December Retail Sales And Holiday Sales Suggest Slower Personal Spending.
米12月小売売上高は前月比1.2%減と、市場予想の0.2%増に反し減少した。前月の0.1%増(0.2%増から下方修正)から急旋回し、大幅に3ヵ月ぶりに減少。減少率は、2009年9月以来で最大となる。原油安の影響でガソリン・スタンドが大幅に落ち込んだほか、豪雪、35日に及ぶ2018年末からの政府機関の閉鎖などが痛手となり、個人消費は急激な冷え込みをみせた。
自動車を除いた場合は1.8%減と、市場予想の横ばいより悪化した。前月の横ばい(0.2%増から下方修正)より弱く、3ヵ月ぶりに減少している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は1.8%減と4ヵ月ぶりに減少しただけでなく、ITバブル崩壊以来で最大の減少率を記録。前月の1.0%増(0.9%増から上方修正)を下回り4ヵ月ぶりに減少し、米10~12月期実質GDP成長率を抑える見通しだ。
内訳をみると、主要13カテゴリー中2種増加した程度、前月の6カテゴリーを下回った。豪雪の影響で修繕などが必要だったとみられる自動車・部品、建築・庭園のみ増加した。逆に、大幅に落ち込んだのは原油安のガソリンで、2ヵ月連続で弱い。スポーツ用品・書籍・趣味のほか雑貨、百貨店など、裁量消費も沈んだ。項目別の詳細は、以下の通り。
(プラス項目)
・自動車/部品→1.0%増>前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.4%増
・建築材/庭園→0.3%増<前月は1.5%減、6ヵ月平均は0.2%増
(マイナス項目)
・電気製品→0.1%減=前月は0.1%減、6ヵ月平均は0.2%減
・食品/飲料→0.4%減<前月は0.1%増、6ヵ月平均は0.1%増
・外食→0.7%減=前月は0.7%減、6ヵ月平均は0.3%減
・服飾→0.7%減<前月0.4%増、6ヵ月平均は横ばい
・一般小売→0.9%減<前月は0.4%増、6ヵ月平均は0.2%増
(*百貨店は3.3%減<前月は0.6%増、6ヵ月平均は0.4%減)
・家具→1.3%減<前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.3%減
・ヘルスケア→2.0%減<前月は1.3%増、6ヵ月平均は0.3%減
・無店舗(オンライン含む)→3.9%減<前月は2.8%増、6ヵ月平均は0.3%増
・雑貨→4.1%減<前月は4.0%増、6ヵ月平均は0.3%増
・スポーツ用品/書籍/趣味→4.9%減<前月は1.4%減、6ヵ月平均は1.9%減
・ガソリン・スタンド→5.1%減<前月は4.4%減、6ヵ月平均は0.8%減
▽2018年の年末商戦は前年比2.9%増、幸先の良さに反し事前予想に届かず
全米小売業協会(NRF)は2月14日、2018年の年末商戦の売上高が前年比2.9%増の7,075億ドルと発表した。売上高こそ9年連続で過去最高を更新したが、事前予想の4.3~4.8%増に届かず。感謝祭後の売上高など幸先の良いスタートを切った割に、米中間での貿易戦争に加え、米株安、年末の政府機関閉鎖などを受け、駆け込み需要を抑えたとみられる。
NRFのマシュー・シェイ会長は、声明で「貿易戦争への懸念や米株安が、消費者行動を抑えた」と振り返った。政府機関の閉鎖をめぐっては「データ収集をめぐる信憑性を低下させた可能性がある上に、消費者信頼感に不必要な打撃を与え12月の売上不振を招いた」と指摘。経済のファンダメンタルズが良好なところ、不必要な悪影響を及ぼしたとの不満を覗かせた。
なおNRFの年末商戦売上高の結果発表は、政府機関の閉鎖により約1ヵ月遅れた。
――米12月小売売上高が予想外に急減した動きに合わせ、年末商戦も3番目に低い伸びにとどまりました。NRFは政府機関の閉鎖によりデータ収集が遅れた問題につき、信憑性が低いと指摘していましたが、小売売上高の発表元である米国勢調査局によれば「各店舗からの回答率は正常」だったといいます。その半面、個人消費が所得を上回るペースで拡大していたため、貯蓄率が低下していたことも事実。政府機関の閉鎖や米株安も重なり、貯蓄へのインセンティブが働いた可能性は見逃せません。
2月は米株が下げ幅を縮小し、再び政府機関が閉鎖されるリスクも消滅したため、税還付効果の追い風を受けた回復に期待が掛かります。ただ遅行指標である雇用統計をみると、小売は12月に前月比2.1万人増と増加に転じたとはいえ、オンラインへの移行が広がるなか、過去5ヵ月間では3回減少しています。小売業界に追い風が吹く状況とは言えず、個人消費が2月に反発しても、その後は徐々に鈍化していくのでしょう。
(カバー写真:Alejandro Giacometti/Flickr)
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