House Rejects Trade Bill, Greece Worries Continue.
やっぱりと言いましょうか・・。米下院は環太平洋経済連携協定(TPP)締結に必要な米大統領貿易促進権限(TPA、別名ファスト・トラック)の法案をめぐる採決で、躓いてしまいました。関連法案である貿易調整支援(TAA、輸入拡大の煽りを受け失業を余儀なくされた被雇用者を支援するプログラムで給付金が支払われる)を反対302、賛成126で否決。TPA自体は賛成219、反対211だったものの、TAA否決が仇となり承認されず。民主党議員は本来ならTAAを支持する側であるものの、労働組合をはじめとする反対派の意見を汲み取りTAA否決に回ったというわけです。ペロシ米下院院内総務(民主党、カリフォルニア州)も、「TAAに賛成の立場を採るものの、ファスト・トラックを遅らせることができるなら反対票に投じる」と発言していました。
今後、ベイナー米下院議長(共和党、オハイオ州)はペロシ米下院院内総務と妥協点を探りつつ、16日頃のTPA採決を目指す方針です。もっとも、2016年に米大統領選を控え民主党が歩み寄るかは不透明。安倍首相の訪米前とは一転し、オバマ米大統領が推進するTPAは任期切れ18ヵ月を前に風前の灯火と化しています。
ギリシャ支援協議は難航を極め、こちらも八方塞がりの様相を呈してきました。格付け会社S&Pがギリシャの格付けを「CCC+」から「CCC」に引き下げた10日の現地時間夜、ギリシャのチプラス首相の要請で実現したメルケル独首相、オランド仏大統領との3者会談は年金削減や増税などで折り合いがつかず物別れに終わる始末。ブリュッセルに派遣されていた国際通貨基金(IMF)は痺れを切らしたのか11日に撤収し、12日には欧州連合(EU)高官の話としてギリシャの債務不履行(デフォルト)の可能性を正式に協議したと伝えられました。ギリシャ側は18日までの交渉妥結を目指す意志を明らかにするものの、ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)をはじめ国際債権団が具体的な合意サインを点灯していない点が気掛かりです。
チプラス首相、国際債権団との「交渉決裂」を求める市民を納得させられるのか。
(出所:DIE LINKE. in Europa/Flickr)
仮にデフォルトとなれば、欧州中央銀行(ECB)が緊急流動性支援(ELA)を現状のまま続行するわけにもいかなくなるでしょう。ロイターが関係者の話として伝えたところ、停止こそ回避するもののデフォルトに陥った国債が担保とあれば縮小を余儀なくされる見通し。6月末にIMF向けの返済を含め約17億ユーロを一括返済できたとしても、市場関係者の間で「Dデー」と呼ばれる7月20日には、ECBに対し国債償還に応じなければなりません。その額、34.6億ユーロ也。6月3日のECB定例理事会後、ドラギECB総裁は記者会見でQE規模拡大の梯子を外した理由は、ギリシャ支援協議妥結に近づいたサインではなく、マーケットのECB依存を抑制する意図があったようにも解釈できます。
一連のニュースが話題になった12日、米株は下落。ダウ平均とナスダックは3日ぶりに反落、S&P500は4日ぶりに陰線引けしています。
ダウ平均 17898.84 -140.53 -0.78%
S&P500 2094.11 -14.75 -0.70%
ナスダック 5051.10 -31.41 -0.62%
終値ベースでは、そろって3日ぶりの安値に。ダウ平均は一目均衡表・雲の下限と100日移動平均線が重なる17950ドルを割り込んで取引を終えました。S&P500は、100日移動平均線より少し上に位置する一目均衡表・雲の下限で下げ止まり。16〜17日のFOMCを前に、再びテクニカル的に怪しいムードが立ち込めてきました。
(カバー写真:Speaker John Boehner/Flickr)
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