16948380951_d8e29fabb6_z

米5月NY連銀製造業、予想外の分岐点割れで見通しも小幅低下

by • May 16, 2017 • Finance, Latest NewsComments Off2299

NY Manufacturing Index Contracts For First Time In 7-Month.

米5月NY連銀製造業景況指数と、米5月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。

米5月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)はマイナス1となり、市場予想の7.5を下回った。前月の5.2にも届かず、2016年10月以来で初めて景気判断の分岐点であるゼロを割り込んだ。項目別では、新規受注や在庫、受注残がゼロを割り込み指数を押し下げている。出荷や雇用、仕入れ価格も前月以下にとどまった。詳細は、以下の通り。

・新規受注 マイナス4.4、7ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は7、6ヵ月平均は8.9
・出荷 10.6、8ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は13.7、6ヵ月平均は8.5
・在庫 マイナス0.7<前月は3.6、6ヵ月平均はマイナス1.4

・雇用 11.9、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は13.9、2015年3月以来の高水準、6ヵ月平均は3.8
・平均労働時間 7.5、4ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は8.8、6ヵ月平均は4.0

・仕入れ価格 20.9<前月は32.8と2012年5月以来の高水準、6ヵ月平均は30.2
・販売価格 4.5、11ヵ月連続で分岐点乗せ<前月は12.4、6ヵ月平均は11.0

・入荷時間 6.7、4ヵ月連続で分岐点に乗せ<前月は16.1、 2001年以来で最高、6ヵ月平均は5.0
・受注残 マイナス3.7、4ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は12.4、6ヵ月平均は3.2

6ヵ月先見通し指数は39.3と、米大統領選後の上昇を打ち消した前月の39.9から小幅低下した。内訳をみると新規受注や出荷、在庫などが上昇した半面、設備投資が前月から10ポイント以上も急落したほか雇用、受注残、仕入れ価格などが低下した。

――NY連銀製造業景況指数と言えば、変動が激しい指数で有名です。

NY連銀製造業景況指数、ISM製造業景況指数との相関関係はフィリーと比べ低め。

empire
(作成:My Big Apple NY)

見通し指数が米大統領選後の上昇を打ち消したとはいえ、足元で耐久財受注や鉱工業生産が上向き始め米1~3月期国内総生産(GDP)速報値でも企業の設備投資における回復は明らかで、NY連銀製造業景況指数が分岐点割れを迎えたものの製造業活動が縮小する可能性は低いと言えそうです。

▽米5月NAHB住宅市場指数、見通しは2005年以来の高水準も見込み客指数は低下

米5月NAHB住宅市場指数は70となり、市場予想の並びに前月の68から低下した。2005年6月以来の高水準に跳ね上がった3月の71に接近している。金利上昇が一服し春の到来と共に住宅購入シーズンが訪れ、建設業者のセンチメントは上向いたようだ。注目の税制改革をめぐり、ムニューシン米財務長官と国家経済会議(NEC)のコーン議長が4月26日に基本方針を発表したことも材料視された可能性がある。

内訳をみると、一戸建て現況指数が76と前月の74を超え景気回復サイクルで最高をつけた3月の77に接近した。一戸建て見通し指数も79と、前月の75を上回りこちらは2005年6月以来で最高に。ただし、見込み客指数は51と前月の52に届かず3ヵ月ぶりの分岐点割れに接近した。

前月に反し、見込み客指数が鈍化。

nahb
(作成:My Big Apple NYが作成)

発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグランガー・マクドナルド会長は、結果を受け「原材料の上昇に加え、土地と人材が不足するという逆風を乗り越え、住宅市場指数は足場を固めつつある」と楽観的だ。ロバート・ディエス主席エコノミストも需要に自信を示しつつ、「見通し指数が2005年以来で最高を更新したように、新築市場に対する消費者の信頼感が強まっている兆候がみられた」と指摘。特に中古住宅の在庫が逼迫しているため、「新築の建設需要が高まる見通し」と結ぶ。

――見通し指数を中心に楽観度が強まる半面、見込み客指数は分岐点の50割れが迫り乖離した状況が続きます。これは統計手法に違いがあるためで、現況指数や見通し指数が「良い、普通、悪い」で評価され計算式は「(良い-悪い+100)/2」を基にする一方、見込み客指数は客足が「多い、普通、少ない」で判断され「(多い/非常に多い-少ない/非常に少ない+100/2)」から算出していきます。つまり見込み客指数は客足動向を、現況指数と見通し指数は建設業者のセンチメントなんですね。これでは両者に大きな違いが生じるのは仕方ありません。客足こそ注目すべきで、その客足がイマイチということは留意しておくべきでしょう。

(カバー写真:Thomas Hawk/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.