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米3月小売売上高は4ヵ月ぶりに増加も、サクラサク結果と言えず

by • April 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2381

Retail Sales Bloom In March, But The Gain Wasn’t Enough.

米3月小売売上高は前月比0.9%増となり、市場予想1.1%増に届かなかった。ガソリン価格の下落で購買力が高まるとの期待をよそに2014年で2番目に大きな落ち込みをみせた同年12月の0.9%、1月の0.8%減、2月の0.5%減(0.6%減から上方修正)と3ヵ月連続で減少した後、4ヵ月ぶりに増加。伸び自体は、1年ぶり高水準。もっとも、過去分の下方修正もあり力強さに欠ける。

内訳をみると、13カテゴリー中9項目で増加。前月の5項目から増加した。ただ自動車を除いた場合も0.4%増となり、市場予想の0.6%増を下回る。前月は横ばいと0.1%減から上方修正されたため、減少は2ヵ月連続にとどまった。

(主なプラス項目)
・自動車→2.7%増、前月の2.1%減から転じ過去6ヵ月間で4回目の増加
・建築材→2.1%増、前月の1.8%減から転じ過去6ヵ月で4回目の増加
・雑貨類→1.7%増、前月の1.0%減から転じ過去6ヵ月間で4回目の増加
・家具→1.4%増、前月の1.2%減から転じ、過去6ヵ月で3回目の増加
・服飾→1.2%増、前月の±0%から改善し過去6ヵ月間で3回目の増加
・一般小売→0.6%増、前月の1.9%減から転じ過去6ヵ月で3回目の増加(*百貨店は1.4%増、過去6ヵ月で2回目の増加)
・外食→0.7%増、前月の0.2%増を含め過去6ヵ月間で5回目の増加
・健康→0.3%増、前月の±0%から転じ過去6ヵ月間で4回目の増加
・スポーツ衣料→0.2%増、前月の2.6%減に続き過去6ヵ月間で3回目の増加

(主なマイナス項目)
・ガソリンスタンド→0.6%減、前月の2.3%増から過去6ヵ月間で5回目の減少
・電気製品→0.5%減、前月の1.2%減に続き過去6ヵ月で5回目の減少
・食品・飲料→0.5%減、前月の0.1%減に続き過去6ヵ月間で2回目の減少
・オンラインを含む非店舗→0.1%減、前月の1.6%増から転じ過去6ヵ月間で3回目の減少

小売売上高、3月は反発を遂げるも市場予想に及ばず。
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(出所:Census Bureau)

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、コア小売売上高(ガソリン、建築材、自動車を除く)に注目し「3月は0.3%増だったものの1−2月に0.2%減だったため、1−3月期では前期比年率0.7%減と試算され金融危機以来で初めて減少に落ち込んだ」と振り返った。また「実質の消費は0.1%増に過ぎず、1)雇用の伸び、2)資産価格の上昇、3)低い水準にあるガソリン価格、4)消費者マインドの改善——と相反する」と指摘。今回の伸び悩みは「天候要因ではない」と判断しつつ、米2月企業在庫を踏まえ米1−3月期国内総生産(GDP)予想を0.6%増、4−6月期の予想を3.0%増で据え置いた。

そのほか、バークレイズも米3月小売売上高と米2月企業在庫を受けて1.0%増で維持。ゴールドマン・サックスは米3月小売売上高を経て米1−3月期GDP予想を1.2%増から1.0%増に下方修正した。

米2月企業在庫は前月比0.3%増となり、市場予想の0.2%増を上回った。前月の±0%から増加に転じ、売上高は横ばいとなり、前月の2.3%減を含む減少トレンドを4ヵ月連続で止めたものの、弱含みトレンドを保つ。売上の不振を受け、在庫相当は1.36ヵ月と2009年7月以来で最大を示した。

米3月生産者物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。前月の0.5%の低下から転じ、5ヵ月ぶりに上昇している。コアPPIは前月比0.2%上昇となり、市場予想の0.1%を上回った。こちらも、前月の0.5%の低下から、改善。全体的に落ち着きがみられた。内訳をみると、自動車が1.9%上昇と2008年10月以来で最高だったほか、ガソリンも7.2%の上昇と2012年9月以来で最大の伸びを示現している。処方箋も0.9%の上昇となり、ヘッドラインに寄与。サービスも0.1%上昇し、3ヵ月ぶりに反発した。一方で、食品は0.8%と3ヵ月連続で低下した。前年同月比では0.8%の低下となり、2月の0.7%の低下に続き。コアPPIは0.9%上昇し、2月の1.0%を下回った。

——米3月小売売上高が予想以下だった一方で米2月企業在庫が在庫積み増しを示したため、エコノミストの間で米1−3月期GDP予想の下方修正は免れました。とはいえ、今月29日に公表される米1−3月期GDPが1%程度と2014年10−12月期から減速すること必至。米3月生産者物価指数の反発も勢いに乏しく、6月利上げ観測が一段と後退し為替相場でドル売りに反応したのも頷けます。

(カバー写真:My Big Apple NY)

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