ファッション・ナイトアウト、華やかさに見え隠れする景気減速の影

by • September 18, 2010 • Out & AboutComments (0)437

私のお仕事アーカイブ

※仕事向け原稿を時間差で更新したものです。通常の書き込みとは全く異なりますので、あしからず。

~イベントは大盛況も、訪問客は紙袋の代わりにカメラを提げる~

9月10日に開催されたファッション・ナイト・アウト(FNO) で、NYファッション・ウィークの幕が切って落とされた。FNOとは、高級百貨店サックス・フィフス・アベニューからソーホーの前衛的ファッション・ブランド「ベイジング・エイプス」まで、午後11時まで店舗を開けて参加する一大イベント。ハリウッドで名を馳せるセレブリティから一般消費者まで訪れ、大規模渋滞を引き起こすほどの大盛況となった。主催者であるヴォーグ誌の名物編集長アナ・ウィンター氏が「経済に刺激を与えうるショー」と豪語するだけに、若者層を中心にあらゆる年齢層を虜にしたことは、一目瞭然。しかしファッション・ウィークに出展するデザイナーがコスト削減を図るなかでは、買い物魂に火を点けたかどうかは、疑問が残る。

FNOのフェースブック、「Like」は5万人近くに及ぶ

前回2月から始まったFNO。同イベントのフェースブックによると、「消費者の信頼感を回復させ、ファッション産業を支援し、そしてショッピングの悦楽をよみがえらせる」ことを至上命題とする。NY市内だけで実に800店舗が参加し、午後6時から午後11時まで開催された。ファッション・ウィークの象徴であるテントが設営されたリンカーン・センターには、スーパーモデルの代名詞ジゼル・ブンチェンから新進気鋭のシャネル・イマンなど総勢150名を取りそろえ、FNOの開始をきらびやかに告げる。なおFNOをフェースブックで「Like」、いわゆるお気に入りに登録する数は5万人以上に及ぶほどだった。

FNOサイトをのぞいてみると、そのキメ細かさに驚かされる。「イベント・リスティング」のボタンをクリックすると地図とともに1)周辺地域、2)カテゴリー、3)特色、4)サーチ履歴――が列記。さらに絞り込んでいくと、各ブティックごとの地図と詳細が目の前にビジュアルとして登場する。また個別ごとに検索項目が分かれているため、たとえばフリードリンク、フリーギフト、登場する有名人ごとに各地を回るオリジナル地図を作成することが可能だ。筆者の友人の男性からは「お目当ての彼女をデートに誘う格好の材料になった」と微笑ましい体験が聞かれた。

FNO開催の前哨戦には、ウィンター・ヴォーグ編集長がデザイナーのマーク・ジェイコブズを引き連れて人気トークショーに登場。司会者のジミー・ファロンのジョークに屈することなく「セールなんか予定しないわよ!」と噛み付きながら、FNOを喧伝した。またFNOについては経済を刺激するイベントと紹介。ファッション業界の活性化を目指す立役者として、意気込みをみせていた。
 

↓ビクトリア・ベッカムも、ファッション・ナイト・アウトに参上!

My Big Apple

大渋滞・大混雑を招くも、消費喚起には疑問

筆者もサックス・5thアベニューをはじめ、各地を見て回った。車でやって来た友人に連れられてみたものの、5thアベニューからマディソン・アベニュー周辺は混雑してなかなか前へ進めない状態。パークアベニューを迂回してようやくたどり着いたが、周辺はベルサーチのブティックからバーグドルフ・グッドマンなどなど、午後10時過ぎにも関わらず黒山の人だかりが。人の多さに辟易してソーホーへ向かってみると、さすがファッションの聖地なだけに、周辺からすでに巨大な渋滞が出来上がっている始末。結局、ハドソン川に近い西のはずれに駐車する羽目となった。

午後11時を過ぎイベントが終了しても、ケネス・コールやプラダが並ぶ目抜き通りブロードウェイ沿いには、20代前半の若者を中心にたむろしていた。アルマーニ・エクスチェンジには、オランダの有名DJがスピンする上にサイン会も予定していたことから、午前12時をまわっても人垣が消えない。筆者の友人でデザイナー志望のイギリス人も、こうした行列に加わった一人。研修生として2011年1月まで滞在する彼ら、NY生活を満喫すべくビクトリア・ベッカムや二コール・リッチーなど有名人の写真を撮りに出向いたという。またこうした若者を中心に、イベントで振舞われるフリー・ドリンクをねらう輩も。20代前半の小売店勤務の女性は「モデルやセレブ達と一緒にタダでシャンペンを飲めるなんて、行かなきゃソン!」と鼻息を荒くしてソーホー・ツアーを組んでいた。

↓午後11時過ぎでこれはありえない!パトカーも出動する事態に

My Big Apple

売れっ子デザイナーも、リンカーン・センターのショーを選ばず

つまりウィンター氏が尊大に掲げる目的とは裏腹に、ファッション・ナイトアウトでお金を落とす訪問者は少なかったと言える。物見遊山で集まる一般市民が大半で、普段はクリスティアーノ・ルブタンで足元を彩る40代前半の有閑マダムも「限定物があるからといったって、あんな人込みに混じって靴を傷めるのは嫌よ」と眉をひそめていた。比較的年配な人々も旅行者が多く、紙袋の代わりにカメラを提げていたことが筆者にとっても印象的である。

ファッション・ウィークの主催社であるIMGのプレス・リリース によると、年2回7日間ずつ開催されるファッション・ウィークは毎年4.66億ドル以上もの消費を生み出すという。服飾関連への出費のほかの主な内訳としては3000万ドルがタクシー費用に、4000万ドルが外食産業へ、そして5600万ドルがホテル関連へ資金が流入するそうだ。

しかし34丁目にあるアパートメント・ホテルの管理人から「宿泊するモデルの数が今回は半減して20人くらいかな」との声が聞かれるとおり、ショーを出展するデザイナーすらもコスト削減に励む状況。日本でも大人気を博す海外ドラマ「アントラージュ、オレたちのハリウッド」にも起用された売れっ子デザイナー・ステファン・セオ氏ですら、ショー会場はリンカーン・センターではなく、トムソン・ロイター・ビルの1階に特設したステージだった。デザイナーが資金を投入しづらい背景には、消費への不透明感もあるのだろう。FNOやファッション・ウィークの華々しさとは裏腹に、景気減速の影がつきまとっていた。

↓ショーは大成功!でもお客を取り込めるか、これからが本番・・・

My Big Apple

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