Private Payrolls Fall Much Less Than Expected In May.
米5月ADP全国雇用者数は前月比276万人減となり、市場予想の900万人減ほど悪化しなかった。過去最悪だった前月の1,955.7万人減(2,023.6万人減から下方修正)の15%程度にとどまる。新型コロナウイルス感染者数がピークアウトを確認するなか、全米50州(ワシントンD.C.除く)は5月20日までに経済活動の再開に着手。同時に企業も採用活動に動き始め、市場予想より格段の改善を示したようだ。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
チャート:ADP全国雇用者数、減少幅を1桁減らす(見えづらく失礼します)
セクター別では、サービス部門が196.7万人減と前月の1,720.1万人減(1,600.7万人減から修正値)から大幅に改善した。内訳は以下の通りで、前月に減少の約半分を占めた娯楽・宿泊が大幅に改善した。ただ、貿易・輸送やその他を始め、前月に全て軒並み減少した。
・貿易/輸送→82.6万人減、3ヵ月連続で減少>前月は305.7万人減
・その他→30.7万人減、3ヵ月連続で減少>前月は126.7万人減
・専門サービス→25.0万人減、3ヵ月連続で減少>前月は216.4万人減
・金融→19.6万人減、2ヵ月連続で減少>前月は26.2万人減
・娯楽/宿泊→10.5万人減、3ヵ月連続で減少>前月は765.4万人減
・教育/健康→16.8万人減、3ヵ月連続で減少>前月は254.3万人減
・情報→11.5万人減、4ヵ月連続で減少>前月は25.4万人減
財部門(製造業、建設、鉱業)は79.4万人減と、前月の235.6万人減(422.9万人から修正)から大幅に下げ幅を縮小した。内訳をみると、前月最も下押しした製造業が大きく巻き戻したほか、建設も回復の兆しをみせた。一方で、鉱業のみ若干ながら前月から減少幅を広げた。
・製造業 71.9万人減、少なくとも6ヵ月連続で減少>前月は133.0万人減
・建設 2.2万人減、3ヵ月連続で減少>前月は97.6万人減
・鉱業 5.2万人減、減少トレンドを維持<前月は5.0万人減
チャート:企業規模別では以下の通りで、前月に続き大企業が全体を押し下げ
ADPリサーチ・インスティチュートのアフ・イルディルマス共同ヘッドは、結果を受け「新型コロナウイルスは規模や業種を問わずあらゆる企業を下押しした」と指摘した。ただ「労働市場はパンデミックの悪影響から立ち上がりつつあり、業務再開に合わせ雇用喪失は4月に底を打ったようにみえる」とまとめた。
――ADPが指摘する通り全米50州で経済活動が再開するなかで、労働市場も改善しつつあります。市場予想より雇用減少の巻き戻しが急激である点は、ポジティブ・サプライズ。5月ベージュブックではコロナ禍でも失業保険の影響で採用が困難との指摘が聞かれましたが、連邦政府の上乗せ分600ドルの支給が終了する7月末には、雇用回復が一段と加速するか見極めたいところです。
(カバー写真:Anthony Quintano/Flickr)
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