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2020年春、ファウチ所長がメールのやりとりをした相手とは・・

by • June 3, 2021 • Latest News, NY TipsComments Off2186

Inside Of Dr. Fauci’s Email Account During Last Spring.

ワシントン・ポスト紙が、情報自由法の下でこんなスクープを飛ばしました。

なんと、コロナ禍で陣頭指揮を執ってきた米国立アレルギー感染症研究所・ファウチ所長が送受信した20年春頃のメールを入手していたのですよ。

2020年3~4月頃に送受信された866ページに及ぶメールの数々からは、コロナ禍という国家の緊急事態に直面した当時、対応の急先鋒に立たされていたファウチ氏の日常が垣間見れます。

1日に1,000通ものメールを受け取る状況下、ファウチ所長は時に夜中まで返信に時間を掛けていたといいますから、その尋常でない働きぶりに脱帽するばかりです(弊職の力不足さが歯がゆいばかりですよ・・・)。

無数のメールの中には、中国疾病予防管理センター長・高福氏とのやり取りが確認できます。

高氏は20年3月付けのサイエンス誌で、各国がマスク着用義務化に乗り出さなかった点を「非常に大きな間違い(massive mistake)」と痛烈に批判していましたが、これについて高氏はメールで「他人の間違いを指摘するのはジャーナリストの仕事であって、本当のところを分かって頂ければありがたい」と謝罪していたのですよ。それに対しファウチ氏は理解を示すと共に恨みっこ無しと答え、共に苦境を乗り越えようと語り掛けていたのです。

また高氏は20年4月8日付けのメールにて、当時のトランプ政権や一部の人々から批判にさらされるファウチ氏に寄り添っていました。ファウチ氏はこれに対し「おかしな人々(loopy individuals)がいても、全く気にしない」と返信していました。日本人の皆様には、ルーピーという言葉の意味をよくお分かりですよね。

他にファウチ氏は懇意にしているビル&メリンダ・ゲイツ財団の幹部やプロスポーツ界の医療チーム、映画関係者などにも返信しておりました。特にゲイツ財団のアドバイザーとは、2週間に一度のペースで対話していたんですね。。逆に、ホワイトハウスの関係者とは2ヵ月間にわたって会話が止まっていた動きと、対照的です。なお、20年6月にファウチ氏自身、「大統領と会議は劇的に減少した」と不満を打ち明けていました。

画像:記者会見に臨むファウチ氏と、それを見守るトランプ大統領(当時)

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(出所:Trump White House Archived/Flickr)

一部で問題視されているのが、ファウチ氏の新型コロナ・ウイルス起源説をめぐる姿勢です。

ファウチ氏は、基本的にウイルスをめぐり「自然発生」の立場を採用し203月時点では武漢研究所流出説と人為説を否定していたのですが、5月後半から「調査の必要がある」と語っています。

起源に関するこうした事実に加え、白日の下にさらされたメールの数々を確認し、噛みついているのが共和党議員です。

当時、武漢研究所が人為的にウイルスをまき散らしたと警告したメールを無視していたとして、自身もコロナに罹患した保守派のランド・ポール上院議員(ケンタッキー州)はツイッターで”#FireFauch”口撃し、中道派寄りの同党下院の重鎮キャシー・マクモリス・ロジャーズ議員(ワシントン州)も、NIHの透明性に関わると非難しています。“眼帯の元ネイビー・シールズ”で知られるダン・クランショー下院議員(テキサス州)などは「ファウチ氏は私の信頼を失った」と一刀両断でした。

リサ・マクレイン下院議員(ミシガン州)は、前述した高氏との対話を問題視しています。なぜなら、中国の説明責任について追及する姿勢がみられなかったためです。

さらに、ファウチ氏と彼が所属する米国立アレルギー感染症研究所の上部組織、アメリカ国立衛生研究所(NIH)が、武漢の研究所に非営利団体のエコヘルス・アライアンスを通じ、2002年頃に中国科学院武漢ウイルス研究所に対し、2014~19年に助成金供与を支持したという問題も抱えます。研究のテーマがコウモリによる感染症という点も、注目を集める材料に。20年8月にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じた疑惑が再びクローズアップされ、共和党議員が次々に槍玉に挙げる状況です。

バイデン政権は5月頃から武漢研究所流出説をめぐり調査の必要性を唱え行動していますが、果たして真実が明らかになるのか。どんな結果になろうとも、ファウチ氏が骨身を削りながら矢面に立っていた事実は変わりません。

(カバー写真:Trump White House Archived/Flickr)

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