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米9月小売売上高は2ヵ月連続で予想外の増加も、3ヵ月平均は横ばい

by • October 17, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off1993

Retail Sales Unexpectedly Increase 2-Month  In A Row, But It Does Not Mean Q3 GDP Growth Picture.

米9月小売売上高は前月比0.7%増と、市場予想の0.2%減に反しプラスとなった。前月の0.9%増(0.7%増から上方修正)に届かなかったものの、年初来で6回目の増加となった。7月から子育て世帯向けに税控除を開始した効果に加え、対面授業の再開も重なり新学期セールスが奏功し9月も予想外に増加している。ハリケーン「アイダ」の効果は、限定的だった。

自動車とガソリンを除いた9月の小売売上高は前月比0.7%増と、前月の2.1%増(2.0%増から上方修正)を下回ったとはいえ、堅調な伸びを維持。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も0.8%増と、市場予想の0.4%増を上回り年初来で5回目の増加となる。ただ、前月の2.6%増(2.5%増から上方修正)には届かなかった。

チャート:小売売上高、前月比で2ヵ月連続で増加

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チャート:前年比は13.9%増、ベース効果で過去最高の伸びとなった4月から鈍化トレンドに

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(作成:My Big Apple NY)

前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中11費目増加し、前月の10費目を上回った。今回、最も力強く増加したのはスポ―ツ用品・書籍・趣味が入り、続いて前月に続き一般小売、雑貨が牽引。また、ガソリン高を受けガソリンスタンド、新学期入りとあって服飾も堅調だった。一方で、ヘルスケアと電気製品は減少。半導体不足に伴い減産を余儀なくされる自動車は、5ヵ月ぶりに増加した。なお、NY市は8月3日、カリフォルニア州サンフランシスコとルイジアナ州ニューオーリンズは8月12日、レストランやジムの利用など屋内活動でのワクチン接種を義務化した。18歳以上のワクチン接種完了者の割合が全米人口の78.8%(10月16日時点)を占め、デルタ株感染拡大は8月末をピークに減少傾向にある。前月比の費目別詳細は以下の通り。

(プラス費目)

・スポーツ用品/書籍/趣味→3.7%増、年初来で3回目の増加>前月は3.3%減、6ヵ月平均は2.4%増
・一般小売→2.0%増、年初来で5回目の増加<前月は3.4%増、6ヵ月平均は0.2%増(百貨店は0.9%増<前月は2.2%増、6ヵ月平均は1.8%増)
・雑貨→1.8%増、年初来で6回目の増加>前月は1.7%増、6ヵ月平均は0.8%増

・ガソリンスタンド→1.8%増、年初来で8回目の増加>前月は1.0%増、6ヵ月平均は1.5%増
・服飾→1.1%増、年初来で6回目の増加>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.8%増
・食料/飲料→0.7%増、年初来で7回目の増加<前月は2.2%増、6ヵ月平均は0.9%増

・無店舗(主にネット)→0.6%増、年初来で6回目の増加<前月は5.7%増、6ヵ月平均は0.1%増
・自動車/部品→0.5%増、年初来で4回目の増加>前月は3.3%増、6ヵ月平均は1.6%減
・外食→0.3%増、年初来で8回目の増加>前月は0.2%増、6ヵ月平均は2.3%増

・家具→0.2%増、年初来で5回目の増加<前月は1.8%増、6ヵ月平均は0.1%減
・建築材/園芸→0.1%増、年初来で4回目の増加<前月は1.1%増、6ヵ月平均は1.7%減

(マイナス費目)

・電気製品→0.9%減、年初来で5回目の減少<前月は4.3%減、6ヵ月平均は0.5%減
・ヘルスケア→1.4%減、年初来で3回目の減少<前月は0.2%増、6ヵ月平均は横ばい

チャート:9月の品目別動向、無店舗や家具、一般小売、食料/飲料などが牽引

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(作成:My Big Apple NY)

――予想外に2ヵ月連続で増加し、米国人はインフレ圧力を感じながらも消費に積極的な様子が見て取れます。しかし、忘れてならないのが7月の急減で、3ヵ月平均で均せば小売売上高は横ばい。費目別でも、13カテゴリー中、7費目が増加、1費目は横ばい、5費目は減少しています。

チャート:小売売上高、費目別の3ヵ月平均はまちまち

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(作成:My Big Apple NY)

また、金額ベースでも米小売売上高は3月に成立した追加経済対策での現金給付後、概ね横ばいとなっています。

チャート:米小売売上高は4月以降、一進一退

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(作成:My Big Apple NY)

こうしてみると、個人消費の伸びが主導し、米7~9月期の実質GDP成長率は前期の6.7%増から大幅鈍化すること必至です。アトランタ地区連銀のGDPナウは、米9月小売売上高などを受け10月15日時点で米7~9月期実質GDP成長率を1.2%増とし、従来の1.3%増から下方修正。必ずしもこの数字に着地するかは別として、仮にこの数字が実現すれば、潜在成長率の2%以下となります。

チャート:アトランタ地区連銀のGDPナウ、下方修正が続き10月15日時点では1.2%増に

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(作成:My Big Apple NY)

何より、今回の米9月小売売上高を受け、エコノミストは米7~9月期実質GDP成長率の見通しを変更していません。J.P.モルガン・チェースのダニエル・シルバー米国担当エコミストは「米7~9月期実質GDP成長見通しの下方リスクが減退した程度で、前期比年率4.0%増の予想を維持する」とコメントしています。

実質ベースの個人消費が鈍化するなか、バイデン政権としては大型歳出法案を通過させ、中間選挙前に景気の底上げを目指したいところです。

(カバー写真:Christof Timmermann/Flickr)

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