月ぶりに上昇
・今回、販売件数のうち価格帯別で20万~29万ドルと30万~39万ドル、合わせて60%が中央レンジ付近に

――中古住宅販売件数が4ヵ月ぶりに増加し、新築住宅販売件数は2ヵ月連続で増加するなど、そろって改善しました。両者は、契約段階でどの時点の数字をベースにしているかの違いがあります。中古住宅が引き渡しを示す一方で、新築は契約にサインした段階を表すため、中古住宅販売件数は経済活動の段階的な再開の影響を受けることから5月も減少したものです。しかし、6月は経済活動再開を受け、漸く上向きに転じました。

米7月NAHB住宅市場指数がV字型回復を遂げたように、コロナ第2波が米国を直撃するなかでも住宅需要が比較的堅調な点は、心強い。MBA住宅ローン指数のうち、新規購入も5月22日週以降、経済活動再開の一時停止を受けながら前年比でプラスを維持しているのですよ。

チャート:MBA住宅ローン申請件数指数、前年比はプラス基調を維持

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(作成:My Big Apple NY)

新規感染者数の急増が問題視されていますが、現時点でレストランや美容室など対面のサービス業が規制の対象となっており、足元で不動産業はZoomなどを駆使したオンライン下見会などを開催しているもよう。また郊外へ需要が広がるなか、自動車での移動も含め三密を回避できることから、物件紹介などは可能だといます。サービス部門の個人消費に減速の懸念がくすぶるなか、せめて米経済の約15%を担う住宅市場が米経済を下支えしてくれればよいのですが。

(カバー写真:Kansas Sebastian/Flickr)

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