The Awkward Numbers In Stronger Jobs Report.
米9月雇用統計は、緩やかな景気拡大が期待できる内容でした。
ただし、雇用の伸びをよ〜く見てみるといびつな姿が垣間みれます。
年齢層別の就業者数をご覧下さい。
はい、55歳以上が前月比23万人増と顕著な伸びを示しているんですね。逆に、25−54歳層のいわゆる働き盛りは1.0万人減少していました。20−24歳層になると7.2万人減で、卒業式が5月末から6月前半に集中することを踏まえると新卒の就職状況は芳しくないといえるでしょう。45−54歳層にいたっては16.9万人と大きく落ち込んでおり、再就職が困難な様子もうかがえます。
景気後退が開始した2007年12月から数字を紐解くと、さらに驚愕の数字が浮かび上がってきます。ゼロヘッジによると、55−69歳層の雇用は550万人増加していました。ところが、25—54歳層は204万人の減少を示していたんですよね。
労働参加率の低下については、ベビーブーマー世代の構造的要因として片付けられがちです。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長も、ジャクソン・ホールで循環要因と構造要因のミックスと発言していました。しかし、実体の雇用は引退を予定する年齢層で増えていたという皮肉。Fedは、こういった実情をどのように説明するのでしょうか。
賃金の伸びが低迷している背景は、NFPをけん引する職種をみれば明らかです。9月は特にホリデー商戦前とあって、小売を中心に雇用が増加。ウォルマートやUPSなど関連セクターの臨時雇用アナウンス状況でも、2013年からの増加が確認できます。
ただし、問題は賃金。こちらにあるように、小売セクターの時間当たり賃金は9月の平均時間当たり賃金24.53ドルと比較して格段に低い。雇用の伸びが順調でも、国内総生産(GDP)の7割を占める消費が一段と加速するかはクエスチョン・マークが残ります。
(カバー写真:Foxbusiness)
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