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米12月雇用統計、黒人の労働参加率は改善も失業率は上昇

by • January 8, 2022 • Latest News, NY TipsComments Off2438

Black Unemployment Rate Jumps White Rates for White, Hispanic and Asian Groups Fall.

米12月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、こちらでご紹介したように2021年で最も小幅な伸びにとどまりました。一方で、失業率は3.9%と2020年2月以来、労働参加率は61.9%と2020年3月以来の水準へ改善。平均時給は高止まりを維持するだけに、NFPの伸びが小幅でもFedがテーパリング終了後早々の3月に利上げ開始へ踏み切る可能性が高まって参りました。

それはともかくとして、ここでは業種別の就労者数の変化や平均時給を始め人種や学歴別など詳細を拾っていきます。

〇業種別、生産労働者・非管理職部門の平均時給

生産労働者・非管理職(民間就労者の約8割)の前月比で0.7%上昇の26.61ドル、前年比は5.8%の上昇。

業種別を前月比でみると、同部門の平均時給の伸び以上だったのは13業種中で6業種と、前月の4業種を上回った1位は卸売で前月比1.6%上昇、続いて公益が同1.3%とそれぞれ1%以上の高い伸びとなった。そのほか、2ヵ月連続で就業者が減少した小売を始め専門サービスと教育・健康が同0.9%上昇、娯楽・宿泊(同0.8%)と続いた。一方で、今回前月比で下落した業種は1業種と、前月と変わらず。デルタ株感染拡大中に賃上げが最も著しかった娯楽・宿泊のみ0.2%下落した。同業種の賃上げ後退は、ゼロ。前月は娯楽・宿泊が下落していたが、今回はその他サービスが横ばいにとどまる程度だった。

チャート:業種別でみた前月比の平均時給、チャート内の数字は平均時給額

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(作成:My Big Apple NY)

〇労働参加率

労働参加率が61.9%と2020年3月以来の水準を回復したが、働き盛りの男性(25~54歳)では低下が優勢となった。25~34歳の全米男性のみ横ばいとなった程度で、他は全て低下している。以下、季節調整済みで、白人は季節調整前となる。

・25~54歳 88.0%<前月は88.2%、20年2月は89.1%
・25~54歳(白人) 89.3%<前月は89.4%と20年3月(90.3%)以来の高水準、20年2月は90.6%
・25~34歳 88.1%=前月は88.1%、20年2月は89.0%
・25~34歳(白人) 89.3%<前月は89.4%と20年3月(90.4%)以来の高水準、20年2月は90.7%

チャート:働き盛りの男性、労働参加率は25~34歳の全米を除き低下

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(作成:My Big Apple NY)

働き盛りの女性の労働参加率も改善したが、特に25~34歳は20年2月以来の水準へ上昇した。

・25~54歳 75.9%、20年3月(76.2%)以来の高水準>前月は75.7%、20年2月は76.8%
・25~34歳 77.2%、20年2月(78.2%)以来の高水準=前月は77.2%

65歳以上の高齢者の労働参加率は、男女でまちまちとなった。男性は23.7%と4ヵ月ぶりの低水準だった半面、女性は15.9%と、2020年3月(16.1%)以来の水準を回復した。

 

〇縁辺労働者

縁辺労働者(ここでは直近4週間にわたり職探しをしていないが、職を求める非労働力人口)で「今すぐ仕事が欲しい」と回答した人々の数は前月比で1.8%減の571.3万人(男性は前月比の275.9万人、女性は295.4万人)。3ヵ月連続で減少した背景は、男性が9.4%増と大幅増加していたためで、女性は10.4%減少していた。ただ、女性は6ヵ月連続で男性を上回った。

チャート:職を望む非労働力人口、男性が増加し女性が減少

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(作成:My Big Apple NY)

〇男女の失業率、労働参加率
男女の失業率は、そろって20年2月以来の水準へ改善した。男性は前月の4.2%→3.9%。女性も4.2%→3.9%と、2020年2月以来の低水準だった。

男女別の労働参加率は、明暗が分かれた。男性が20年3月(68.5%)以来の高水準となった前月の67.8%→67.7%へ低下した一方、女性は前月56.3%→56.5%へ上昇し、8月に続き20年3月(57.1%)以来の水準を回復した。

チャート:男女別、労働参加率、直近は女性が上向き

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(作成:My Big Apple NY)

人種・男女別の就業者数を20年2月比でみると、黒人女性の回復の鈍さを確認できる。一方でヒスパニック系は男性が、アジア系は女性がプラスとなった。白人はそろってマイナスを維持した。

チャート:男女・人種別の就業者数、20年2月との比較

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(作成:My Big Apple NY)

〇人種別の労働参加率、失業率

人種別の動向を紐解く前に、人種別の大卒以上の割合を確認する。2010年と2016年の比較では、こちらの通りアジア系が突出するほか、白人が全米を上回る一方で、黒人とヒスパニック系は全米を大きく下回っていた。

種別の労働参加率は、低下が優勢。デルタ株の新規感染者が8月末にピークアウトし、9月6日に失業保険給付上乗せも終了したとはいえ、オミクロン株の感染拡大が懸念されたためか、黒人以外は低下あるいは横ばいにとどまった。

・白人 61.7%、2020年10月以来の水準を回復=61.7%、20年2月は63.2%
・黒人 60.8%>前月は60.7%と8ヵ月ぶりの低水準、20年2月は63.1%
・ヒスパニック系 66.0%<前月は66.3%と20年3月(67%)以来の高水準、20年2月は68.0%
・アジア系 64.6%、3ヵ月ぶりの低水準<前月は65.1%
・全米 61.9%と2020年3月以来の水準を回復=前月は61.8%、20年2月は63.3%

チャート:人種別の労働参加率、白人と黒人は低下

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(作成:My Big Apple NY)

人種別の失業率は、黒人を除き20年2月以来の水準に低下。しかも黒人は労働参加率が唯一上昇したにも関わらず失業率が上昇しており、引き続き黒人の間での雇用回復は他の人種より困難である様子が伺える。特に黒人女性の失業率は11月の4.9%→6.2%へ悪化していた。

・白人 3.2%、20年2月以来の低水準<前月は3.7%、20年2月は3.0%
・黒人 7.1%>前月は6.5%と20年3月以来の低水準、20年2月は6.0%
・ヒスパニック系 4.9%、20年2月以来の低水準<前月は5.2%、20年2月は4.4%
・アジア系 3.8%、20年2月以来の低水準<前月は3.9%、20年2月は2.5%
・全米 3.9%、20年2月以来の低水準<前月は4.2%、20年2月は3.5%

白人と黒人の失業率格差は白人が低下し黒人そろって上昇したため、3.9ポイントと20年4月以来の水準へ縮小した前月の2.8ポイントから拡大した。引き続き、トランプ前政権で記録した19年8月の1.9ポイント超えの水準を保つ。

チャート:黒人と白人の失業率格差、トランプ前政権期と比較して上昇続く

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(作成:My Big Apple NY)

〇学歴別の労働参加率、失業率

学歴別の労働参加率は、中卒を除き改善あるいは横ばいとなった。

・中卒以下 44.8%、6ヵ月ぶりの低水準<前月は45.1%、20年2月は47.7%
・高卒 55.7%、20年8月以来の高水準を維持=前月は55.7%、20年2月は58.3%
・大卒以上 72.3%、5ヵ月ぶりの水準を回復>前月は72.0%、20年2月は73.2%
・全米 61.9%、20年3月以来の高水準>前月は61.8%、20年2月は63.3%

学歴別の失業率は、全て低下した。特に大学院卒は01年2月以来の水準へ急低下し、前月に続き労働参加率の上昇と合わせ正常化しつつある。一方で、中卒も19年9月以来の水準へ改善したが、これは労働参加率が大幅に低下したことが大きく健全な低下と言い難い。

・中卒以下 5.2%、19年9月以来の低水準<前月は5.5%、20年2月は5.7%
・高卒 4.6%、20年3月(4.3%)以来の低水準<前月は5.2%、20年2月は3.7%
・大卒 2.1%、20年2月以来の低水準<前月は2.2%、20年2月は1.9%
・大学院卒以上 1.2%、2001年2月以来の低水準<前月は1.5%、20年2月は1.7%
・全米 3.9%、20年2月以来の低水準<前月は4.2%、20年2月は3.5%

--米12月雇用統計の詳細を見ると、①12月の労働参加率、改善をけん引したのは女性で男性は逆に低下、②平均時給は引き続き対面サービスが必要となる職で顕著に、③人種別では黒人のみ労働参加率が改善も、失業率は黒人で上昇、④学歴で明暗、大学院卒は労働参加率と合わせ正常化が進むが、中卒は労働参加率が低下――などの実態が浮かび上がりました。

黒人、特に女性の間での雇用回復の遅れは気掛かりです。バイデン政権は黒人の支持を一因に誕生しましたが、中間選挙では人種別で明暗が分かれる結果を受け、黒人の投票率が低下すれば、2022年の各予想のように中間選挙で上下院での多数派を共和党に奪回されるリスクを高めます。

(カバー写真:WOCinTech Chat/Flickr)

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