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米1月消費者信頼感は急低下、期待指数は大統領選前の水準へ沈む

by • January 30, 2019 • Latest NewsComments Off2096

Consumer Confidence Plummets, Expectations Erase The Gain Since The Election.

米1月消費者信頼感指数、米11月S&P/ケースシラー住宅価格指数をおさらいしていきます。

米1月消費者信頼感指数は120.2となり、市場予想124.0を下回った。前月の126.6(128.1から下方修正)にも届かず、2017年7月以来の低水準。3ヵ月連続で低下しただけでなく、2015年11月以来で最大の落ち込みを示す。2018年10月にはITバブル真っ盛りの2000年9月以来となる高水準を達成したが、ピークアウトした公算が大きい。内訳をみると、現況指数が169.6と前月の169.9を下回り4ヵ月ぶりの水準へ低下見通し指数に至っては87.3と前月の97.7(修正値)と大幅に落ち込み、2016年9月以来とトランプ大統領が誕生する以前の水準へ沈んだ

期間中、2018年9月以降に下落した米株は、弱気相場入りしたナスダック、調整相場を迎えたダウとS&P500そろって買い戻された。原油安にも一旦歯止めが掛かり、米10年債利回りも上昇一服。もっとも、米中通商協議の行方は引き続き不透明であるほか、世界景気減速懸念、政府機関閉鎖も重なり、楽観度が見通しを中心に大きく後退したとみられる。

発表元であるカンファレンス・ボードのリン・フランコ・シニア経済指標ディレクターは、結果を受け「消費者信頼感指数は前月に続き低下したが、現況指数が概して横ばいだったように良好な経済状況を示唆する」との見方を寄せた。見通し指数については「金融市場のボラティリティ上昇と政府機関の閉鎖が影響を与え、急低下した」と説明。ただし、政府機関の閉鎖のようなインパクトは「2013年当時のように急激でも、一時的にとどまり、数ヵ月先の景気急減速の前触れではない」と楽観的な姿勢を維持した。

消費者信頼感指数、期待指数が押し下げ1年半ぶりの低水準

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(作成: My Big Apple NY)

現状の労働市場に対し「職が豊富」から「職探しが困難」を引いたDIは33.7と、前月の33.3(修正値)から小幅に上昇、2001年1月以来で最高となった2018年11月(34.5)に近い水準を保つ。以下は、結果の詳細。

ビジネス環境については、「良い」と「悪い」が低下
「良い」37.4%→前月の37.5%から低下、前年同月は35.0%
「悪い」11.1%→前月の11.6%から低下、前年同月は13.0%
「普通」51.5%→前月の50.9%から上昇、前年同月は52.0%

雇用については職が「豊富」と「困難」が上昇し、「あまり豊富でない」が低下、「豊富」から「あまり豊富でない」を差し引いたDIは、5ヵ月連続でプラスとなる
「職が豊富」46.6%→前月の45.5%から上昇、前年同月は37.2%
「あまり職が豊富ではない」40.5%→前月の42.3%から低下、前年同月は46.5%
「職探しが困難」12.9%→前月の12.2%から上昇、前年同月は16.3%

6ヵ月先のビジネス環境への見方は「良くなる」が3ヵ月連続で低下し、2ヵ月連続で前年同月以下に振れしたほか、「悪化する」が2ヵ月連続で上昇
「良くなる」16.0%→前月の18.1%から低下、前年同月は21.5%
「悪化する」14.8%→前月の10.6%から上昇、前年同月は9.8%
「変わらず」69.2%→前月の71.3%から低下、前年同月は68.7%

6ヵ月先の雇用への見方は「職が増加した」が低下し2ヵ月連続で前年同月以下に下振れしたほか、「減少」が2ヵ月連続で上昇した結果、「増加」は27ヵ月ぶりに「減少」を下回る
「職が増加する」14.7%→前月の16.6%から低下、前年同月は18.7%
「職が減少する」16.5%→前月の14.6%から上昇、前年同月は12.5%
「変わらず」68.8%→前月の68.8%と変わらず、前年同月は68.8%

6ヵ月先の所得への見方は「増加」が低下し2ヵ月連続で前年同月以下に下振れしたほか、「減少」は2ヵ月連続で上昇
「増加する」18.2%→前月の22.4%から低下、前年同月は20.6%
「減少する」7.1%→前月の7.6%から低下、前年同月は7.9%
「変わらず」74.7%→前月の70.0%から上昇、前年同月は71.5%

購入見通しは、自動車と住宅の2分野で上昇し、前月の3分野全てから改善した。金利上昇が一服したため、住宅は7.8%と現行の統計手法が導入されてから最高に。自動車も13.3%と、前月の13.1%を上回った家電のみ47.7%と前月の49.0%に届かず、2013年1月以来の低水準となった。

購入見通しは、自動車と住宅で上昇。

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(作成:My Big Apple NY)

所得層別では、3.5万ドル以下の低所得者層と7.5万~9.9万ドルで上昇した半面、10万ドル以上を軸に中・高所得者層で下振れした。

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(作成:My Big Apple NY)

年齢別では、全ての層で低下した。特に、35歳以下と55歳以上は2ヵ月連続で低下した。

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(作成:My Big Apple NY)

――米1月消費者信頼感指数は1年半ぶりの低水準だっただけでなく、連続で期待指数が押し下げました。米株安や原油安、金利上昇が一服したなかで、期待指数がなぜここまで下振れしたのでしょうか?米中通商協議への懸念のほか政府機関の閉鎖が挙げられましたが、政府機関閉鎖が一時解除されたといっても、好転するかは不透明。2月15日までにつなぎ予算協議が妥結できるのか、3月1日の債務上限引き上げ凍結解除も控え、予算をめぐる壁が続くだけに、楽観できない状況が続きます。

そうなると、気になるのが連邦職員の職探し動向。奇しくも現在、労働市場は絶好調ですから、転職を希望する連邦職員が増加し、連邦職員志望者が減少してもおかしくありません。就職・転職情報大手グラスドアの調査では、政府機関の閉鎖により給与が未払いになってから、転職活動を開始した連邦職員が10%増加していました。

転職活動を行う連邦職員は、未払い発生後に10%増加。

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政府機関の職への応募者数は未払い2回目で46%も減少。

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(出所:Glassdoor

安定が約束された職と信じていたのに、35日に及ぶ政府機関の閉鎖に巻き込まれるなんて、連邦職員にしてみれば青天の霹靂。政権と米議会の関係悪化が続けば、もう連邦職員にとっても不確実性は無縁ではない?

▽米11月S&P/ケースシラー住宅価格、20都市は2015年以来の5%割れ視野

米11月S&P/ケースシラー住宅価格指数(季節調整前)は前年同月比5.19%上昇の205.85となり、前月の205.74(修正値)を抜け過去最高を更新した。20都市別の季節調整前では前年同月比4.68%上昇の213.66となり、市場予想の4.89%を下回った。前月の5.02%(5.03%から下方修正)に届かず、2015年7月以来の5%割れを迎えた。季節調整済み・20都市別の前月比は0.30%の上昇と、市場予想の0.40%を下回った。前月の0.42%(0.41%から上方修正)に届かなかったものの、3ヵ月連続でプラスとなる。

20都市別での季節調整済みベース・前月比では、16都市で上昇し前月の18都市を下回った。トップはこれまでワースト3位の常連だったニューヨークで0.86%上昇、2位はジョージア州アトランタで0.82%の上昇、3位は前月2位だったアリゾナ州フェニックスで0.65%の上昇となる。ワースト1位は逆に高い上昇率が目立っていたカリフォルニア州サンフランシスコで0.50%の低下、2位は前月ワースト1位だったワシントン州シアトルで0.33%の低下、3位はオハイオ州クリーブランドで0.07%の低下となった。

(カバー写真:Stephen Percival/Flickr)

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