Employment-population Ratio Stays Subdued Because..
米8月雇用統計は、「労働市場のたるみ」が解消されつつあり巡航速度での改善を確認しました。
一方で、イエレン・ダッシュボードに含まれていないアノ数字は低迷したままなんです。
その数字こそ、就業率。労働力に占める被雇用者の割合です。8月雇用統計では3ヵ月連続で59.0%となり、金融危機前夜である2008年9月以来の高水準をキープ。とはいえ、以下のチャートをご覧下さい。
1980年代後半からリセッション以前の水準である60%オーバーには遠く及んでいません。
もうひとつ、気になるデータがあります。
フリーランサー組合とフリーランス向け求人会社イーランス・オーデスクの調査によると、2014年7月時点でのフリーランスは5300万人にのぼりました。アメリカの労働人口の34%、3人に1人がフリーランスという計算になります。特にミレニアル層に多く35歳以下の労働者のうち38%がフリーランスでした。35歳以上の場合は、32%です。
そもそもアメリカでは雇用者に有利な法制上、派遣やフリーランスなど非正規雇用の芽が伸びる土壌が出来上がっていた。その分、日本化が加速したのは必然だったといえるでしょう。タイム・ワーナーが21世紀フォックスの買収案撤回を受け株価が下落した後、傘下の映画部門ワーナー・ブラザーズで人員削減を発表したことを踏まえると、従業員の立場の弱さが見え隠れします。
非営利団体の米国雇用法プロジェクトは米8月雇用統計の公表を控えた9月2日、レポートで労働人口に占める派遣社員の割合が2%と過去最大とも明かしていました。2013年7月から2014年7月までの新規雇用に占める低賃金の割合が他と比較し突出していたのも、むべなるかな。
イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のジャクソン・ホールでの講演は、リセッション後に変化した労働市場の悩ましさを表したんでしょう。数字と実体がここまでかい離すれば、テクニカル的な議論で煙に巻きたくなるものです。
(カバー写真:Quad city times)
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