June New Auto Sales Above 17 Million, But SUV Shows Signs Of Slowdown.
ワーズオートが発表した米6月新車販売台数は、年率1,730万台と前月と一致した。5月に米中通商協議が物別れに終わり、トランプ政権が第3弾の追加関税での関税率引き上げ、第4弾の追加関税措置の検討表明、ファーウェイの禁輸措置発動を発表したものの、高止まりを維持した。なお、GMは2018年4月から、フォードは19年1月から毎月の新車販売台数の発表を中止し、四半期ベースへ移行した。
2019年の新車販売台数につき、エドマンズ・ドットコムは1,680万~1,690万台と予想する。ALGは1,700万台を予想、共に2018年を下回る見通しだ。2018年の新車では、前年比0.4%増の1,730万台だった。
6月は2ヵ月連続で1,700万台乗せ。
(作成:My Big Apple NY)
自動車追加関税措置をめぐり、米商務省は2018年2月17日に通商拡大法232条の調査結果を報告、トランプ大統領は90日以内、即ち19年5月18日前の5月17日に180日間の先伸ばしを決定した。ただし、日本に対しては日米通商交渉が初開催された4月15~16日に、交渉中は追加関税を引き上げないことで合意済みだ。
販売台数の車種別では、トラック部門(スポーツ多目的車、SUV含む)のうちSUVで弱含みがみられた。乗用車部門は、2018年5月以降の流れを汲み2桁減が目立つ。ただし、外部環境は良好だ。原油先物は6月に一時51ドル台と1月初旬以来の水準まで下落するなか、ガソリン価格は一時2.654ドルと3ヵ月ぶりの水準へ鈍化した。米10年債利回りは2016年11月以来の2%割れの展開。さらにシニア融資担当者調査が示すように、自動車ローンの厳格化もそれほど進まなかった。
ケリー・ブルー・ブックによると、平均販売価格は前年同月比3.1%上昇の3万7,285ドル(約403万円)だった。前月の3.7%を下回り、少なくとも約1年ぶりの高い伸びを遂げた1月の4.2%から鈍化した水準を保つ。前月比では0.2%下落、2ヵ月連続で落ち込んだ。メーカー別の平均価格で、前月比にて上昇したのはトヨタ、ホンダ、日産と日系メーカーのみとなる。前年比ではホンダ以外全て上昇、最も上昇率が大きかったのはフィアット・クライスラーで、その後にVW、フォード、スバルが続いた。詳細は以下の通り。
トランプ政権による2018年3月23日指導の鉄鋼・アルミ関税に加え、同年7月6日以降は対中知財制裁関税の発動が加わるなか、自動車メーカーは利鞘縮小トレンドが鮮明となり、同年6月以降、決算資料などに基づくとインセンティブ支払い余地は狭まりつつある。6月の自動車メーカーからディーラーへの1台当たりインセンティブ予想は、前年同月比1.0%下落の3,747ドルだった。メーカー別で下落が目立ったのは、対中追加関税の影響で業績見通しを下方修正したダイムラーで前年同期比7.3%下落の5,990ドル(1台の販売価格当たりインセンティブ比率は10.1%)、次いでVWで同5.6%下落の3,708ドル(同10.0%)、GM(同13.4%)だった。なお、主要自動車メーカー13社の平均のインセンティブは、販売価格当たり11.0%となり、2018年末の10.5%から上昇した。
6月は26営業日と、前年同月から1日短縮となった。今回、新車販売台数を発表した自動車メーカー別でみると、前年比で増加したのはフィアット・クライスラーのみ。全体的にみると、主要な自動車メーカーは全て市場予想を下回った。
以下、米系と日系などの自動車メーカー別動向。
【GM】
GMは1~3月期に前年同期比1.5%減の74万6,659台と、前期を含め4期連続で減少した。販売価格は、前期に続き4~6月期の第2四半期ベースで過去最高を更新した。4大ブランド別の前年比は、3ブランドで増加した。フリート販売が占める全体のシェアは23%、販売台数の前年比は3%増でそのうち半分以上が政府と商業用だったという。小売販売台数は、前期に続き発表していない。直近の四半期の結果は、ブランド別で以下の通り。
・GMC 9.8%増の15万1,700台
→6ブランド中、5種で増加した。中型SUV「アカディア」が41.3%増の2万8,420台と牽引したほか、大型トラック「サバナ」も32.6%増の9,503台だったほか、中型ピックアップ「キャニオン」も23.6%増の1万1,909台と、2桁増を遂げた。その他、主力の大型SUV「ユーコン」や小型SUV「テレイン」も堅調だった。
・ビュイック 4.7%増の5万5,373台
→6ブランド中、3種で増加した。主力の小型SUV「アンコール」が4.9%増の2万4,291台だったほか、中型SUV「エンクレーブ」も20.8%増の1万5,159台、中国で生産を行い関税適用除外申請を米政権から却下された同「エンビジョン」も28.4%増の9,138台と支えた。
・キャデラック 1.3%減の3万9,739台
→6ブランド中、2種のみ増加し全体の弱さを緩和した。今回、セダンの「XTS」が46.2%増の5,359台と主導し、SUVハイブリッドの「XT4」が7,080台と好調だったが、SUVの「エスカレード」など他は軟調だった。
・シボレー 5.3%減の49万9,847台
→20ブランド中、9種で増加した。フルサイズSUV「タホ」が22.6%増の3万2,942台だったほか、同「サバーバン」も20.7%増の1万8,266台、クロスオーバーの「トラバース」も6.3%増の3万8,152台と大型車が躍進した。しかし、主力のSUV「シルバラード」のうちLDが6.9%減の10万9,930台など、シルバラード勢が弱い。またセダンの「マリブ」も26.7%減の3万974台にとどまった。
【フォード】
フォードの4~6月期新車販売台数は、前年同月比4.1%減の65万336台だった。2期連続で減少した。売上の82%をSUVとトラックが占める。トラックが同7.5%増の32万4,243台と主導し、SUVは同8.6%減の21万5,898台、乗用車は同21.4%減の11万195台だった。新車販売台数は減少したものの、取引価格は3万6,400ドルと、前年同期を上回った。
なおフォードは2018年3月5日、ピックアップ・トラックの「レンジャー」と「ブロンコ」の新型モデル生産を控えた設備一新を理由に、ミシガン州の工場の従業員2,000人を対象として一時解雇を発表した。同年4月25日には、米国での乗用車販売を2モデル(マスタングと2020年モデルのフォーカス・アクティブ)に限定する方針を発表。10月には、110億ドル規模のリストラの一環として正社員の人員削減計画が報じられた。フォードはGMに倣い、新車販売台数を月ベースでなく四半期ごとに行う方針を表明した。
2大ブランド別では、フォードが2期連続で減少し、リンカーンは前期から転じ減少した。詳細の結果は、以下の通り。
・フォード 4.0%減の62万4,396台と2期連続で減少
→トラックが7.5%増の32万4,243台だったが、SUVが9.1%減の19万6,122台、乗用車が21.7%減の10万4,031台にとどまった。ブランド別では、ほとんどが減少。アルミ製ボディの主力トラック「Fシリーズ」が1.3%減の23万3,3787台と減少したほか、小型SUV「エスケープ」も6.3%減の7万2,398台、大型SUVの「エクスプローラー」も37.6%減の3万5,374台だった。
・リンカーン 6.7%減の2万5,940台
→SUVが3.1%減の1万9,776台となったほか、乗用車も16.6%減の6,164台と落ち込んだ。主力のクロスオーバー「MKX」が13.0%増の8,187台だったものの、SUV 「ナビゲーター」が13.2%減の4,387台、セダン「MKC」も19.4%減の5,956台と沈んだ。
【フィアット・クライスラー】
フィアット・クライスラー・オートモビルの6月新車販売台数は、前年同月比2%増の20万6,083台だった。単月では、14年ぶりの高水準となる。小売販売台数は15万6,588台と、単月では18年ぶりの高水準。フリート販売台数は4万9,495台となり、全体に占めるシェアは24%となる。5ブランド別では、1種のみ増加した。なおフィアットは2018年6月1日に向こう5年先の経営計画を発表、2022年までにディーゼル・エンジンの乗用車販売を終了させ電動化に振り向ける方針を打ち出したほか、「ジープ」のSUVシェアを2017年の6%付近から8%超えを目指す。
・ラム 45%増の7万5,227台、単月で過去最高
→主力の3ブランド中、1種で増加。新型が投入された「ラム」が56%増の6万8,098台とけん引した。「プロマスター・シティ」は横ばいの1,192台、「プロマスター・バン」は15%減の5,937台だった。
・ジープ 12%減の7万6,826台
→主力の6ブランド中、新型モデルを含め2種で増加。新型モデル「グラディエイター」は4,231台、「グランドチェロキー」は11%増の1万9,660台だった。その他は減少、特に主力の「ラングラー」は13%減の2万55台だった。
・ドッジ 17%減の3万8,561台
→主力の5ブラント中、2種で増加。「チャージャー」が36%増の9,034台だったほか、「デュランゴ」も4%増の5,538台だった。その他は2桁以上の減少幅となった。
・クライスラー 4%減の1万2,941台
→主力2ブランドのうち1種が増加。ミニバン「パシフィカ」は10%増の1万37台だった半面、セダンの「300」は33%減の2,904台だった。
・フィアット 35%減の933台
→「500X」や「スパイダー」など、4ブランド全て減少した。
【トヨタ】
トヨタの6月新車販売台数は、前年同月比3.5%減の20万2,532台だった。トラック部門(SUV含む)の販売台数が3.8%減の12万9,608台だった上、乗用車部門が2.8%減の7万5,444台と減少トレンドを保った。2大ブランド別では、トヨタとレクサスともに減少した。
・トヨタ 3.5%減の17万9,305台
→トラック部門が4.2%減の11万812台だったほか、乗用車も2.4%減の6万8,493台とそろって減少した。車種別では、大型SUVの「ハイランダー」が8.2%減の1万9,284台となったほか、SUVの「4ランナー」も16.7%減の9,638台、トラックの「タコマ」も8.2%減の2万476台とそろって減少。日本で販売・生産を打ち切ったSUV「RAV4」が3.8%増の3万9,152台と健闘し、セダンの「カローラ」が2.5%増の8,869台、同「カムリ」も2.4%増の2万8,889台だったが、これらの減少を相殺できなかった。
・レクサス 3.0%減の2万3,047台
→トラック部門は1.0%減の1万6,096台、乗用車部門も7.2%減の6,951台とそれぞれ減少した。トラック部門の主力4ブランドは、全て減少。乗用車部門の主力6ブランドでは、「ES」と「RC」の2種が増加した程度だった
【ホンダ】
ホンダの6月新車販売台数は、前年同月比7.3%減の13万5,901台だった。トラック部門が5.7%減の7万4,002台、乗用車部門も9.1%減の6万1,899台とそろって減少した。2大ブランド別では、ホンダとアキュラがそろって減少した。
・ホンダ 6.3%減の12万3,753台
→トラック部門が3.3%減の6万5,047台、乗用車部門も9.3%減の5万8,706台とそろって弱い。トラック部門では、SUVの「CR-V」が8.6%減の3万427台と落ち込んだうえ、SUVの「パイロット」も9.4%減の1万1,579台、ミニバン「オデッセイ」も7.3%減の9,022台となる。乗用車部門では、主力の「シビック」が5.1%減の2万9,751台と減速し、「アコード」に至っては18.1%減の2万1,893台と2桁減だった。
・アキュラ 16.4%減の1万2,148台
→トラック部門が19.9%減の8,955台、乗用車部門も4.6%減の3,193台と共に落ち込んだトラック部門ではSUVの「RDX」が33.2%減の4,868台と弱く、「MDX」の5.0%増の4,087台の増加を打ち消した。乗用車部門は主力3車種中1車種、「ILX」のみ増加し、41.7%増の1,312台となった。
【日産】
日産の6月新車販売台数は、前年同月比14.9%減の12万3,504台だった。トラック部門が11.4%減の7万771台だったほか、乗用車部門も19.1%減の5万2,733台と減少トレンドをたどった。2大ブランドでは、日産とインフィニティともに減少した。
・日産 15.4%減の11万3,665台
→トラック部門が12.7%減の6万3,516台だった上、乗用車部門も18.6%減の5万149台と弱い。トラック部門では主力のSUV「ローグ」が22.5%減の2万8,694台と落ち込んだほか、「パスファインダー」も3.6%減の6,494台、「ムラノ」も41.7%減の5,133台、と軒並み減少した。乗用車部門では、主力の「セントラ」が3.2%増の2万1,224台だったが、「アルティマ」が38.6%減の1万6,548台と弱く全体を押し下げた。
・インフィニティ 8.0%減の9,839台
→トラック部門が7.0%増の7,412台だった半面、乗用車部門が22.1%減の2,890台と大幅減となった。トラック部門では主力4ブランドのうち1種のみ増加、「QX60」が38.3%増の4,188台と支えた。乗用車部門は主力の「Q50」が17.1%減の2,249台となるなど、全て減少した。
年初来と単月の自動車メーカー別のシェアは、主要15社別で以下の通り。1位はGM、2位はフォード、3位にトヨタが入った。なお2018年のランキングではGMが1位を堅持し、2位がトヨタ、3位がフォード、日産がホンダを抜いて4位に、5位がホンダだった。
高級車部門別ランキングは、単月で以下の通り(%は全て前年比)。今回はBMWが1位を奪い、メルセデス・ベンツ、テスラと続いた。トヨタのレクサスはトップ3から陥落した。詳細は、以下の通り。
1位 BMW 7.6%増の3万1,627台
→年初来では2.0%増の15万6,439台で2位となる。2018年は、1.7%増の31万1,014台と2年連続で2位。2016年は9.5%減の31万3,174台で3位だった。
2位 メルセデス・ベンツ 0.7%増の2万9,201台
→単月だけでなく、年初来でも8.0%減の15万9,130台と首位を維持した。2018年は15.8%減の35万3,183台と減少したものの、4年連続での首位を守った。なお2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
3位 テスラ 126.2%増の2万5,025台
→年初来では62.5%増の8万3,900台で6位となる。2018年は、294.5%増の19万7,517台と6位だった。
4位 レクサス(トヨタ)3.0%減の2万3,047台
→年初来では0.6%増の13万5,735台で3位となる。2018年は2.0%減の29万8,302台と、2017年に続き3位。2016年は3.9%減の33万1,228台で2位、2015年は10.7%増の34万4601台で3位となる。2011年まで11年間連続で首位を飾ったが、東日本大震災後に順位を落とし2014年、2013年、2012年に続き3位にとどまった。
5位 アウディ(VW)0.3%減の1万9,409台
→年初来では5.8%減の10万1,440台で5位となる。2018年は1.1%減の22万737台と、2017年に続き4位となる。2016年は4.0%増の21万213台、2015年は11.1%増の20万2,202台で共に5位だった。
6位 ビュイック(GM)5.6%減の1万6,612台
→年初来では2.1%減の10万7,238台で4位となる。2018年は5.5%減の20万7,223台と2017年(5.5%減の19万6,946台)に続き、5位につけている。2016年は2.9%増の22万9,631台、2015年も2.6%減の22万3055台で共に4位だった。
7位 キャデラック 8.4%減の1万1,974台
→年初来では1.5%増の7万3,767台で7位となる。
8位 アキュラ 16.4%減の1万2,148台
→年初来では1.5%増の7万3,767台で8位となる。2018年は2.8%増の15万8,934台で7位となり、2017年(4.2%減の15万4,602台)と変わらず。2016年は8.9%減の16万4,126台で7位、2015年は5.6%増の17万7165台で6位に収まっていた。
9位 インフィニティ(日産)8.0%減の9,839台
→年初来では12.6%減の6万3,058台で9位となる。2018年は2.7%減の14万9,280台と8位、2016~17年の6位から転落した。
米国内で最も売れた自動車、SUV、トラックの順位は年初来で以下の通り。
1位 Fシリーズ(フォード)1.7%増の37万8,262台
2位 ラムPU(フィアット・クライスラー)21.7%増の23万1,382台
3位 シルバラード(GM)10.5%減の21万4,037台
4位 Rav4(トヨタ)0.4%増の16万1,458台
5位 エキノックス(GM)12.7%増の14万8,460台
6位 カムリ(トヨタ)2.3%減の14万7,119台
7位 ローグ(日産)17.7%減の14万6,573台
8位 CR-V(ホンダ)0.1%増の14万6,517台
9位 シビック(ホンダ)3.7%減の13万9,421台
10位 カローラ(トヨタ)6.9%減の12万3,999台
ご参考:2018年
1位 Fシリーズ(フォード)1.4%増の90万9,330台
2位 シルバラード(GM)0.1%減の58万5,582台
3位 ラム(フィアット・クライスラー)7.2%増の53万6,980台
4位 Rav4(トヨタ)4.8%増の42万7,168台
5位 ローグ(日産)2.1%増の41万1,210台
6位 CR-V(ホンダ)0.1%増の37万9,021台
7位 カムリ(トヨタ)11.3%減の34万3,439台
8位 エキノックス(GM)14.5%増の33万2,621台
9位 シビック(ホンダ)13.7%減の32万5,760台
10位 カローラ(トヨタ)7.7%減の30万3,732台
(カバー写真:GM)
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