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自動車差し押さえ率、4−6月期に急伸

by • August 27, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off2545

Automotive Repossession Rate Up significantly In Second Quarter.

新車販売台数がフルスピードで増加しており、6月には年率1692万台と2006年7月以来の1700万台突破が迫りました。7月も1640万台と、高水準を保ちます。

雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が巡航速度で労働市場の改善を示し当然の成り行きに見える一方で、雇用実体は低賃金の割合が大きいという体たらくだったりするので解せなかったんですよ。国内総生産(GDP)だって、1−3月期に2.1%減を経て4−6月期の速報値で4.0%増でしたから上半期は1%に過ぎないわけで。ペントアップ・ディマンドが背景にしても、米7月小売売上高をはじめ消費動向もさえないのに、なぜ新車販売台数だけぶっちぎりで好調なのか。

答えは、通貨監督局(OCC)と信用情報データ会社エクスペリアンなどが教えてくれました。金融危機後に鳴りを潜めた「Sワード」、すなわち低い信用力を指すサブプライム層が一輪ならぬ一翼を担っていたことを。

では、現状はどうなっているのか。

エクスペリアン・オートモーティブの調査によると、4−6月期の自動車ローン総額は11.7%増の8391億ドル(87兆円)と史上最高をマークしました。貸手ベースでは銀行が前年同期比310億ドル増、信用組合は250億ドル増、民間ローン会社は240億ドル増、自動車メーカーの金融子会社は90億ドル増とそれぞれ増加しています。以下は、項目ごとの詳細です。

自動車ローン全体に占める未払い率
・60日以上→前年同期比7%上昇の0.62%
・30日以上→前年同期比0.2%上昇の2.39%

差し押さえ率
・前年同期比70%上昇の0.62%
・貸手では民間ローン会社のみ、1.13%から2.75%へ上昇

1台当たり平均貸し倒れ損失額
・前年同期比で932ドル増の8149ドル(84万5900円)

1人当たりローン年数平均、毎月の平均返済額
・5年6ヵ月、474ドル(4万9200円)

支払い遅延率は、60日以上を中心に上昇。差し押さえ率の水準自体はまだ安全圏とはいえ、70%もの急伸には目を見張ります。サブプライム層が占める差し押さえの割合は、19.6%。こちらは、エクスペリアンがサブプライム層と定義するクレジット・スコア「550—619点」、及び「550点以下」を合わせた数字です。

貸し倒れ額は増加を確認。貸し倒れ損失額は2010年4−6月期の1万1161ドル(115万8500円)以下にとどまってはいますが、ローン年数は過去平均の5年2ヵ月を上回っていました。特にローン年数は延びる傾向にあり、6年以上が25%を占めます。

NY連銀の家計債務動向をみると自動車以外の借り入れも増加中で、家計は圧迫されつつある?
struggle
(出所: US News)

シニア・ディレクターのメリンダ・ザブリツキ氏は、「自動車産業が多くの車を売れば、未払いや差し押さえが増加するというのは予想の範囲内」といいます。2008—09年時と比較すると、「自動車ローンに占めるサブプライム層の割合は小さい」とも指摘。ただし「わずかながら支払いで困難に直面する消費者は増え始めており、今後の動向を見極めたい」とも付け加えています。

まだ深刻な状態ではなく、ボブ・マクファーリンよろしく「Don’t Worry, Be Happy」とやり過ごすのか、リジーのように「Worried About」するのか。現状、マーケットはサブプライム問題が議論され始めた当時よろしく前者のスタンスですね。

(カバー写真:AP)

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