Morgan Stanley Profit Surge On Trading Performance.
モルガン・スタンレーが20日寄り前に発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比59.1%増の23億9400万ドルだった。金融危機以来で最高を達成している。減税分と会計上の調整を除いた場合は1.18ドルと、市場予想の0.78ドルより強い。2月に米司法省と住宅ローン担保証券に絡む和解金の26億ドルの支払いに達したものの、大幅増益を達成した。収入は4倍増の99億700万ドル、会計上の調整済みベースでも同じく4倍増の97億8200万ドルで市場予想の91億7000万ドルを上回った。
▽トレーディング
収入は前年同期比26.0%増の40億8300万ドルとなり、2014年10−12月期の19億4400万ドルからも大幅に上回った。競合のトレーディング収入は、以下の通り。
JPモルガン 9%増の56億7000万ドル
シティグループ 6%減の48億500万ドル
ゴールドマン・サックス 30.4%増の42億5800万ドル
バンク・オブ・アメリカ 5.1%減の38億9500万ドル
債券・商品・為替(FICC)は前年同期比15.8%増の20億300万ドルで、2014年10−12月期の2億9400万ドルからも急速な回復を遂げている。欧州中央銀行(ECB)の量的緩和発表に加えスイスフランの上限撤廃を背景にボラティリティが急伸した為替のほか、商品、金利商品が伸びを示し、クレジット商品の減収分を相殺した。競合のFICCトレーディング収入は、以下の通り。
JPモルガン 4.5%増の40億6500万ドル
シティグループ 11%減の34億8300万ドル
ゴールドマン・サックス 10%増の31億3400万ドル
バンク・オブ・アメリカ 6.8%減の27億4500万ドル
株式は前年同期比30.6%増の22億9300万ドルとなり、2014年10−12月期の16億8700万ドルから加速した。競合の株式トレーディング収入は、以下の通り。
ゴールドマン・サックス 170.2%増の31億3400万ドル
JPモルガン 22%増の16億9000万ドル
バンク・オブ・アメリカ 1.0%減の11億5000万ドル
シティグループ 1%減の8億7300万ドル
▽投資銀行部門
収入は前年同期比3.3%増の11億7300万ドル、2014年10−12月期の12億9500万ドルからは減少した。債券引き受け業務が18.6%減の3億9500万ドルとなっただけでなく、2014年10−12月期の4億6200万ドルも下回った。資金調達ボリュームの縮小により減収を迎えている。株式引き受け業務は2.6%減の3億700万ドルで、2014年10−12月期の3億4500万ドル以下にとどまった。新規株式公開(IPO)の縮小が足を引っ張ったかたちだ。一方で助言業務は40.2%増の4億7100万ドルと、合併・買収(M&A)活動の拡大に伴い大幅増益を達成。ただ、2014年10−12月期の4億8800万ドルには届かなかった。
▽資産運用部門
収入は前年同期比6.2%増の38億3400万ドルとなったほか、2014年10−12月期の38億400万ドルからも増加した。税引き前の利益率は22%と、2014年10−12月期および前年同期の19%を上回り、同行の2015年末までの目標レンジ22−25%のレンジ下限に届いた。顧客資産は2.05兆ドルとなり、2014年10−12月期の2.03兆ドルを超えた。
株主資本利益率(ROE)は減税分と会計上の調整を除いた場合で13.5%と、前年同期の8.5%を上抜けジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)が目標として掲げる10%も超えた。10%超えは、2010年以来初めてとなる。賃金を除く非金利費用は8.9%増の25億2800万ドルで、前年同期と比較して法務費用がかさんだという。ただし、2014年10−12月期の55億9100万ドルからは半減した。賃金も前年同期比5%増の45億2400万ドル。もっとも収入が増加したため、収入に占める福利厚生を含めた賃金の割合は45.7%と2014年10−12月期の65.7%および前年同期の48.5%以下にとどまる。中核的自己資本(コアTier1)比率は14.7%と、2014年10−12月期の14.1%を超えた半面、前年同期の15.6%には及ばなかった。
ジェームズ・ゴーマン最高経営責任者(CEO)は、決算資料で「今回は何年ぶりかの力強い業績を果たしており、あらゆる業務でパフォーマンスが改善した」と評価。また「将来に備えたリスクを維持し、規律正しい費用管理を反映した戦略を反映する」と振り返った。
——FICC部門や助言業務での回復が顕著となり、予想以上に強い業績を叩き出しています。おかげで、株価はNY時間の午前11時過ぎに1.3%高。中国の預金準備率引き下げを好感して大幅高を迎える株式市場を、後方支援しています。19日に住宅ローン担保証券をめぐりNY司法省と5億ドル相当の和解金に応じる方針と報じられたものの、問題視されませんでした。
(カバー写真:Security Affairs)
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