NRF Forecasts ‘Healthy’ Holiday Sales, But Growth Expected To Slow.
米連邦公開市場委員会(FOMC)の積極的な利上げを受けが米景気後退懸念を募らせるなか、年末商戦がまもなく開幕します。
全米小売業協会(NRF)によれば、2022年の年末商戦売上高(11月1日~12月末)は前年比6~8%増の9,426億~9,604億ドルと、過去最大の売上額が見込まれています。ただ、伸び率は前年の13.5%増を下回る見通し。オンラインの売上高は前年比10~12%増の2,628億~2,676億ドルと、2021年の2,389億ドルを上回るシナリオが描かれています。
チャート:2022年の年末商戦売上高、6~8%増で13年連続で過去最大へ
年末商戦の臨時雇用は45万~60万人と、2021年の66万9,800人を下回る見通し。これは、米10月チャレンジャー人員削減予定数で発表された採用予定者数の伸び鈍化と整合的です。
さて、今年の年末商戦の特徴をみていきましょう。
〇11月以前にギフトを購入
・今年、11月より以前にギフトを購入するとの回答は46%と前年の49%を下回ったものの、2011年以降で2番目の高水準
〇11月以前にギフトを購入する理由
・前倒しで購入する最大の要因は「予算不足」が60%で最も多く、前年の54%を上回った。その他、前年を上回ったのは「値引き」で39%となる。また、今回新たに加えられた回答として「年末にかけ価格が上昇する」との回答も44%で、物価高の状況下、年末商戦本番での値引き率が縮小する懸念が見え隠れした。
〇1人当たりの支出額
・物価高の状況下、年収7.5万ドル(約1,100万円)以下の世帯の1人当たり支出額見通しは前年比7.5%減の606ドル。逆に7.5万ドル以上の世帯では同11.8%増の1,304ドルだった。年収15万ドル以上の場合は、21%増に増加幅が広がり、高所得者層が年末商戦の売上増に貢献する見通しだ。
チャート:1人当たりの支出額、物価高が影響し7.5万ドル以下は前年比マイナス
〇消費者が求める商品
・不動の人気は「ギフトカード」だったが、前年を下回り2020年の数字に並んだ。前年比で上昇し過去3年間で最高だったのは2位の「服飾・アクセサリー」で過去2年間の47%を超え48%、8位の「スポーツ関連」も18%と、過去2年間の16~17%を上回った。経済活動の再開を受け、スポーツを楽しむ米国人が小幅ながら増加した可能性を示唆する。
1位 ギフトカード 54%
2位 服飾・アクセサリー 48%
3位 書籍・その他メディア 30%
4位 電化製品 30%
5位 インテリア製品 23%
6位 宝飾品 21%
7位 パーソナル・ケア 20%
8位 スポーツ関連品 18%
9位 リフォーム関連 17%
10位 その他 7%
NRFの年末商戦見通しを受け、楽観的とのコメントが少なからず聞かれます。確かに、米9月CPIを見ても実質の平均時給の伸びはマイナスで、貯蓄率も3.1%と2008年以来の水準近くまで低下中。年末商戦の売上高と貯蓄率をみると、多少の相関が認められます。
チャート:年末商戦の売上高の伸びと貯蓄率
NRFの見通しより、伸びが縮まるシナリオも想定すべきでしょう。
(カバー写真:Robert S/Flickr)
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