Job Openings Decrease, But Separations Grow With More Layoffs.
米労働省が発表した米9月雇用動態調査(JOLTS)で求人数は702.4万人と、市場予想の706.3万人を下回った。前月の730.1万人(705.1万人から上方修正)を3.8%下回り、過去4ヵ月間で3回目の減少となる。過去最高だった2018年11月の762.6万人以下が続く。ただし、求人数自体は19ヵ月連続で失業者数を上回った。
採用数は前月比1.3%増の593.4万人となった。過去最高を更新した4月(599.1万人)を5ヵ月続けて下回った。なお、米9月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は20万人台を回復していた。
離職者数は580.8万人と、前月の573.2万人を上回り過去2番目の高水準となった。過去5ヵ月間で2回目の増加となる。定年や自己都合による自発的離職者は、2.9%減の349.8万人と過去最高を更新した7月から減少を続けた。逆に、解雇者数は8.4%増の196.6万人と、2010年7月以来の高水準だった。自発的離職者数は2ヵ月連続で減少した半面、解雇者数は3ヵ月連続で増加した。
求人率は前月の4.6%を下回り4.4%と、2018年3月以来の水準へ低下した。過去最高に並んだ1月の4.8%以下が続く。民間が6~8月の4.8%から4.7%へ低下。鉱業をはじめGMストライキの影響を受けた製造業、その他雇用を牽引してきた教育・健康や専門サービス、小売、金融が低下した。政府は前月の3.2%から3.1%へ低下した。
採用率は3ヵ月連続で3.9%だった。民間は前月に続き4.3%で、セクター別では鉱業、建設、製造業のほか、専門サービス、教育・健康が上昇。一方で、金融や情報が低下し、その他サービスに至って1.0%も急低下した。政府は国勢調査の臨時雇用が一服したのか、前月の1.7%から1.6%へ低下した。
求人数は減少、採用数は小幅増も、解雇者数がけん引し離職者数が増加。
自発的および引退、解雇などを含めた離職率は3ヵ月連続で3.8%だった。民間が前月通り4.2%。セクター別では鉱業をはじめ情報、金融などが低下した半面、製造業のほか専門サービス、教育・健康、娯楽・宿泊などが上昇した。政府は4ヵ月連続で1.5%だった。自発的離職率は2.3%、7~8月に2001年4月以来の高水準をつけたものの一歩後退した。解雇率は7~8月の1.2%を経て、1.3%と2018年12月以来の高水準だった。なお、2018年3月は1.0%と、2000年12月に統計が開始してから最低となっていた。
自発的離職者数は減少も解雇者数は増加、離職者数を押し上げ。
――以上の結果を踏まえ、今となっては懐かしいイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。達成項目は9項目中3項目。未達項目は2月の大幅鈍化が響くNFPのほか、長期失業者の割合、労働参加率でした。ただ非農業部門就労者数は労働市場逼迫に伴い、鈍化する傾向が強まります。以下は詳細で、()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字となります。
1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004-07年平均 3.0%
現時点 4.4%
2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点)2.0%
2004-07年平均 1.4%
現時点 1.3%
3)自発的離職率 ○
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004-07年平均 2.3%
現時点 2.3%
4)採用率—○
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004-07年平均 3.8%
現時時点 3.9%
5)非農業部門就労者数—×
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004-07年の3ヵ月平均 22.4万人増
現時点の3ヵ月平均 17.6万人増
6)失業率—○
2009年10月(最悪時点) 10%
2004-07年平均 5.0%
現時点 3.6%
7)不完全失業率—○
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004-07年平均 8.8%
現時点 7.0%
8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004-07年平均 19.1%
現時点 21.5%
9)労働参加率—×
2015年9月(最悪時点) 62.3%
2004-07年平均 66.1%
現時点 63.3%
有効求人倍率は求人数が減少し採用数が増加したため、上昇に反転。
米9月雇用動態調査は採用数が小幅増だったとはいえ、求人数が減少し解雇者数が押し上げ離職者数も増加していました。世界景気減速や第4弾の対中追加関税発動を一因に、企業が採用活動に及び腰となっているほか、GMのストライキやボーイングの737MAX運航停止に伴う生産停止も影響した可能性がございます。とはいえ、チャレンジャー人員削減予定数が年初来の10ヵ月間で2015年以来の高水準だった点は気掛かり。新規株式公開(IPO)を断念したウィワークを始め、ウーバーなど新興勢力でリストラの波が襲います。その他、ヒューレット・パッカードが2022年までに9,000人の雇用削減計画を発表、スーパーマーケットのクローガーや農機メーカーのディーアなどが人員削減を予定するなど既存の大手企業にも波及してきました。採用予定数も過去最高とはいえ、労働市場は変調をきたしつつあるようです。
(カバー写真:Jeremy Wilburn/Flickr)
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