Durable Goods Orders Rise More Than Expected.
米9月耐久財受注、米9月新築住宅販売件数、米8月住宅価格指数をおさらいしていきます。
米9月耐久財受注は前月比2.2%増となり、市場予想の1.0%増を上回った。前月の2.0%増を含め、2ヵ月連続で増加。過去6ヵ月間で3回目のプラスとなった。ハリケーン“ハービー”や“イルマ”の直撃を経ても、好調を維持している。
内訳をみると、輸送用機器を除く耐久財は0.7%増と、市場予想の0.5%増を上回った。前月の0.7%増(0.5%増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で増加。輸送用機器が5.1%増と前月の2.5%増(修正値)を続き増加。民間航空機が31.5%増と前月の33.5%増(修正値)の流れを維持し、輸送用機器全体を押し上げた。自動車も0.1%増と、前月の2.8%増(修正値)を下回ったとはいえ増加を維持した。防衛財は4.1%増と、前月の5.9%減を超え増加基調へ回復。企業の設備投資を表す民間航空機を除く非防衛財は1.3%増と、市場予想の0.3%増を上回った。前月の1.3%増(1.1%増から上方修正)を含め、3ヵ月連続で同じ伸びをなっている。
耐久財出荷は前月比1.0%増となり、前月の0.7%増(0.3%増から上方修正)を超えた。国内総生産(GDP)に反映されるコア資本財の出荷は0.7%増と、市場予想の0.1%増を上回った。6ヵ月ぶりの高水準だった前月の1.2%増(1.1%増から上方修正)に及ばなかったものの、8ヵ月連続で増加した。
前年比では、輸送を除いた耐久財受注をはじめコア資本財の受注と出荷とも順調。
耐久財在庫は0.6%増となり、前月の0.5%増(0.3%増から上方修正)を含め9ヵ月連続で増加した。在庫の伸びが出荷と変わらず、在庫相当は前月と同じく1.68ヵ月だった。
――耐久財受注が好調な設備投資動向を反映し、JPモルガンのダニエル・シルバー米国担当エコノミストは「当方の米7~9月期GDP速報値見通し3.1%増を小幅に上回る可能性が出てきた」と指摘していました。個人消費が強含みとなれば、JPモルガンの予想通りブルームバーグの予想平均値2.6%を上回る高成長が期待できます。
▽米9月新築住宅販売件数、ハリケーン後に10年ぶり高水準
米9月新築住宅販売件数は年率66.7万件と、市場予想の55.4万件を超えた。前月の56.1万件(56.0万件から上方修正)を18.9%上回り、3ヵ月ぶりに増加。件数としては2007年10月以来で最高を記録した。
地域別では全地域で増加し、前月のゼロから大幅改善した。住宅市場が最大であり、ハリケーン“ハービー”が直撃したテキサス州ヒューストンを含む南部が25.8%増の40.5万件と、4ヵ月ぶりに増加しただけでなく2桁増を遂げている。北東部も33.3%増の4.8万件と、4ヵ月ぶりに増加した。30.7万件と3ヵ月連続で減少した。IT企業が集中する西部は2.9%増の14.1万件と、3ヵ月ぶりにプラス。中西部は10.6%増の7.3万件となる。
在庫総数は前月比±0%の27.9万件となり、8月に続き景気回復サイクルで最高を示した。販売件数が急増した結果、在庫相当は前月の6.0ヵ月と2014年7月以来での最長から5.0ヵ月へ短縮した。
中央価格は31.97万ドルと、前年比では5.2%上昇した。前月比でも1.5%と直近の上昇基調を維持している。なお、過去最高は2016年12月の33.27ドル。
新築住宅販売件数、価格上昇局面にも関わらず急増。
――新築住宅販売件数は、住宅着工件数でみた一戸建ての販売向け件数見通しを上回りました。南部が25.8%増と大幅に増加したため、ハリケーン効果が住宅販売を押し上げたと考えられる半面、悪天候に見舞われなかった北東部も33.3%増と好調です。両地域とも3ヵ月連続で減少した反動が考えられるほか、新築住宅の供給が改善された公算が大きい。ただ足元の高水準がトレンドを表すか否かの判断は、新築住宅販売件数は変動が激しく修正幅も大きいことから、少なくとも次の数字まで待ちたいところです。
なお、アトランタ地区連銀の米7~9月期GDP伸び率予測値は前期比年率2.7%増で据え置きとなりました。27日発表の同GDP伸び率が3%近くなれば、高成長実現へ向け共和党が妥結する可能性を高めそうです。
▽米8月住宅価格指数は予想以下も、前年比は6%台の伸び回復
米住宅金融公社(FHFA)が発表した米8月宅価格指数は前月比0.7%上昇し、市場予想の0.4%を上回った。前月の0.4%(0.2%から上方修正)を超え、19 ヵ月連続でプラスを示す。前年比は6.6%上昇し、前月に続き1〜3月の6%台へ戻した。国勢調査ベースの9地域別では8地域で上昇し、7月の7地域を上回った。
FHFAが公表する住宅価格指数は、米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボ・ローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従ってS&Pケース/シラー住宅価格指数とは対象が異なり、数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。
――住宅価格はS&Pケースシラー住宅価格指数とFHFAの住宅価格指数共に前年比6%近い伸びとなり、平均時給の前年比2.5%の2倍超の勢いを維持しました。ハリケーンの復興需要で住宅購入観測が流れるものの、住宅に手ごろ感はありません。米9月消費者信頼感指数での住宅購入見通しが低下したように、住宅購入への障害が高く立ちはだかります。
▽MBA住宅ローン申請件数指数、金利上昇に反応し低下
全米抵当貸付銀行協会(MBA)住宅ローン申請件数指数は、10月20日週に前週比4.6%低下し400.3となった。前週の3.6%の上昇を打ち消している。過去5週間で4回目の低下を示す。新規が6.1%低下の228.0と、前週から低下に反転。借換も3.0%低下の1357.6とマイナス圏へ戻した。住宅ローン申請件数指数は前年比では19.0%低下し、マイナス基調を維持している。
30年固定金利型の住宅ローン金利(平均)は前週の4.18%と前週の4.12%から上昇した。前年同期の3.71%を上回ったままだ。15年固定金利型(平均)は3.48%と、前週の3.45%から上昇。FHAのローン金利は4.04%と、前週の4.00%を超えた。
MBA住宅ローン申請件数指数、
申請全体に占める借換の割合(件数ベース)は49.5%と、前週の48.6%を上回った。なお、2015年7月3日週は48.0%まで低下した。
(カバー写真:Simoluu/Flickr)
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