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米10月小売売上高、年末商戦先取りで3ヵ月連続で増加

by • November 19, 2021 • Finance, Latest NewsComments Off2228

Early Holiday Shopping Pushes Up Retail Sales In October.

米10月小売売上高は前月比1.7%増と、市場予想の1.4%増を上回った。前月の0.8%増(0.7%増から上方修正)を超え、3ヵ月連続、年初来で7回目の増加に。伸びとしては、3月以来の大きさとなる。子育て世帯向けに税控除を開始した効果に加え、年末商戦の値引き前倒しが奏功したとみられる。

自動車とガソリンを除いた小売売上高は前月比1.4%増と、市場予想の0.7%増を上回った。前月の0.5%増(0.7%増から下方修正)を超えた。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も1.6%増と、市場予想の0.9%増を上回り年初来で6回目の増加となる。前月の0.5%増(0.8%増から下方修正)も超え、4ヵ月ぶりの伸びとなった。

チャート:小売売上高、前月比で3ヵ月連続で増加

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チャート:前年比は16.3%増、ベース効果で過去最高の伸びとなった4月以降で最低だった前月から伸び拡大

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(作成:My Big Apple NY)

前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中10費目増加し、前月の9費目を上回った。今回、最も力強く増加したのは無店舗で、続いて価格高騰を背景にガソリンスタンド、新型iPhone発売や年末商戦の値引き前倒しを追い風に電気製品が入った。一方で、が職は横ばい。ヘルスケアは2ヵ月連続で減少、服飾は減少に転じた。前月比の費目別詳細は以下の通り。

(プラス費目)

・無店舗(主にネット)→4.0%増、年初来で6回目の増加>前月は0.8%減、6ヵ月平均は0.6%増
・ガソリンスタンド→3.9%増、年初来で9回目の増加>前月は3.2%増、6ヵ月平均は2.8%増
・電気製品→3.8%増、年初来で5回目の増加>前月は0.2%増、6ヵ月平均は横ばい
・雑貨→2.8%増、年初来で7回目の増加=前月は2.8%増、6ヵ月平均は1.7%増
・建築材/園芸→2.2%増、年初来で5回目の増加>前月は1.0%増、6ヵ月平均は2.3%増
・自動車/部品→1.8%増、年初来で5回目の増加>前月は1.2%増、6ヵ月平均は1.8%減
・スポーツ用品/書籍/趣味→1.5%増、年初来で4回目の増加<前月は4.5%増、6ヵ月平均は0.5%減
・食料/飲料→0.9%増、年初来で8回目の増加>前月は0.2%増、6ヵ月平均は0.8%増
・一般小売→0.8%増、年初来で6回目の増加<前月は2.0%増、6ヵ月平均は0.8%増(百貨店は2.2%増、年初来で7回目の増加>前月は1.0%増、6ヵ月平均は2.3%増)

・家具→0.4%増、年初来で5回目の増加>前月は1.1%減、6ヵ月平均は0.5%減

(横ばいの費目)

・外食→横ばい、年初来では9回増加>前月は0.4%増、6ヵ月平均は1.4%増

(マイナス費目)

・服飾→0.7%減、年初来で4回目の減少<前月は2.1%増、6ヵ月平均は1.0%増
・ヘルスケア→0.6%減、年初来で5回目の減少<前月は1.0%減、6ヵ月平均は横ばい

チャート:10月の費目別動向、無店舗や家具、一般小売、食料/飲料などが牽引

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(作成:My Big Apple NY)

――前述の通り、年末商戦を先取りした消費が支え、好結果となりました。米10月消費者物価指数が前月比0.9%増、前年同月比で6.2%増と31年ぶりの高い伸びだったように、物価上昇も名目ベースの小売売上高を押し上げたことでしょう。それでも、GDPのうち7割を占める個人消費が回復し、成長を押し上げる期待が高まります。好結果を受け、JPモルガン・チェースでは米国の10~12月期の実質GDP成長率見通しを4.0%増から5.0%増へ上方修正しました。バイデン政権にとっては、願ってもない朗報でしょう。需要の先食い懸念が浮上していないのは、それだけ需要が力強いのか、はたまた米国的楽観さなのかが、日本的慎重姿勢をもつ筆者としては気になるところです。

(カバー写真:Marco Verch Professional Photographer/Flickr)

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