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米4月人員削減予定数は高どまり、米新規失業保険申請は増加

by • May 4, 2023 • Finance, Latest News, NewsComments Off2316

Job Cuts And Jobless Claims Elevated, While Hires Decrease In April.

米4月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比で約2.8倍増の6万6,995人と、12ヵ月連続の増加した。ただし、前月比で25.3%減と、3カ月ぶりにマイナスとなった結果、水準自体は年初来で最小となる。

チャート:米4月人員削減予定数、11カ月連続で前年同月超え

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(作成:My Big Apple NY)

チャート:過去4年間と比較すると、コロナ禍での2020年を除き最多が続く

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(作成:My Big Apple NY)

年初来の人員削減予定数は前年同期比でほぼ4.4倍増の33万7,411人だった。2020年以来、3年ぶりの高水準となる。

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社のアンドリュー・チャレンジャー・シニア・バイス・プレジデントは、結果を受け「Fedのインフレ抑制を狙った利上げを受け、小売業者と消費財メーカーのほか、デジタル部門を含めた金融は、家計の支出引き締めに備えつつある」と振り返った。また、金融については「大手

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。4月は食肉大手のタイソン・フーズ、素材大手3M、配車サービス大手リフト、アマゾン傘下のスーパーマーケット大手ホールフーズ、コンサル大手デロイトなどが幅広い業種で人員削減計画が発表された。前月は1位がテクノロジー、2位が金融、3位がサービス、4位がヘルスケア、5位が小売だった。

1位 小売 1万4,689人、前年同月は2,213人
2位 テクノロジー 1万1,553人、前年同月は192人
3位 消費財 9,146人、前年同月は1,031人
4位 ヘルスケア 6,184人、前年同月は2,005人
5位 フィンテック 4,430人、前年同月は340人

年初来では、以下の通り。今回は金融ガ3位に浮上し、ヘルスケアが4位に転落した一方で、小売が圏外となった。

1位 テクノロジー 11万3,944人、前年同月は459人
2位 小売 3万6,115人、前年同月は3,830人
3位 金融 3万3,356人、前年同月は8,675人
4位 ヘルスケア 2万9,134人、前年同月は1万5,298人
5位 サービス 2万203人、前年同月は8,418人

州別動向は年初来で以下の通りで1、2、5位は人口別でのトップ5に入る州が並んだ。1位のカリフォルニア州が突出して多いのはIT関連の人員削減が響いたとみられる。前月に続き2位のNY州は金融のほか、3位のワシントン州と合わせテクノロジー関連の人員削減で急速に増加したもようだ。順位は前月と変わらず。

1位 カリフォルニア州 12万9,489人 前年同期は1万2,258人
2位 ニューヨーク州 3万7,153人 前年同期は6,712人
3位 ワシントン州 2万5,523人 前年同期は3,034人
4位 ミシガン州 1万8,007人 前年同期は3,639人
5位 テキサス州 1万7,497人 前年同期は2,819人

リストラ実施の理由別ランキングは、年初来で以下の通り。前月は1位が市場・経済動向、2位がコスト削減、3位が理由不明、4位が閉鎖、5位が赤字だった。

1位 市場・経済動向 19万1,666人
2位 コスト削減 4万2,254人
3位 理由不明 3万3,986人
4位 閉鎖 2万7,915人
5位 再編 1万4,945人

採用予定者数は前年同月比73.7%減の2万3,310人と5カ月連続で減少、単月では2018年以来で最小となる。逆に、前月比では2.6倍増と、4カ月ぶりに増加した。

チャート:採用予定者数、過去4年間と比較しても低い

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(作成:My Big Apple NY)

1~4月期の採用予定者数は前年同期比80.7%減の9万3,948人で、2016年以来で最低となる。

セクター別では、単月で以下の通り。前月は1位が自動車、2位が製薬、3位がエネルギー、4位が小売、5位がヘルスケアだった。

1位 輸送 4,061人
2位 サービス 2,564人
3位 エネルギー 2,353人
4位 娯楽/宿泊 2,312人
5位 テクノロジー 2,125人

▽米新規失業保険申請件数は増加、過去4週間で3回目の24万件乗せ

4月29日週までの米新規失業保険申請件数は24.2万件と、市場予想の24万件を上回った。前週の22.9万件(23.0万件から下方修正)を超え、10週連続で2019年平均の21.8万件を上回った。また、過去4週間で3回目の24万乗せとなる。

4月22日週までの継続受給者数は180.5万人と、前週の184.3万人(185.8人から上方修正)以下に。また、2021年11月以来の高水準だった4月8日週の186.1万人を2週連続で下回った。

チャート:チャート:米新規失業保険申請件数は減少も20万件超えを維持、継続受給者数は21年12月以来の高水準

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(作成:My Big Apple NY)

――その他、米1~3月期単位労働コスト・速報値は前期比年率で6.3%増と、市場予想の5.5%増を上回りました、前期の3.3%増(3.2%増から上方修正)に続き、賃上げ圧力の強まりを感じさせます。しかし、5月FOMCでは米銀問題が焦点となり、賃金インフレに関する質問はなし。こちらで紹介したように、足元で賃金インフレを過大評価しない方向にシフトしてきましたが、実は2022年12月時点では賃金インフレこそ重要事項に据えられていたんですよね。この辺りの転換の背景は容易に想像されますが、実際に賃金インフレは金融政策の後部座席に引き下げられたのか、今後のパウエルFRB議長の発言を確認する必要がありそうです。

いずれにしても、米Q1単位労働コスト・速報値と米4月ADP全国雇用者数は以外は労働市場の鈍化を表しました。米4月雇用統計・NFPの市場予想値は17.8万人増、失業率の市場予想は3.6%。仮に好結果となっても、利上げ継続とみなされ米株安・米長期金利低下・ドル円の下落につながりそうな雲行きです。

(カバー写真:Daniel Foster/Flickr)

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