米住宅ローンが最低更新も、住宅ローンの短期化が続発の謎

by • August 18, 2011 • NY TipsComments (0)902

今週は米国の住宅指標発表に合わせ、住宅のお話が多くて失礼いたします。

8月11日週の段階で、米住宅金融公社フレディ・マックが発表した住宅ローン金利、過去最低を更新しましたね。格付け会社S&Pが米国を「AAA」から「AA+」に引き下げたにも関わらず、米国債はユーロ圏債務問題の深刻化もあって、不美人票的に買いがあふれたことが影響してます。米10年債利回り、FOMCが開催した9日に一時2.035%と過去最低を更新してましたし、むべなるかな。

↓ご覧の通り、今年に入って米利回りは急低下~。

My Big Apple

これだけ金利が低下してれば、住宅購入者も増加するはずなのに、増えてないのが住宅市場の惨状を物語っております。MBA住宅ローン申請件数指数が、実に見事に現状を表してますよ。8月12日週では、米MBA住宅ローン申請件数指数は、前週比+4.1%の716.4と3週続伸してました。借換指数が同+8.0%の3915.5と3週続伸し、ヘッドラインを押し上げています。反対に新規購入指数は同-9.1%の167.5と、大幅続落の体たらく。家を買おうなんていうチャレンジャー精神は、はるか地平線の向こうへ消えてしまったようです。

足元増加中の借換については、こんな数字が飛び込んできました。

フレディ・マックによると、4-6月期に住宅ローンを借り替えた住宅保有者のうち、30年から15年あるいは20年に切り替えた住宅保有者は実に37%に及びました。2003年7-9月期以来の高水準をマークしたんです。

2003年7-9月期を振り返ると、当時のグリーンスパン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が率いるFOMCがFF金利誘導目標を1%と、過去最低の水準に引き下げたとき。IT’バブル崩壊と同時多発テロ事件のダブルパンチに見舞われた当時、ディスインフレに落ち込んでいた背景から「しばらくの間(a considerable period)」というキメ台詞で低金利政策を打ち出してしましたね。

↓マエストロという称号を授けられたグリーンスパン。奥さんは現役キャスターです。

My Big Apple

余談ですが当時は「しばらくの間」、金融緩和を維持するとの文言で低金利を保った後、2004年1月のFOMC声明文で、緩和解除まで「忍耐強くなれる(can be patient)」、2004年5月で緩和解除は「ゆっくりとしたペースで(likely o be measured)」実施する可能性が高い、と文言を変更。2004年6月に利上げに踏み切る地ならしを行っていました。

閑話休題。

金利が低いうちに住宅ローンを短期枠に借り替えようとするのは、自然の摂理。手に職があるうちに、借金を返済しておこうという気持ちも納得です。しかし、いくら低金利とはいえ短期枠に借り換えれば、住宅ローンの負担は増加しますよね。このローン支払い負担の増加分が、消費へ回す余力を減退させないか、個人的には心配です。ネガティブ思考に偏り過ぎですかね・・・。

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