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Fed主導の株高、一番恩恵を受けている指数は?

by • June 19, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2500

Which Stock Market Index Benefits The Most From The Fed’s Decision In June?

6月16〜17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)、7月4日の独立記念日を前に「緩和策からの卒業」を前祝いする打ち上げ花火を飛ばすことはありませんでした。おかげ様で、米株は再び上昇気流に乗ったかのようです。特にナスダックは、FOMC明けにザラ場で2000年3月10日の水準を超え新高値を達成。終値ベースでも、4月24日以来の最高値を更新しました。年初来のパフォーマンスは18日までに8.4%と、目覚ましい上昇を遂げています。

その他にも、Fed主導の株高という恩恵に浴す指数が存在していました。

小型株指数のラッセル2000です。18日までに年初来から6.6%上昇しており、S&P500の3%と対照的。違いは明白でS&P500構成銘柄の売上3分の1を海外が占める一方、ラッセル2000は内需株が集まっておりドル高の影響が比較的低いんですよね。米国が着実に成長していくならば、世界景気やドル高に敏感な大型株よりアウトパフォームする公算というわけです。

ラッセル2000、ナスダックに次ぐパワフルなパフォーマンス。
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(出所:Stockcharts)

しかも6月FOMCの経済・金利見通しでは”年内1回利上げあるいは据え置き派”が前回から7人へ増加し、2016〜2017年のFF金利予想を下方修正してきました。長く緩やかな利上げであれば、成長を阻害するリスクは低くなる。CNBCでのFedサーベイでも、利上げサイクル突入による景気後退リスクを見込んでいないどころか、2016年は一段の株高を予想するほど。FOMC前から小型株の上昇が著しかったのも、ハト派寄りなFedを織り込んだ可能性をちらつかせます。

9月利上げへの確証がFedメンバーの間で後退し始めていたのなら、イエレンFRB議長が5月26日時点で今年のジャクソン・ホールでの会合に欠席を決めたことも頷けますね。マイナス成長へ下方修正された米1−3月期国内総生産(GDP)改定値の公表は、5月29日でしたから。出席を見合わせることで、政策の自由度を保てるというものです。

6月FOMCの決定を受け、JPモルガンやバークレイズのエコノミストは9月利上げ予想を維持しつつ先送りリスクに言及してきました。その一方で、シティグループは12月利上げ予想を9月に前倒ししています。

ブルームバーグによると、シティグループ北米経済調査ヘッドのウィリアム・リー氏は緩やかな成長局面でも経済を長期トレンドへ到達させると同時に、インフレを高める恐れがあると指摘。高利回り債への資金流入リスクを抑制するためにも、遅きに失するより早期の利上げが望ましいと説きます。ただし「金利のボラティリティに注意せよ」とも、付け加えていました。

ゴールドマン・サックス(GS)は反対に、9月から12月に変更しています。ヤン・ハチウス米主席エコノミストは、年内1回の利上げあるいは据え置きを見込む参加者が7人に増加した点を材料視していました。以前から年明けへの利上げシナリオを提示していたので、今回の決断はむべなるかな。もしかして、ハチウス氏の前任だったNY連銀のダドリー総裁が”利上げ1回あるいは据え置き派”の7人に加わったのでしょうか?

中国の上海総合指数はFedの恩恵にまみえず、19日に6.4%安の4478.36pで引け。年初来高値から13%を超える下落を示し、調整入り局面に突入しました。仮に中国株主導で株式市場に波乱が訪れれば(中国人民銀行が支援策を打つでしょうが)、Fedの9月利上げ開始余地は狭まってくる。上海総合指数は過去1年間で150%以上も急伸していた後なだけに冷静に受け止める市場関係者が優勢なようですが、夏場は流動性が低下しがちなので楽観は禁物です。

(カバー写真:Ustream/FRB)

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