GM Orion Assembly - Bolt EV and Sonic

米5月鉱工業生産、自動車が牽引し回復も稼働率は小幅改善にとどまる

by • June 18, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off2566

Industrial Production Edges Up, But Capacity Utilization Remains Historic Low.

米5月鉱工業生産指数は前月比1.4%上昇し、市場予想の3.0%の上昇には届かなかった。統計を開始した1919年以来で最も激しい落ち込みを記録した前月の12.5%の低下(11.2%の低下から下方修正)からは改善し、過去6ヵ月間で2回目の上昇となる。新型コロナウイルス感染にピークアウトの兆しがみられるなか、4月後半から各州で段階的に外出禁止措置が緩和・終了した結果、生産活動が徐々に再開した格好だ。

鉱工業生産指数の前年比16.2%低下し、9ヵ月連続で低下した。製造業に至っては25.7%低下、11ヵ月連続のマイナスに。鉱工業生産は前月からマイナス幅を縮めたが、製造業は少なくとも1990年以降で最大の落ち込みを迎えた。

稼働率は64.8%と、市場予想の66.9%を下回った。少なくとも1967年以降で最低を更新した前月の64.0%(64.9%から下方修正)から、小幅な改善にとどまった。

チャート:鉱工業生産は製造業(前年比)の落ち込みにより、稼働率の上昇を抑制

ip_cp_20may ip_yoy_20may

ip_20apryoy

(出所:My Big Apple NY)

内訳をみると、製造業(全体の75.1%)が5ヵ月ぶりに上昇した。けん引役は自動車で、工場再開を受け急反発した。ただし鉱業(全体の14.2%)は3ヵ月連続で低下公益(全体の10.4%)は低下に転じた。詳細は、以下の通り。

■製造業 3.8%の上昇、5ヵ月ぶりに上昇>前月は15.5%の低下、6ヵ月平均は2.8%の低下

▽耐久財 5.8%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は21.6%の低下、6ヵ月平均は4.0%の低下

・自動車関連 120.8%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は76.5%の低下、6ヵ月平均は2.5%の上昇
・家具関連 9.4%の上昇>前月は6.5%の低下、6ヵ月平均は4.3%の低下
・航空機/輸送機 8.1%の上昇、5ヵ月ぶりに上昇>前月は23.0%の低下、6ヵ月平均は4.9%の低下

・組立金属 1.5%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は11.2%の低下、6ヵ月平均は2.1%の低下
・木材 横ばい>前月は11.1%の低下と2ヵ月連続で低下、6ヵ月平均は2.2%の低下
・コンピュータ/電子部品 0.3%の低下、3ヵ月連続で低下>前月は5.6%の低下、6ヵ月平均は0.7%の低下

・機械 1.2%の低下、5ヵ月連続で低下>前月は19.4%の低下、6ヵ月平均は4.2%の低下
・電気製品 2・0%の低下、3ヵ月連続で低下>前月は6.6%の低下、6ヵ月平均は1.6%の低下
・一次金属 4.8%の低下、5ヵ月連続で低下<前月は4.8%の低下、6ヵ月平均は5.5%の低下

▽非耐久財 2.1%の上昇、4ヵ月ぶりの上昇>前月は9.6%の低下、6ヵ月平均は1.6%の低下

・服飾 20.0%の上昇、3ヵ月ぶりに上昇>前月は27.1%の低下、6ヵ月平均は3.0%の低下
・繊維 10.9%の上昇、4ヵ月ぶりに上昇>前月は23.2%の低下、6ヵ月平均は3.0%の低下
・プラスチック/ゴム 9.6%の低下、3ヵ月ぶりに上昇>前月は20.5%の低下、6ヵ月平均は2.7%の低下

・石油製品 2.1%の上昇、4ヵ月ぶりに上昇>前月は17.3%の低下、6ヵ月平均は3.4%の低下
・食品/飲料/タバコ 1.4%の上昇、3ヵ月 ぶりに上昇>前月は8.3%の低下、6ヵ月平均は1.2%の低下
・化学品 0.5%の上昇、4ヵ月ぶりに上昇>前月は5.1%の低下、6ヵ月平均は1.0%の低下

■公益 2.3%の低下<前月は0.1%の上昇、6ヵ月平均は2.0%の低下

・電力 1.1%の低下、過去6ヵ月間で5回目の低下>前月は3.5%の低下、6ヵ月平均は1.7%の低下
・天然ガス 8.1%の低下<前月は20.6%の上昇、6ヵ月平均は2.9%の低下

■鉱業 6.1%の低下、3ヵ月連続で低下<前月は1.1%の低下、6ヵ月平均は1.3%の低下

――米5月鉱工業生産は改善し、特に自動車はトヨタとホンダが5月11日、GMとフォード、フィアット・クライスラーは5月18日に工場の稼働を再開させた結果、上昇を支えました。

チャート:主な業種別の生産指数動向

ip_details_20may
(作成:My Big Apple NY)

ただし、製造業のなかでは機械やコンピュータ・電子部品、一次金属などが弱く、全般的に力強い回復はみられません。そのせいか、設備稼働率も過去最低水準近くのままです。米国ではテキサス州を始め21州で感染者数が増加に転じるほか、中国での第2波が遅い。ブラジルなど南米、サウジアラビアなど中東でも感染者が増加傾向にあり、短期的に内需と外需ともに生産活動の回復の障害となるリスクをはらみます。

(カバー写真:GM

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.