Consumer Prices Rose Solidly In May, But Inflation Concerns Fade.
米5月消費者物価指数(CPI)は、市場予想の0.5%を上回り前月比0.6%上昇した。12カ月連続で上昇したが、2009年6月以来の高い伸びとなった4月の0.8%以下にとどまる。結果を受けインフレ懸念は後退し、米10年債利回りは約3ヵ月ぶりに1.5%割れでNY時間を終えた。
内訳を前月比でみると、エネルギー(全体の6.1%を占める)が横ばい、ガソリンは0.6%低下し2ヵ月連続でマイナスとなった。なおエネルギー情報局(EIA)によると、ガソリン価格はコロニアル・パイプラインへのサイバー攻撃により供給停止に見舞われ、5月17日週には2014年11月以来の3ドルを突破、31日週は3.027ドルまで上昇した。その他のエネルギーでは、電力など公益が0.7%上昇。そのうち電力が0.3%上昇、ガスは1.7%上昇していた。エネルギー以外では食品・飲料は0.4%上昇した。
CPIコアは0.7%上昇し、市場予想の0.5%を上回った。ただし、ヘッドラインと同じく1982年4月以来の高い伸びとなった前月の0.9%以下となった。
チャート:CPIの品目別寄与、前月比
品目別にみると、ワクチン普及と経済正常化を背景に、前月に続き航空運賃が急伸したほか、中古車や服飾が押し上げた。一方で、4月に大幅上昇した宿泊や自動車保険などの伸びは鈍化。医療サービスは低下した。エネルギー関連と食品・飲料以外で主な項目の前月比は、以下の通り。
(上昇品目)
・航空運賃 7.0%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は10.2%の上昇
・中古車 7.3%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は10.0%の上昇
・新車 1.6%の上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.5%の上昇
・服飾 1.2%上昇、2ヵ月連続でプラス>前月は0.3%の上昇
・自動車保険 0.7%の上昇、5ヵ月連続でプラス<前月は2.5%の上昇
・宿泊 0.4%の上昇、3ヵ月連続でプラス<前月は7.6%の上昇
・教育 0.2%の上昇>前月は0.1%の上昇
・娯楽 0.2%の上昇、4ヵ月連続でプラス<0.8%の上昇
・帰属家賃 0.2%の上昇、上昇トレンドを維持=前月は0.2%の上昇
(横ばい、低下項目)
・医療サービス 0.1%の低下<前月は横ばい
CPIは前年比で5.0%上昇し、市場予想の4.7%を上回った。前月の4.2%を超え2008年8月以来の高い伸びとなった。CPIコアは同3.8%上昇し、市場予想の3.5%を超え、前月の3.0%を超え1992年5月以来の水準へ加速した。
チャート:CPIの前年比、品目別の寄与など
米労働省が説明したように、全体の前月比上昇分の約3割を中古車・トラックが占めた。引き続き中古車は、サプライチェーン障害や半導体不足に伴う減産が影響した。また、ハーツなどレンタカー大手などがコロナ禍の直撃を受けた2020年に大量放出してしまい、新たな供給が限定的だった事情もある。新車も今回は1.6%上昇したが、ゼネラル・モーターズが6月4日に半導体不足を乗り越えトラック工場2カ所での生産を引き上げを発表。調査会社ガートナーも2022年の状況改善を予想するなど、徐々に明るい兆しが見えてきた。
何より、経済の正常化が進んだ影響で自動車保険を始め娯楽、宿泊などこれまでコロナ禍で価格が抑えられていた反動で上振れした品目は、前月比で落ち着きを取り戻しつつある。前年比の伸びも、前年に急低下した反動による上振れは今後収束に向かう見通し。CPIの上振れは現段階で一時的と捉えられよう。
(カバー写真:Ryan/Flickr)
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