Families Will Trim Back To School Spending This Year.
7月15日、アマゾンが米国内で創業20周年を記念してプライム会員(有料会員、年会費99.9ドル)向けに特別セールを展開しましたよね。ウォルマートも負けじとオンライン販売で大規模なセールを断行したのは、こちらでご紹介した通りです。オンラインでの出血大サービス、学生の子供を持つ親御さんには心強い応援団となったことでしょう。
全米小売業界(NRF)によると、今年のK-18向け(幼稚園から高校生まで)新学期セール売上高は世帯当たり630.36ドル(約7万8200円)。2014年から5.8%落ち込む見通しで、総額では249億ドル(約3兆800億円)となります。大学生を含めると680億ドル(約8万4300円)と、前年比で9.2%の減少と相成りました。大学生向けの支出額も世帯当たり前年比1.9%減の899.18ドル(約11万1500円)と、さえません。
新学期セールは米消費全体の0.3%程度を占め、ホリデー商戦は約24%。
(出所:NRF)
景気や労働市場が改善している割に、支出額が低下するという不思議。NRFのマシュー・シェイ最高経営責任者(CEO)兼会長も「下半期の成長と消費には楽観的で、上半期から改善を見込む」と予想するように、不安の欠片もありません。実際、今回の調査で「米経済が支出プランに影響を与えなかった」との回答は23.6%と、過去最高にのぼりました。米7月ミシガン大学消費者信頼感指数・速報値が鈍化したように、Fedの利上げ開始をはじめ中国株安やギリシャ債務問題、はてにはプエルトリコが脳裏をよぎったのでしょうか?
謎を解くカギのひとつは、購入するアイテムに潜んでいました。2014年は電化製品を購入するとの回答が58.3%で、平均212.35ドル(約2万6300円)を充てていたものです。しかしながら今年は57.0%に低下し、197.24ドル(約2万4500円)と4年ぶりの水準に引き下げられていました。
服飾はというと92.7%で前年の92.8%とほぼ変わらず。購入額予想は217.82ドル(約2万7000円)と6年ぶり低水準ながら、必需品の存在感を放ちます。靴類には、117.56ドル(約1万4600円)費やす見通し。ちなみに、最も回答が多かった対象品はもちろん、学用品で94.1%となり97.74ドル(約1万2100円)でした。
店舗形態別セグメントのトップは、ディスカウント・ストアだったことも見逃せません。62.2%と前年の64.4%を下回り統計を開始した2007年以来で最低だったとはいえ、前年2位の百貨店(56.4%)を大きく突き放していました。それだけではなく百貨店は前年の59.1%からも低下が激しく、5年ぶりの水準へ沈んでいます。3位は服飾店で53.5%、4位は学用品店で35.9%、電化製品は22.4%。オンラインは35.6%と、ほぼ3割を占めました。
購入商品と購入先が低価格帯であれば、自然と支出額も減ってしまうもの。お手頃価格志向が強まるなんて、金融危機を経てジャパニゼーションが進んだ新たな証左とも言えるのでは?商品別の支出額がすべて前年比割れだった点も、消費に慎重な姿勢を現しています。親御さんが自動車や住宅を購入したために、ツケが回ったかもしれません。なお今回の調査は6500人を対象に、6月30日から7月8日に行われました。
(文中、カバー写真すべて:NRF)
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