A Slight Majority Of Americans Would Prefer The U.S. Stay Out Of Ukraine Tensions.
サリバン大統領補佐官(安全保障担当)が11日、ロシアがウクライナ侵攻に十分な兵力を集結させたとして「いつでも開始しうる」と発言、48時間以内の退避を勧告しました。翌12日には米ロ首脳会談が電話で行われたものの、打開の糸口は見出せず。複数の米当局者によれば、2月16日にも空爆やミサイル攻撃が予想され、サイバー攻撃による国家転覆のリスクも浮上しているといいます。
バイデン大統領はウクライナのゼレンスキ―大統領と13日に行った電話会談で、ロシアが行動を起こした場合「迅速かつ断固たる対応」するとの言質を与え、カブール陥落の悪夢を繰り返さない姿勢を強調。一方でゼレンスキー氏は、バイデン氏の訪問と追加経済支援を要請しましたが、いつ侵攻が起こるか分からない状況で、米当局者はCNNに極めて可能性は低いと応じていましたね。
さて、米国人は足元のウクライナ情勢緊迫化とバイデン政権の働きをどのように評価しているのか、世論調査の結果が出ましたので拾っていきましょう。CBS/ユーガブが2月8~11日に2,578人に実施した結果は、以下の通りです。
ウクライナ問題の対応として「関与すべきでない」との回答が53%と、「ウクライナを支援すべき」との回答44%を上回っていました。
(作成:My Big Apple NY)
党派別でみると明らかで、「ウクライナを支援すべき」は民主党が最も多く58%に対し、無党派層は35%、共和党41%。逆に、「関与すべきでない」は無党派層が最も多く61%にのぼりました。
(作成:My Big Apple NY)
エコノミスト誌/ユーガブ が2月5~8日に約1,500人に実施した世論調査では、ウクライナ問題と米国による関与に対する米国人の見方がより詳しく判明しました。
ロシアへの経済制裁発動は各党派それぞれで50%超えとなり、特に民主党が59%とリード。
ウクライナへの経済支援も民主党が53%と過半数超えとなり、共和党と全米も42%とまずまずの水準に。
ウクライナへの米軍派遣となると、後方支援のみなら民主党で賛成が40%と反対(24%)を上回りましたが、共和党と全米は賛成(それぞれ31%、33%)より反対(42%、34%)が多い結果になっています。
武力行使を踏まえたウクライナへの米軍派遣ともなると、ご覧の通り賛成は全て10%台(民主党:16%、共和党:14%、全米;13%)で、反対が優勢でした。
一連の世論調査結果は、バイデン政権に非常に悩ましい。カブール陥落の失点を挽回すべく、バイデン政権は国内外にウクライナ問題で「強い米国」の復活を印象付けたいところ。同盟国の信頼回復に加え、台湾海峡問題を踏まえ中国を牽制する必要があります。
ところが、米国人は共和党はともかく無党派層でウクライナの積極的な関与に関心がない様子。ウクライナ問題がエネルギー価格の高騰を招き米国人の生活を圧迫する要因となっているわけですが、米1月消費者物価指数が40年ぶりの高い伸びを記録するなかで外交問題より国内経済への関心が高いようです。ただ、バイデン政権は中間選挙で無党派層の票が運命を左右しかねないだけに、厳しい舵取りが迫られます。しかも、2月9日に平均支持率は39.8%と初の40%割れを迎えていただけに、これ以上の支持率低下は許されません。
(カバー写真:Global Panorama/Flickr)
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