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米4月個人所得は現金給付効果はく落で減少、貯蓄率は急低下

by • May 31, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off1786

Personal Income Declines As Stimulus Check Effect Fades.

米商務省が5月28日に発表した4月個人消費支出は、ワクチンの普及拡大や経済活動の再開という追い風を受けつつも、現金給付の効果で大幅増となった前月から伸びが鈍化した。一方で、個人所得は景気刺激策に盛り込まれた1人当たり1,400ドルの小切手支給の効果が剥落し、大幅減に。貯蓄率は所得が減少した一方で消費が小幅ながら増加した結果、前月値の半分程度まで下げた。詳細は以下の通り。

〇個人消費支出

・前月比0.5%増(2ヵ月連続で増加)、市場予想と一致、前月は4.7%増(4.2%から下方修正)
・前年比28.5%増(2ヵ月連続で増加)、前月は11.5%増
・インフレを除く実質ベースでの個人消費は前月比0.1%減(年初来で2回目の減少)、市場予想は0.2%増、前月は4.1%増(3.6%から上方修正)
・前年比では24.0%増(2ヵ月連続で増加)、前月は8.9%増

チャート:個人消費は大幅鈍化

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(作成:My Big Apple NY)

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 0.6%減と年初来で2回目の減少、前月は9.7%増
・耐久財 0.5%増と2ヵ月連続で増加、前月は14.5%増
・非耐久財 1.3%減と年初来で2回目の減少、前月は6.9%増
・サービス 1.3%増と5ヵ月連続で増加、前月は2.1%増

〇個人所得

・前月比13.1%減(年初来で2回目の減少)、市場予想は14.2%減、前月は20.9%増(21.1%増から下方修正)
・前年比では0.5%増、前月は30.0%増
・実質ベースでは前月比13.7%減と年初来で2回目の減少、前月は20.2%増
・前年比は3.0%減と2013年12月以来の減少、5月は27.0%増

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 1.0%増と20年5月から続く増加トレンドを維持、前月は1.0%増(民間は1.1%増、政府は0.4%増)
・経営者収入 3.2%増と4ヵ月連続で増加、前月は6.5%増(農業は9.9%増、非農業は2.9%増)
・家賃収入 0.5%増と4ヵ月連続で減少、前月は0.8%増
・資産収入 0.5%造と4ヵ月連続で増加、前月は0.3%増(配当が0.2%増、金利収入は1.0%増)
・移転所得 41.4%減、年初来で2回目の減少、前月は95.2%増
・社会福祉 41.6%減、年初来で2回目の減少、前月は96.3%増(メディケア=高所得者向け医療保険は0.5%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.8%増、失業保険は8.5%減、退役軍人向けは0.5%増、その他は70.5%減)

チャート:個人所得は現金給付の効果はく落で大幅減、賃金の伸びが今後消費を支えられるか課題

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(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得

・前月比14.6%減、年初来で2回目の減少、前月は23.4%増
・前年比は1.0%減、前月は33.3%増
・実質ベースの可処分所得は前月比15.1%減、年初来で2回目の減少、前月は22.7%増
・前年比は4.4%減、2013年12月以来の減少、前月は30.2%増

〇貯蓄率

・14.9%、前月の27.7から大幅低下

チャート:貯蓄率は前月の水準からほぼ半減

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター

・PCEデフレーターは前月比0.6%の上昇(5ヵ月連続で上昇)、市場予想は0.6%上昇、前月は0.4%
・前年比は3.6%上昇(1991年6月以来の高い伸び)、市場予想は3.5%の上昇、前月は2.4%
・コアPCEデフレーターは前月比0.7%上昇(5ヵ月連続で上昇)、市場予想は0.6%の上昇、3月は0.6%の上昇
・コアPCEの前年比は3.1%の上昇(1992年7月以来の高い伸び)、市場予想は2.9%の上昇、前月は1.9%の上昇(1.8%から上方修正)

チャート:PCEコアとPCEそろって前年比は90年代初め以来の高い伸び

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(作成:My Big Apple NY))

――3月に現金給付を元手に消費を加速させた反動から、貯蓄率が急低下してしまいました。5月に消費者信頼感指数の購入見通しが下振れしたのは、大型現金給付が見込まれないなかで、財布の紐を締める必要性に迫られたからかもしれません。失業保険の給付停止の動きも、冷や水を浴びせた可能性も。お陰で米新規失業保険申請件数は改善が続きますが、問題は資材価格などの上昇にさらされる企業が求職者を引き付けられるだけの賃金を支払えるかどうか。失業保険の上乗せなど特別措置は9月6日に期限切れを迎えるだけに、受給者は職探しにいそしむ必要があります。児童手当が月最大300ドル入ってくるとはいえ、食品などを始めインフレが進む状況では、現金給付のような起爆剤となりえませんし・・。

(カバー写真:Investment Zen/Flickr)

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