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米5月雇用統計で株価上昇も、決算見通しは視界不明瞭

by • June 9, 2013 • Latest NewsComments (0)1735

May Jobs Report Was OK, What About Q2 Earnings?

今さらで恐縮ですが、何ともビミョーだった米5月雇用統計の内容をざっと確認してみましょう。

「米5月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比17.5万人増となり、市場予想の16.3万人増より強い結果となった。前月の14.9万人増(16.5万人増から下方修正)を上回っている。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が失業率が低下する増加ペースの『15万人増』も超え、3ヵ月ぶり高水準。2010年10月から続いた増加トレンドを保つ。過去2ヵ月分の修正は、1.2万人減と小幅に収まった。

時間当たり平均の労働賃金は、市場予想および4月の前月比0.2%上昇に届かず±0%増の23.89ドル。前年比も市場予想の2.1%以下の1.9%の上昇にとどまる。週当たりの平均労働時間は、市場予想および前月通り34.5時間だった。ただし製造業は雇用が減少するなか、40.8時間と前月の40.7時間から延びた。

失業率は、市場予想の7.5%より弱い7.6%。2008年12月以来の低水準から、上昇に転じた。労働参加率が1979年以来の低水準である前月の63.3%から63.4%へ上昇したことが一因。失業者数も前月比10.1万人増と4ヵ月ぶりに増加していた。就業者数が31.9万人増と2ヵ月連続で増加するなか、雇用率は前月通り58.6%。平均失業期間は前月の36.5日から36.9日へ延びた。」

こうした内容を受けて、JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは

「278セクターのうち雇用の増加を報告した割合は59.8%で、4月の55.6%を上回った。米5月ADP全国雇用者数ほど、米5月雇用統計・NFPの結果は悲観的ではなかったといえる。半面、2012年10-12月期および1-3月期の平均を下回っていた。また賃金と平均労働時間は横ばいで、労働市場の回復が加速している内容ではない。バーナンキFRB議長が過去に指摘していたように、労働参加率の上昇に伴い失業率の低下も鈍化しうる。資産買入の縮小を発表する時期について9月か12月か非常に微妙な情勢だが、当方の見方は従来通り12月に傾いている」

今回の米5月雇用統計・NFPをピタリと当てたゴールドマン・サックスのジャン・ハッチウス米主席エコノミストも

「資産買入の縮小発表時期は9月か12月か際どいが、住宅市場の回復と比べ建設を中心とした雇用は十分に伸びているとはいえない。従って12月に資産買入縮小、2014年7-9月期に終了との予想を維持する」

ハッチウス氏、現NY連銀のダドリー総裁と同じくハト派寄りなエコノミストさんです。

そうなんです、12月まで資産買入を継続すると見込んでいるんですね。そりゃー株価も上がります・・。

WSJ紙も、「Fedは忍耐強さを採り入れる」という記事を掲載。チャートをみても、道のりは長い。
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ほっとひと安心で、ひと休みという米株相場。気が早いトレーダーは、「ここからまた強気相場入りする」と鼻息を荒くしていました。ダウ平均など3指数そろって25日週平均を上回って引けたことも心強い。ただし米債利回りの上昇もあって、頭を抑えられるような気がするのは、私だけでしょうか。

7月からも決算発表も見逃せません。ロイターによると、4-6月期の1株当たり利益について悪化するとの見通しを示した企業は93社、見通しを上回る予測を公表した企業は14社でした。予想を下回る企業が上回ると予想した企業の6.6倍となっており、これはITバブルが崩壊した2001年1-3月期以来の高水準だそうです。

ファクトセットによると、4-6月期の1株当たり利益予想を発表したS&P500を構成する企業106社のうち、86社がアナリスト予想を下回っておりました。81%に相当するわけですが、これは5年平均の62%を大幅に上回っております。合わせて、アナリストもS&P500を構成する企業の1株当たり利益伸び率を従来の4.4%増から1.3%増と大きく縮小してきました。

リスクリバーサル・ドットコムのダン・ネイサン氏は、CNBCで4日に「これまで配当引き上げや自社株買いで弱い業績を隠してきたに過ぎない」とのコメントを寄せていましたが、筆者も同意いたします。

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