January Starts With More Hiring Plans With Less Job Cuts Comparing Last Year.
米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比38.8％減の4万4,934人と前月から減少に転じた。前月比では36.6％増加し、2014年4月以来の高水準を示す。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者（CEO）は、結果を受け「ホリデー商戦全般は堅調だったが、メイシーズをはじめとした小売店は強い消費者信頼感や支出動向で利益を得られなかった」と振り返る。その上で「小売セクターの人員削減予定数は2万2,491人と全体の49％に達した」と指摘。ただホリデー商戦明けの小売部門の人員削減は季節的なもので、大勢に影響を与えないと示唆した。
小売店、ホリデー商戦明けの店舗閉鎖並びに人員削減動向
（作成：My Big Apple NY）
一方で、明るい材料としてエネルギー部門を挙げ「今回は前年同月比91％も減少した」と評価する。同セクターはトランプ政権が規制緩和を含めエネルギー生産を支援する政策を講じる公算が大きく、人員削減予定数ワースト1位という有難くない地位を返上する見通しだ。
人員削減予定数、12月は前月比で増加も低水準を維持。
（作成：My Big Apple NY）
2017年に入って最初の州別では、ラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州が直近としては初登場で1位を獲得した。2位は前月と変わらず、3位は前月の4位からランクアップ、4位のテキサス州は原油価格の回復を追い風に前月の1位から4位へ改善した。5位には、トランプ米大統領の就任演説でも登場したラストベルトのひとつミシガン州が入った。
1位 オハイオ州 16,104人テキサス州
2位 カリフォルニア州 7,142人
3位 ノースカロライナ州 3,088人人
4位 テキサス 2,648人
5位 ミシガン 2,286人
年間で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。2016年12月と様変わりしている。なお前月は1位がエネルギー、2位がコンピューター、3位が小売、4位が作業財、5位が金融で、原油安のほかドル高の影響が色濃く現れていた。
1位 小売 22,491人（全体の49.0％）
2位 自動車 3,365人（全体の7.3％）
3位 ヘルスケア 2,250人（全体の4.9％）
4位 コンピューター 2,211人（全体の4.8％）
5位 政府 1,897人（全体の4.1％）
1月の人員削減数ワースト5は、2017年の動向を参照。
リストラ実施の理由、今回の単月ランキングは以下の通り。1～4位は11月と変わらず、順位が入れ替わった程度だった。前月に圏外からランクインした破産、自主退職は5位以下へ転じ、ホリデー商戦明けの影響か“契約終了”が取って代わった。
1位 閉鎖 13,597人（全体の29.6％、前月は2位）
2位 再編 13,242人（全体の28.8％、前月は1位）
3位 需要低下 10,466人（全体の22.8％、前月は4位）
4位 コスト削減 3,776人（全体の8.2％、前月は3位）
5位 契約終了 1,760人（全体の3.8％、前月は圏外）
採用予定数は136,501人と、2016年12月の35,198人から急増した。ホリデー商戦前に大幅増加を達成した2016年10月の487,075人以来の高水準を遂げている。1月単月では、少なくとも2012年以来で最高だった。セクター別ではコンピューターがトップで、前月に続きトップに輝いた。前月の2位以下は自動車、産業材、食品、その他となる。
1位 コンピューター 100,562人
2位 小売 20,000人
3位 通信 50,000人
4位 製薬 4,800人
5位 自動車 2,562人
――米1月チャレンジャー人員削減予定数は前月比で増加したとはいえ、小売が押し上げた程度です。むしろ注目は採用予定数で、激増していました。これはトランプ政権発足により、1月に企業が続々と採用計画を発表した影響が及んでいるのでしょう。米1月雇用統計は政府部門の下押しが気掛かりでしたが、予想外の好結果となる期待が募ります。問題は、米金利が3月利上げを織り込みにくくるかどうかですね。
（カバー写真：Province of British Columbia/Flickr）
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