New Buyers Push Existing Home Sales To The Highest Since 2009.
全米リアルター協会（NAR）が発表した米5月中古住宅販売件数は年率535万件となり、市場予想の525万件を超えていった。前月の509万件（504万件から上方修正）を5.1％上回り、新規住宅購入者向け減税政策が実施されていた2009年11月以来の高水準を達成。過去6ヵ月間では、4回目の増加を示す。前年比では9.2％増と、8ヵ月連続でプラス圏を維持した。
内訳をみると、一戸建てが前月比5.6％増の473万件となり前月から増加に反転。複合住宅も1.6％増の62万件と、前月の横ばいから増加に転じた。
4大地域別では、全てで増加。前月は1地域のみだった。今回は北東部が11.3％増の69万件となり、大幅増に転じ全体に寄与している。テキサス州など石油生産地が多い南部も4.3％増の218万件、西部も4.3％増の121万件とそれぞれ増加に反転。中西部は4.1％増の122万件と、4ヵ月連続で増加した。
在庫件数は、前月比3.2％増の229万件と4ヵ月連続で増加した。販売件数の伸びが在庫を上回ったため在庫相当は5.1ヵ月と、前月の5.3ヵ月から短期化している。金融危機以降で最も短期化したのは、2014年1月で4.3ヵ月だった。中央価格は前年比で7.9％上昇の22.9万ドル。前月比では4.6％上昇し、4ヵ月連続で上向いている。売り出し平均期間は40日と前月の39日から延び、2013年6月の37日から遠のいた。
買い手の内訳は、以下の通り。
・差し押さえ物件 7％＝前月を含め3ヵ月連続で7％、前年同月は8％
・ショートセール（担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅） 3％＝前月を含め7ヵ月連続で3％、前年同月は3％
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 10％＝前月を含め3ヵ月連続で10％、前年同月は11％
・新規購入者 32％＞前月は30％、前年同月は27％
・現金での購入者 24％＝前月を含め3ヵ月連続で24％、前年同月は32％
・住居用ではなく投資向け 14％＝前月を含め4ヵ月連続で14％、前年同月は16％
価格帯の内訳では、25万ドル（約3100万円）以下が44％を占める。
（出所：NAR）
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「4月に減少した後で力強い増加を遂げており、雇用回復や頭金支払い水準の低下が新規購入者の買いを促した」と評価した。また「より多くの住宅保有者が物件を売りに出したおかげで、全米で好調」と指摘。ただし「在庫は引き続きひっ迫しており、新築物件が建設されなければ2桁の伸びを繰り広げるように住宅は高止まりするだろう」と振り返った。
住宅市場のバブル警戒が高まるなかで、ユン氏は観測を否定した。理由として、以下の3つを挙げている。
1）住宅需要は最盛期の25％以下
2）新築住宅建設件数はピーク時の半分以下
3）住宅ローン残高はピーク時より10％低い
経済のファンダメンタルズを振り返っても、労働市場は健全で成長も回復基調にある。従ってユン氏は、「住宅価格の上昇は持続的」と結んでいました。
——金利上昇への懸念から駆け込み需要が膨らんだためか、米大幅増加に転じました。米5月住宅着工件数が約8年ぶりの高水準だったこともあり、在庫が伸びれば増加トレンドを維持する期待が高まる。一方で、ウォールストリート・ジャーナル（WSJ）紙は金利上昇に警鐘を鳴らします。1）西海岸を中心に住宅価格は一般市民の手が届かない水準に高騰、2）金利上振れで家計負担が一段と拡大する——といった材料を手掛かりに、「割高な市場は一段と弾みがつくというより、失速する公算」と指摘。例えば40万ドル（約4960万円）の住宅を購入し、3.9％で30年物住宅ローンを組んだ場合、金利の支払い額は毎月1890ドル（約23万4400円）です。しかし仮に金利が4.9％へ上昇すれば2100ドル、5.9％では2370ドルへ膨らみます。不動産調査会社ジローによると、住宅価格の上昇著しいカリフォルニア州サンフランシスコで住宅ローン金利が4％の場合、月額の支払いは所得の43％に至る。住宅支払い負担の適正水準である30％を大幅に超えており、ユン氏の見解に反しサステナブルとは到底言えません。住宅市場がこのまま上昇気流を謳歌するかは、疑問が残ります。
（カバー写真：C.C. Chapman/Flickr）
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