Job Cuts Increase, But Hires Also Steady In August.
米8月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比5.1%増の33,825人となった。4ヵ月ぶりの高水準となる。前月比では19.4%増で、少なくとも5ヵ月ぶりに増加した。年初来の人員削減予定数は、前年同期比で28.9%減の255,307人だった。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「人員削減予定数が増加したとはいえ、年初来での前年比では引き続き非常に低い水準」と振り返る。店舗からオンラインでの販売へシフトするなか、小売関連で人員削減予定が目立つものの「出荷やテクノロジーは拡大中で、物流やサプライチェーン関連での雇用に強い人材需要を確認している」と指摘。ホリデー商戦を控える事情もあり、人員削減予定数が増加する可能性は低いとの考えを示唆している。
年初来で人員削減が多かったセクターのランキングは以下の通り。1〜7月と変わらず1位は小売で67,596人となり、金融危機直後にあたる2009年以来で最高を示す。2〜4位も前月と変わらず、5位のみ変動した。なお6月は1位が小売、2位がヘルスケア、3位がサービス、4位が自動車、5位が食品だった。
1位 小売 67,596人(全体の26.5%)
2位 ヘルスケア 22,764人(全体の8.9%)
3位 サービス 21,061人(全体の8.3%)
4位 自動車 15,205人(全体の6.0%)
5位 産業 14,343人(全体の5.6%)
年初来での州別動向は、6月と全く順位は変わらず。1位がIT企業のメッカであるカリフォルニア州、2位がテキサス州、3位がラストベルトと呼ばれる製造業が盛んだったオハイオ州、4位は日本車メーカーが多く進出しラストベルトの一角を成すインディアナ州、5位がニューヨーク州だった。
1位 カリフォルニア州 38,963人(全体の14.4%)
2位 テキサス州 26,711人(全体の9.3%)
3位 オハイオ州 23,041人(全体の8.9%)
4位 インディアナ州 18,320人(全体の6.8%)
5位 ニューヨーク州 18,201人(全体の6.7%)
8月の人員削減数ワースト5は、以下の通り。
1位 建設 4,332人(全体の12.8%)
2位 小売 3,607人(全体の10.7%)
3位 金融 3,414人(全体の10.1%)
4位 サービス 3,039人(全体の9.0%)
5位 建設 2,907人(全体の8.6%)
リストラ実施の理由、8月のランキングは以下の通り。今回は4位にアウトソースが新たに入り、原油価格が消えた。前月は1位がコスト削減、2位が閉鎖、3位が再編、4位が原油価格、5位は契約切れだった。
1位 コスト削減 16,856人(全体の50.2%)
2位 閉鎖 11,423人(全体の33.7%)
3位 再編 2,045人(全体の4.6%)
4位 アウトソース 1,453人(全体の6.1%)
5位 契約切れ 828人(全体の2.5%)
採用予定数は、前年同月比59.7%増の14,530人だった。前月比では83.5%減となる。1〜8月では571,023人と、前年同期比で6倍近い。今回は、小売が51,300人と大幅増で前月を含め1位を保つ。なお7月は1位が小売、2位がコンピューター、3位が娯楽/宿泊、4位がサービス、5位が通信だった。
1位 小売 3,257人
2位 保険 2,250人
3位 消費財 1,261人
4位 輸送 1,100人
5位 サービス 1,025人
――米8月チャレンジャー人員削減予定数は増加したとはいえ引き続き低水準を維持し、採用件数は前年比ベースで増加トレンドをたどります。米8月ADP全国雇用者数と合わせ、米8月雇用統計・非農業部門就労者数が堅調となる可能性を点灯させています。ADP全国雇用者数と雇用統計・NFPの民間就労者数との乖離幅は2015年以降で約1.2万人にとどまり、小幅ながらADP全国雇用者数が上振れする傾向が高いとはいえ乖離は小さい。8月の米雇用統計・NFPは市場予想の18.0万人増を上回る可能性を残します。
(カバー写真:Nina`H/Flickr)
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