Has New Bond King Turned Bullish For U.S. Stock Market?
これまで一貫して米株に弱気だったアノ男が、変心したのでしょうか。
新債券王の、ジェフリー・ガンドラック氏です。運用資産840億ドルを誇るダブルライン・キャピタルの創立者にして最高経営責任者(CEO)であり、旧債券王のビル・グロス氏を袖にした人物です。そのガンドラック氏、26日にロイターに対し「米株は2週間前に買い時だったので、ある程度取得した」と発言しました。
同氏の読みは、今のところ的中しています。原油安をはじめ中国の景気減速、シェール関連企業の破綻への懸念などで揺れた2月11日時点にS&P500は11%落ち込み、調整相場入りしていたんですよね。ところがガンドラック氏が指摘した2週間前からで見るとダウは5.5%高、S&P500も5.6%高を遂げています。ただガンドラック氏、砂塵を巻き上げて突っ走る雄牛のごとくブル転したというわけでもなく「下落局面の時より上昇中の時にロング(買い持ち)であれば、アウトパフォームできる」とも言及。あくまで、売買はタイミング次第と強調しています。
S&P500、ネックラインや50日移動平均線を超えて切り返し中。
(出所:Stockcharts)
原油相場に関しては、2003年以来の水準へ突っ込むなど下落が大きかっただけに「40ドルまでの切り返しは容易」と語りました。少なくとも、短期的に原油先物と米株の上昇余地を見込んでいると言えるでしょう。3月から4月にかけ金融機関がシェール関連企業の融資条件の見直しを検討すると言われてきましたが、ガンドラック氏はその後に危機が発生すると想定していないようです。少なくとも、米連邦公開市場委員会(FOMC)が3月15〜16日、4月26〜27日開催時に利上げを見送る公算が大きいならば、金利上昇を見込んだ融資厳格化は回避されそうですものね。ガンドラック氏は、過去にも原油安とジャンク債急落の予想を的中させただけに、今回も当たるのか注目されます。
利上げ見送り予想の波及は、FOMCメンバーのハト派寄り発言も後押ししていますね。今年の投票メンバーであるセントルイス連銀のブラード総裁がタカ派からハト派へ転じたほか、ブレイナードFRB理事は明確に利上げに慎重であるべきとのスタンスを表明済み。26日にも同FRB理事は「先進国での金融政策の乖離は、従来予想より小さい可能性がある」とコメントし、FOMCが描いたシナリオより利上げが小幅で一段とゆっくりとしたペースになると示唆しました。投票メンバーではないものの、タカ派と目されたフィラデルフィア連銀のハーカー総裁も、低インフレ環境を背景に2度目の利上げを待つべきと述べています。
FOMC投票メンバーで、明確に利上げを支持している参加者はタカ派のジョージ・カンザスシティ連銀総裁と、メスター・クリーブランド連銀総裁の2人に過ぎません。国内総生産(GDP)の公表スケジュールを踏まえれば、6月14〜15日開催のFOMCすら、怪しい気が致します。
追加利上げが遅れるとなれば、米株や原油先物を支える期待も高まるというもの。新債券王のガンドラック氏による利上げへの本来の予想とも、合致しますね。
(カバー写真:Karim Yergaliyev/Flickr)
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