Labor Force Participation Rate By Race Declines While Democrats Are Getting Closer To Passing A Relief Package.
米1月雇用統計は、非常業部門就労者数(NFP)は増加基調へ戻したとはいえ、小幅な改善にとどまりました。では、業種別の平均時給を始め、人種や学歴別などでどのような結果になったのか、詳しく見てみましょう。
〇業種別、生産労働者・非管理職部門の平均時給
生産労働者・非管理職(民間就労者の約8割)の平均時給は前月比で0.1%上昇の25.18ドル。前年比では5.4%上昇し、管理職を含めた全体と並んだ。業種別を前月比でみると、以下の通り。平均時給の伸び0.1%を上回ったのは、鉱業(2.9%)を始め金融と娯楽・宿泊(1.0%)、小売(0.9%)など13業種中で8業種となった。雇用が減少した娯楽・宿泊や小売で著しい伸びを示した背景は、ベージュブックで頻繁に指摘されるように困難な人材確保による賃上げが挙げられよう。
チャート:業種別、前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額
〇労働参加率
働き盛りの男性(25~54歳)の労働参加率は、全米が61.4%と前月から0.1ポイント低下した一方で、25~34歳の白人を除きそろって上昇した。全米の男性は季節調整済み、白人は季節調整前の数字で以下の通り。
・25~54歳 87.7%、3ヵ月ぶりの水準を回復>前月は87.3%、6ヵ月平均は87.7%
・25~54歳(白人) 88.7%、3ヵ月ぶりの水準を回復>前月は86.9%、6ヵ月平均は89.0%
・25~34歳 87.1%、3ヵ月ぶりの水準を回復>前月は89.4%、6ヵ月平均は87.0%
・25~34歳(白人) 88.3%、6ヵ月ぶりの低水準<前月は88.4%、6ヵ月平均は88.6%
チャート:働き盛りの男性、労働参加率
労働参加率は25~34歳の働き盛りの女性で改善がみられつつ、25~54歳は横ばいだった。
・25~54歳 74.8%=前月は74.8%、6ヵ月平均は74.7%
・25~34歳 75.2%、3ヵ月ぶりの水準を回復>前月は75.0%、6ヵ月平均は75.2%
1月の労働参加率の低下は主に高齢者でみられ、65歳以下は男性で23.1%と20年5月以来、女性で15.3%と20年6月以来の水準に落ち込んでいた。
〇縁辺労働者
縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は前月比で5.1%減の695.7万人(男性は338.1万人、女性は357.6万人)。過去最多をつけた20年4月でピークアウトしたとはいえ、6ヵ月連続で700万台を挟んだ推移となる。また、今回は3ヵ月ぶりに女性が男性を上回った。労働市場の需要と供給が引き続きマッチせず、雇用が進まない状況を表す。
チャート:就職を望む非労働力人口
〇人種別の労働参加率、失業率
人種別の労働参加率は、黒人とアジア系で改善。特に黒人は20年3月以来の水準を回復した。
・白人 61.4%、20年5月以来の低水準<前月は61.6%、6ヵ月平均は61.6%
・黒人 60.3%、20年3月以来の高水準>前月は59.8%、6ヵ月平均は60.1%
・ヒスパニック 65%、6ヵ月ぶりの低水準<前月は65.3%、6ヵ月平均は65.2%
・アジア系 62.8%>前月は61.8%、6ヵ月平均は62.9%
・全米 61.4%、4ヵ月ぶりの低水準<前月は61.5%、6ヵ月平均は61.5%
チャート:人種別の労働参加率
人種別の失業率は、アジア系を除き改善。黒人とヒスパニック系の改善が著しく20年12月からそろって0.7ポイントも低下した。黒人の場合、労働参加率が上昇したにも関わらず失業率も著しく下振れしており、その結果、黒人と白人の失業率格差は3.5ポイントと、20年4月以来の水準へ改善した。黒人で職が改善した理由として、他人種と比べ、追加経済対策の成立を背景とした増額された失業保険手当より就職を選んだ労働者が多かったと考えられよう。一方で、アジア系は労働参加率の改善に合わせ0.7ポイントも上昇した。
・白人 5.7%、20年3月以来の低水準<前月は6.0%、6ヵ月平均は6.7%
・黒人 9.2%、20年3月以来の低水準<前月は9.9%、6ヵ月平均は11.3%
・ヒスパニック 8.6%、20年3月以来の低水準<前月は12.9%、6ヵ月平均は9.8%
・アジア系 6.6%<前月は12.0%と20年3月以来の低水準、6ヵ月平均は8.3%
・全米 6.3%、20年3月以来の低水準<前月は10.2%、6ヵ月平均は7.6%
〇学歴別の労働参加率、失業率
学歴別の労働参加率は概して低下。大卒以上のみが上昇したが、これは20年12月に経済活動が停止した20年4月以来の水準に落ち込んだ反動とみられる。
・中卒以下 44.9%、4ヵ月ぶりの低水準<前月は45.0%、6ヵ月平均は45.0%
・高卒 55.2%、4カ月ぶりの低水準<前月は55.5%、6ヵ月平均は55.3%
・大卒以上 72.2%>前月は71.9%と20年4月以来の低水準、6ヵ月平均は72.2%
・全米 61.7%、3月以来の高水準>前月は61.4%、6ヵ月平均は61.5%
学歴別の失業率は高卒以下で改善し、それぞれ0.7ポイントも大幅に低下した。一方で、大卒以上は逆に失業率が20年3月以来の水準に低下した前月から上昇しており、専門サービスのうち8割を派遣が占めたように高賃金職での就職が困難な状況を示唆した。
・中卒以下 9.1%、20年3月以来の低水準<前月は9.8%、6ヵ月平均は10.2%
・高卒 7.1%、20年3月以来の低水準<前月は10.8%、6ヵ月平均は8.3%
・大卒以上 4.0%>前月は3.8%と20年3月以来の低水準、6ヵ月平均は4.4%
・大学院卒以上 3.7%>前月は3.5%と20年3月以来の低水準、6ヵ月平均は3.9%
・全米 6.3%、20年3月以来の低水準<前月は6.7%、6ヵ月平均は7.1%
チャート:学齢別の失業率
――1月の雇用統計を詳細にみると、①労働参加率は65歳以上で著しく低下、②人種別の労働参加率と失業率は黒人で改善も、白人とヒスパニック系は労働参加率の低下が失業率の下押し要因、③学歴別では高学歴が労働市場にカムバックするも、雇用が十分でなく吸収できず――といった実態が浮かび上がります。①と②については、新型コロナウイルス感染拡大を警戒した傾向とされますが、感染者が減少しカリフォルニア州のように規制が緩和されれば改善する期待があります。
実際、1月にコロナを理由に仕事探しをしなかった人々は472万人でした。彼らが仮に労働市場に戻ったとすれば、労働参加率は63.2%と2019年の平均値の63.1%を上回るのですよ。
チャート:コロナを理由に職探ししなかった潜在労働者
ただ民主党の大型コロナ対策が成立すれば、コロナ感染状況が落ち着くまで労働市場に戻らず、労働参加率が伸び悩むシナリオにも留意すべきでしょう。
(カバー写真:NDNWITHALEICA/Flickr)
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