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美食の街NYで、有名レストラン閉店の激震続く

by • July 8, 2019 • Latest News, Restaurant ReviewsComments Off10696

Restaurant Crisis : A Wave Of Closures Doesn’t Seem To Stop In NYC.

NY市と言えば、世界からあらゆる食材が集まり、名だたるレストランが軒を並べる美食の街で知られています。

そのNY市に、閉店の激震が続いています。確かに、2018年のミシュランの星を獲得したレストランの数は都市別でベスト5にランクインしていました。しかし、弱肉強食・乱世の時代を迎えコーヒーショップから老舗まで店じまいの波に呑まれる有様です。

例えば、カーネギー・デリ(Carnegie Deli)。1937年創業の巨大パストラミ・サンドがトレードマークの名店でしたが、2016年12月にシャッターを降ろしました。マディソン・スクエア・ガーデンとネバダ州ラスベガスに姉妹店が未だ存在するとはいえ、7thアベニューは55丁目と54丁目の間にあったこちらの閉店は、ウッディ・アレン監督をはじめNYを愛する方々にとって大きな打撃となったに違いありません。

パストラミ・サンドのサイズは、圧巻でしたね。
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(出所:Jason Lam/Flickr)

弊職がNYに住んでいた2005〜15年の間に、セレブが集まるレストランとして不動の人気を誇ったお店がこちら、Da Silvano(ダ・シルバーノ)です。1975年にオープンし、カーネギー・デリと同じく2016年12月に幕を下ろしたこちらの常連には、アカデミー俳優のトム・ハンクス、アカデミー監督のマーティン・スコセッシ、ヴォーグ誌のアナ・ウィンター編集長、ジェイ−Zとビヨンセのパワーカップルなどなどが名前を連ねていました。ここを訪れる際には相当ファッションに気を遣ったものですが、栄枯盛衰を感じさせます。

ウエスト・ビレッジに映える、黄色いテラス屋根が目印でした。
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(出所:George Hackett/Flickr)

最近では、日本の”いきなり!ステーキ”も4月に閉店しましたが、ミッドタウンに2店構えたNYの高級寿司の先駆けである”すし田”も、今年の3月に約30年もの歴史に幕を下ろしました。日本からお客様がいらした時、当時の上司と訪れましたねぇ。ある日のランチは3人で700ドルを超え、目玉どころか胃袋が飛び出しそうになった記憶がございます。

有名人が満を持して投資し、成功間違いなしと期待されたレストランも、開業から1年も経たずに閉店を余儀なくされました。そのお店の名前は、フォー・シーズンズ(Four Seasons)。こちらには、スティーブ・ジョブズの未亡人であるローレン・パウエル・ジョブズブラックストーンのスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)が参画し、2008年に保険大手AIGの経営破綻を警告した同社の元会長兼CEOのハンク・グリーンバーグは100万ドルを投じたといいます。1階はダイニング・ルーム、2階にはプライベート・ルームを用意するほどの面積を誇ったものの、閑古鳥が鳴くどころか”ゴースト・タウン”と呼ばれていたとか。内装や席などの配置が敗因とされたほか、パワー・ランチやワーキング・ディナーが鳴りを潜めたことが問題視されていましたが、メガ・レストランで食事をするのに何百ドルも支払うのはコスパが宜しくない。アメリカ人はお腹から声を出しますから、その騒々しさは日本の比ではありません。

クオリティ・オブ・ライフ、クオリティ・オブ・テイストの愉楽に浸るには、セレブが通う名店でなくとも勝手知ったる近所のビストロで十分。学生ローンを抱えるミレニアル世代を中心に、そんな風に考えるアメリカ人が増えている証左かもしれません。レストラン閉店の波は、NYだけでもありませんし・・。

(カバー写真:George Hackett/Flickr)

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