Job Openings Hit Second Highest But Hires Decrease.
米労働省が発表した米3月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は575.7万人と、市場予想の545.0万人を上回った。前月の560.8万人(544.5万人から上方修正)から2.7%増加。2000年の統計開始以来で最高を記録した2015年7月の578.8万人に次いで、2番目の高水準を示す。なお米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で従来の21.5万人増から20.8万人増へ引き下げられた。2015年の平均22万人増にも届かず、2016年4月には16.0万人増へさらに鈍化した。
新規採用人数は前月比4.0%減の529.2万人と、減少に転じた。2006年11月以来の高水準を遂げた2月から鈍化しつつ、リセッションが開始した2007年12月時点の500万人という大台を19ヵ月連続で超えた。
離職者数は2.2%減の504.5万人となり、前月から減少に転じた。2007年4月以来の高水準だった2015年12月をはじめ今年2月に続き、500万人台に乗せている。定年や自己都合による退職者は0.7%増の298.0万人となり、統計開始以来で最高だった2015年12月の308.8万人を視野に入れた。解雇者数は7.6%減の167.1万人と、3ヵ月ぶりに減少し2015年7月以来の低水準だった。
求人数のみ増加し、他は減少。
求人率は3.9%と前月の3.8%を超え、統計開始以来で最高となる2015年7月の水準に並んだ。民間が3ヵ月連続で4.1%となり、民間のうちサービスが支えている。特に貿易・輸送・公益が3.2%から3.8%、専門・サービスが5.2%から5.8%へ急伸した。娯楽・宿泊も上昇しつつ、教育・ヘルスケアは変わらず。小売、情報、金融は低下した。財生産業も上昇が優勢で建設と製造業が上向き、鉱業のみ横ばいだった。政府は2.1%から2.2%へ上昇した。
就業者に対する新規採用率は3.7%と、2007年10月以来の高水準に並んだ前月の3.8%から低下した。民間が前月の4.2%から4.0%へ鈍化している。財生産業はまちまちで、製造業は低下、建設は上昇、鉱業は上昇した。政府は1.7%と前月の1.6%から上向いた。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3.5%と、前月の3.6%から低下した。民間が前月の4.0%から3.9%へ低下しており、政府は5ヵ月連続で1.6%だった。自発的離職率は2ヵ月連続で2.1%となり、2007年5月以来の高水準だった2015年12月の2.2%以下にとどまる。解雇率は1.2%となり、前月の1.3%から低下した。2000年12月の統計開始以来の最低である1.1%を上回る水準を保つ。
引退を含む自発的離職者数は増加も、解雇者数が押し下げ離職者数は鈍化
――以上の結果を踏まえ、イエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。今回、採用率が合格点から外れたため、達成項目は9項目中5項目へ減少しました。6項目を達成した2月から、減少しています。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字です。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 3.9%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.2%
3)自発的離職率—○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.1%
現時点 2.1%
4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.7%
5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 20.0万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 5.0%
7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 9.7%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 25.7%
9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004-07年平均 66.1%
現時点 62.8%
――米3月雇用動態調査は求人数が増加した一方で、新規採用数は減少するなどまちまちな状況です。米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の増加とは、正反対でした。離職者数は解雇者数が押し下げているため、健全な数字と判断して間違ないでしょう。米4月NFIB中小企業楽観度指数や米4月ISM製造業および非製造業景況指数の雇用は改善したことと整合的です。ただし、米4月雇用統計・NFPが鈍化するなど労働市場は必ずしも前途洋々と言えず。1-3月期決算シーズンではリストラ発表が相次いだように、労働市場は踊り場から減速へ舵を切るのか注視したいところです。
(カバー写真:Danny Canfield/Flickr)
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