Modern Love, Surreal But Real.
摩天楼から覗く星空、季節ごとに表情を変えるセントラル・パーク、ストリートを闊歩するヒップスター・・・ニューヨークはどこを切り取っても絵になる街として知られていますよね。
1851年に発刊したニューヨーク・タイムズ紙、リーマン・ショックの顛末を描いた”Too Big Too Fail“、温家宝首相一族の隠し財産リークなどニュースの第一線をリードし、ピュリッツァー賞獲得数は127を数えながら、人生のステージを描く一流紙でもあります。結婚告知欄「Vows」に掲載される日を夢見る女性は、数知れず。大人気ドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ(SATC)」でも、主人公がかつての恋人の結婚をこの欄で知ったというエピソードがあったような。
そのNYT紙、恋愛コラムも取り扱っています。「モダン・ラブ」と題し、約15年にわたりウィークリーで掲載しているんですよね。このコラムが10月にドラマ化され、アマゾンでリリースされたのです。NYに戻った10月後半に、このポスターを地下鉄の構内やバス停などで、よく見掛けました。
(出所:MODERN LOVE Trailer (2019)/Youtube)
同僚の勧めもあってドラマ版を視聴したところ・・・主人公が異なる8エピソードで1シリーズが構成され、それぞれが約30分程度と、気軽に楽しめます。その内容を一言で表すと「シュールだけど、リアル」でしょうね。アン・ハサウェイ演じる躁鬱病の女性がリタ・ヘイワースな気分で早朝からスーパーマーケットで好みの男性をナンパしたり、2回目のデートがひょんなことから流血事件につながったり、倦怠期の夫婦が2人がカウンセラーとのセッションを通じ関係構築の道を切り拓いたり、ゲイ・カップルが養子縁組に奮闘したり・・・。それぞれ欠けたピースを現実の中から拾い上げ、非現実的な幸せのパズルを埋めていく感じと言えば良いのか。しかもSATCほどドラマチックでも浮世離れしているわけでもなく、NY在住歴があるなら自身の体験を思い出させるので、非常にリアルなんですよ。私自身、主人公の女性が世話焼きドアマンに助けてもらうエピソードを見て、懐かしい顔を思い出しました。
私がお気に入りのエピソードは、最終回。高齢の白人女性が日系アメリカ人(中国系や韓国系ではなく、俳優自身も日系アメリカ人というのが最近では珍しい)とランニングで出会い、恋に落ちたお話。自分自身が年を取ったせいか、こういうほっこりストーリーに涙してしまいます。最終回で伏線をきっちり拾ってあることも、特筆すべきでしょう。
余談ですが、アマゾンはワシントン・ポスト紙を傘下に収めていますよね。個人的には、NYT紙のコラムをドラマ化し放映した実績こそ、今の時代を象徴する「モダン・ラブ」ではないかと感じました。
(カバー写真:Jan Jespersen/Flickr)
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