12月のブラッド・ピットや故夏目雅子さんなどが生まれた日、僭越ながらワタクシも生を受けました。この夜は、フレンチ・ミックスなお友達に連れられ、コロンバス・サークルが目の前で優雅にカーブを描く場所に降り立ちます。セントラル・パークの淡い電灯を背に、対照的にクリスタルがまぶしいほどの光を反射するタイム・ワーナーを正面にのぞみ、私はてっきりイタリアンのA Voce、あるいはコンテンポラリー・フレンチのLandmarc at the Time Warner Centerへ向かうのだろうと推察したんです。
そんな予想とは裏腹に、連れはタイム・ワーナーのガラスの扉を素知らぬ振りで通り抜けます。私は想定外のアクションにあわてて、エレガンスとエクセレンスが融合したStuart Weitzmanでウィンドーショッピングに袖を引っ張らなければなりませんでした。
クエスチョン・マークが点灯した頭を抱え、促されるままに59丁目を東へ。ほどなくして、オレンジ色の色彩を帯びた大理石風のライトが目に優しい、Marea へ迎え入れられました。ニューヨークでも一、二を争うイタリアンの雄、マイケル・ホワイト氏が手がけるレストランです。週末なら少なくとも、数ヶ月前の予約がMUSTの大人気店でございます。
以前から食通の友人が狙っていたというのですが、実はオーナー・シェフのマイケル・ホワイトには一度大いに落胆した経験があるんです。ミッドタウンの東側を走るチューダー・プレイスにオープンさせたマイケル・ホワイトのConvivioからは、視覚的には退屈さを、視覚的には大雑把さしか感じられず、それでも3つ星以上のお品書きを差し出す厚顔さに、神経を疑ったものです。
幸福なことに、Mareaは評判にたがわぬ、質の高いパラダイスを築いておりました。店内はクリーンかつモダンであり、テーブルをめぐるウェイターの数も立ち振る舞いも、申し分ございません。コンプリメンタリーのパンナコッタ風前菜からして、口どけクリーミー、喉の奥で濃厚。前菜で選んだウニのラード乗せは、もう陶然としてしまいます。
↓コンプリメンタリーのパンナコッタ風前菜から、Killing me softlyです。
↓ウニは単純なレシピながら、計算尽くされた濃密さ。
↓見ているだけでウキウキしてくる、ロブスターの前菜も捨てがたい。
私はパスタが大好物なので、メインにはロブスターのラビオリをチョイス。ロブスター独自のコンソメをふんだんにあしらったスープにひたるラビオリは、見た目こそ食欲をそそるものではありませんが、腰の据わった触感に香ばしさとほんのりした甘さを蓄えたスープが、なんともなまめかしい。食道を通じて胃袋の中に閉じ込めたというのに、もう食べた後から舌なめずりをしたくなる・・・。
↓ロブスター好きなら、避けては通れないエクスタシーですよ。
仕上げのデザートもイタリアンの想像力を存分に発揮してくれて、MareaはConvivioの汚名を完全に払拭してくれましたよ。予約数を念頭にいれてなのか、ひっきりなしにボトルからなみなみとワインを注がれるのには閉口しますが、また是非、お腹を空かせて訪れたい店です。テーブルを囲む人々は80年代の名作「ウォール街」に登場しそうな風貌+ファッションであるのも、一興ですよ。
↓ゴールドのアクセサリーに、ボリューミーなカーリー・ヘアは80年代を思わせる。
↓氷の冠をほどこしたかのような、プリンセス風デザート。
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